ミウミィ(PEACHと趣味は省略)
少し鬱な内容です。気になる方は先に後書きを見て下さい
「ご主人様、どういう事ですか?」
涙目のミウたんが問い詰めてきます。
「こんなメスネコ、こんな、愛玩、ペットなんて、、、私が要らなく、要らないんですか!」
違うから!ミウたん違うから!
「ご主人様を束縛したりなんてしません。でも、でも、私を捨てないで下さい!」
ミウたん違いますから!
始まりはご主人様の『家出』でした。
そのきっかけは、でじかめで撮った写真を、ぱそこんで拡大印刷してるのに、ご主人様が気が付いた事です。
「ミウちゃんいつこんなの撮ったの?てかなんで部屋中に貼ってあるの?なんでデジカメにパソコンとか使いこなせてるの!」
「今日の、朝の時のご主人様です。きれいに撮れましたので、、、素敵な『顔』でしたので、玄関にも貼りましょう」
洗顔から戻ったご主人様、お顔が真っ赤になってます。
ご主人様から拝借(勝手に)したでじかめで、あの瞬間の表情を見事に捕らえてます。
こうして部屋に飾るといつでも可愛らしいご主人様の表情を見る事ができます。
「ミ、ミウちゃん、あのね、これは恥ずかしいから、、、もう、壁の写真はがしといてね!それまでちょっと家出してます!」
「ご主人様、外は御一人では危ないです!」
私の制止を振り切り、ご主人様は『ちょっと家出』に出かけてしまわれました。
ご主人様の御命令ですので、壁に貼った写真を剥がします。
剥がした写真はそれぞれクッション、枕、寝室の天井と、壁以外の場所に貼り直してご主人様の帰りをお待ちしました。
予想通りご主人様の『顔』写真は、一人寂しく留守番をする私の心を優しくなぐさめてくれました。
ご主人様がお出かけされて10分程たった頃でしょうか?
お帰りになりました、、、
薄汚れたメスネコを連れて。
お優しいご主人様が無防備に外出されたらこうなる事は予想できたはずでした。
痩せた身体に金の瞳、体にまとう漆黒はご主人様の黒髪を彷彿させます。
そのメスネコは『にゃん』と甘えた声で鳴いてみせたのでしょうか?
甘えて『にゃん』と言うのは私の方が上手なはずです、私の方がご主人様の望み通りになんでもするのに!
それなのに。
「子猫拾っちゃった。ミウちゃん、飼っても良いかなぁ?」
ご主人様は私にそんな事を言ったのです。
「この子はただのペットだから、ミウちゃんは」
「私の方がペットです!」
「ミウちゃんはペットじゃなくて」
「ペットです!もう私の事が要らなくなったんですか?」
ミウたんが駄々っ子モードになりました。
めっちゃレアで可愛いいんですがちょっとだけ困ります。子猫と張り合わないようにって、どう説得したらいいのさ!
「ミウちゃんは僕の大事な『奴隷』なんだよ。だからペットより『奴隷』の方がずっと一緒にいるんだよ、だからミウちゃんはペットで『僕の奴隷』だから、信じて!」
自分でも何が言いたいか良くわかりませんが、とにかくミウたんを安心させたいんですよ。
「ご主人様、、、私を、ミウを捨てたりしません?にゃん?」
「うん、絶対捨てたりしないから、信じてね!」
浮気がばれた旦那さんみたいな気分だなあ、、、
「この子の名前は、みぃって鳴くからミィにしよう!」
ミウたんの反応が冷たいですよ。
「えっと、ミィは男の子かな?女の子かな?」
「メスです。」
ミウたんの視線が冷たい気がします。
「えっと、えぇっと、ミウちゃんもミィと仲良くしてあげてね、そ、そうだねミウちゃんの妹だと思って面倒みてあげてね」
「妹、、、ですか?」
「うん、ミウちゃんがお姉さんで、ミィが妹で、ちゃんと面倒みてあげるお姉さんは偉いんだよ!」
「偉いですか、、、わかりました。お姉さんとして『面倒』みます」
ミウたんがそう言ってくれたので一安心ですよ。
しかし猫なんて飼った事ないからどうやって育てるかわかりません!
調べておかないとね。
手の平に乗る位の小さな子猫です。
ご飯は煮干しとか食べるかな?
「ミウちゃんお味噌汁用の煮干し、袋ごと持ってきて」
「はいご主人様!」
煮干しをミィの口元に持って行くとカミカミしてきます。
煮干しはミィには硬いかもしんない、ちょっとオイラが噛み解してあげようっと!
