11 僕
次の日も結局大学に行かなかった。午後に一コマ授業があるだけだったが受ける気にならなかった。一つだから別にいいやという感情がなかったとは言い切れないけど、とりあえず外へ行く気が起きなかった。パソコンやゲーム機で時間を潰した。
そのまた次の日はさすがに行くことにした。二日サボった罪滅ぼしもあるけど、どちらかと言えばその日は必修の専門の授業があったからだ。落とすと即留年である。でも出席していればまず単位は貰える。どんなにテストの点数が悪くても。
部屋の入り口近くにあるクローゼットを開ける。服は着られればいいと思っているから、グシャグシャに散らばっている中から上下を選ぶ。着け替えると僕はこの前着た外出用のズボンを探した。その左ポケットに起爆装置のスイッチが入ったままだった。それを取り出して、今履いているズボンのポケットに移し替えた。
着替えを済ますと、今度は持ち物を用意する。リュックの中の教科書類を整理する。その時にこの前読み終わった小説を発見した。僕はそれを持って、床のゴミを避けつつ本棚の前に行く。そして四巻目の横に並べてしまう。全シリーズが本棚に揃うのを見届けると僕はリュックを持って部屋を出た。
この日も快晴だった。雲一つなく、午後は日差しが強くなりそうだった。
飽き飽きした街並みを見て歩きながら、僕は携帯で時刻を確認する。まだ大学に向かうには早い時間だった。僕の足は自然と駅から離れていた。