煮干しをカミカミしてミィにあげるとミウちゃんがちょっと『怖い目』になってます。
「ご主人様、ミウにも下さい」
「う、うん」
ミウたんに煮干しを手渡すと、さらに『怖い目』になり、、、
「ご主人様が噛んだ煮干しが欲しいです」
「は、はい」
新たに煮干しを噛み解してるとミウたんが擦り寄ってきます。キスの距離まで近づいて見上げてきますよ!
「あーん!」
ミウたんからの、あーんのオネダリです!
この体制からなら口移しですやん!
心の中でYES!と叫びながら口移ししましたよ!
たんのうした(笑)
「美味しかったですご主人様、ふふん!」
お礼を言ったミウたんがミィに勝ち誇った笑みを見せます。
ミウたんはそんな事で張り合わないでよ!
もうミィのお世話は全面的にミウたんに任せる事にします。オイラが世話するとヤキモチやくみたいだしね!
ミィ専用ポーチを首から下げたミウたんの姿はとても良いものです。
ミウたんに世話を任せて5日ほどたちますがもうすっかり仲良しさんです。
「ミィ、今からお姉さんはお昼の準備をするので良く見て覚えるのですよ」
ポーチの中でスヤスヤ寝てるミィに真面目な顔でミウたんが話しかけてます。
ミィは起きてる時はポーチからはい出てミウたんによじ登ったりしてますが、だいたい何時もポーチの中でお昼寝してますね。
お姉さんぶるミウたんはとっても可愛いいんですが、、、
夜までミィを巻き込んじゃダメ!なんて、オイラが癖になったらどうするの!
猫舌は結構イタカッタです。
天気が良いのでお昼の後で、オイラとミウたんとミィの3人で庭で散歩です。
散歩というか、猫じゃらしの草でミィと遊ぶのです!
ふさふさの穂先でさわさわと誘えばミィは野性のタクマシサを見せて飛びかかってきます。
すぐに猫じゃらしの草がダメになるので、ミウたんが次のいぬころ草を取りに行ってくれます。
油断、いや、どうする事も出来なかったと思います。
目の前にいたミィが消え、、、
いや、さらわれたのです。空から襲いかかった何かに。
「ミィ!」
叫ぶミウたんが右手を空に振り上げました。
空高く舞い上がった鳥の様な何かがおぞましい叫び声をあげて、黒い物体を落として、、、
「ミィは死にました」
空から落ちてきた黒い物体を受け止めたミウたんは、ひどく冷静な、温度を感じない声音で、、、
「うそ、、、」
ミウたんの手の中のミィは息をしていません。
小さな体を貫通している爪跡を見ればどうなったのかわかります。
「埋めてあげないと、お墓、、、」
「埋め、る?ダメです。ミィは私の妹です。土に埋めるなんて、虫に食べられます」
「ミウちゃん、、、」
「ミィは、私とずっと一緒に居るんです。ミィは、、、ミィの体は、私が食べます」
ミウたんが『ものすごく怖い目』をしてます。
「だ、だめだよ、そんな、食べるなんて、、、埋めてあげないと可哀相だよ」
「埋める方が可哀相です。独りにさせるなんて、ミィは私とひとつになるんです」
そう言ってミウたんは、ミィを乗せた右手を握りしめました。
「ご主人様、怒ってますか?」
「いや、怒ってなんかないよ」
ミィの亡きがらがミウたんの右手に吸い込まれて消えていきました。
ひどく疲れた気がします。
「ご、ご主人様は、わ、私が死んだら、ぅっ、捨てますかっ、ぅっ」
ミウたんが泣きながら問い掛けてきます。
「私、私はっ、死ん、だらっ、ご主人様に、食べて欲しいぃっ、全部じゃ、なくてもっ、一口でもっ、、、カケラだけでも、ご主人様と、ご主人様に連れて行って、、」
ふぅ、ひどく疲れたのは死を身近に感じたせいだね。
「食べるよ、ミウちゃんが望むなら、全てでも」
うん。オイラもミウたんが虫に食べられるとか我慢できなし、火葬とかも耐えれそうにないよ。
でもね、絶対オイラの方が先に死ぬはずだから。
ミウたんは命に代えても死なせないからね。
「だから、ミウちゃん泣かないでね。笑顔、、、明日には笑顔見せてね」
「うっ、はいっ、ご主人様、はいっ」
オイラひどい奴だから、ミィが死んだ事より、ミウたんが泣く事の方が気になるよ。
明日になったら、なんでもない顔して、ミウたんにキスして、それでミウたんには無理矢理にでも笑ってもらうんだ!
拾った子猫が死んでしまう話です




