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ニューワールド  作者: 池宮樹
ある男の回想 前世から幼年期まで
4/46

第三話 オギャーとお昼寝と初めてのオツカイ

ここからネトゲの世界に突入です。

楽しんでいただけたら幸いです。

次に目を覚ましたとき俺は赤ん坊だった。

ちなみにふわふわの金髪で紫っぽい青い目をした超かわいいベイビーだったらしい。


………そこから3年間のことはお願いだから聞かないでくれよ、ブラザー。



ひとつだけ言っておくと新しいママンのおっぱいサイコウデシタ!



◇◆◇◆◇◆◇◆



ぼくのにゃまえは、じお・ぱらけらしゅしゅ・ら・ておふりゃすとぅす、さんしゃいでしゅ!



おっと失礼、俺がかわいらしすぎてスマン。


嘘だよ、許してくれよ。



そんなこんなでジオ・パラケルスス・ラ・テオフラストゥスと名づけられ、三歳になった俺がそのかわいらしさを武器にみんな(両親とか!乳母とか!メイドさんとか!)に聞きだしたところいろんなことが分かった。



まず俺が生まれたこの家が《New World》の舞台となる大陸西部にあるエルトリンの国の街ワトリアだということ。

ワトリアはヒューマンで最初ゲームを開始したときのスタート地点のすぐ傍の町である。


ちなみにヒューマンのスタート地点は、戦士系職は戦神の鍛錬場、魔法系職はエルトリン魔法学院という。



次に俺がワトリアの街の魔法ギルドのギルドマスターの子供として生まれたこと。

これにはびっくりした。

だって父親の名前がひじょ~~~に良く知ってるNPC(ノンプレイヤーキャラ=RPGの町の人)だったから。

父の名前はテオフラストゥス。

このお方はアルケミストの転職イベント等で必ずお世話になる、設定上この世界でも有数の錬金術師なのだ。


………転職クエストのあまりのうっとおしさに、何度このおっさん始末してやろうと考えたことか………。


このことによって早い段階でこの世界の魔法や錬金術をスキルとしてでなく、実地の知識や技術として学ぶことができそうで大変うれしかった。

あとそれなら家に乳母とかメイドさんがいてもおかしくないよなと納得できた。



ゲームでお決まりのステータス画面とかアイテムウィンドウとかも開けた。

装備 胴:幼児の服 とかワロタ。

ステータスを確認したらまだ幼児なので体力系の数値はすごい低かったけど、知力や魔力は普通にメイジの基礎数値がすでにあった。


んじゃ次にスキル欄を~とおもったらスキル欄だけは開くことができなかった。

開こうとしたらに神様のあの超かわいらしい声で


『この機能は本来ゲームが始まる時点以降で確認可能になりまちゅ~☆

それまでお楽ちみに~!』という声がどこからともなく聞こえた。


その突然の幼女ボイスにビックリしながらも、まぁ現状困らないしいいかとその時は諦めた俺であった。


この判断のせいで後で死ぬほどびっくりすることになるのは、まぁご愛嬌ってやつだな。



あと重要な情報、今がいつかということも分かった。

神聖帝国暦538年、つまりゲームのサービス開始(オープンβ)の12年前である。


これは神聖帝国暦550年のアサイオンの大神官マルフィアの神託によって、モンスターの大侵攻が始まるという予言を聞いた多くの冒険者プレイヤーたちがこの困難な時代に立ち向かう為、それぞれ種族の訓練施設から旅立っていくっていうのが《New World》というゲームが始まるときの設定だからである。


つまり舞台はまだまっさらで、俺の持ってる情報価値はすごくでかいってことだ。



よしいいぞ、燃えてきた。


だがまずは今日のお昼寝からだ、3歳児の僕はもうおねむですよ。


メイドさんの添い寝は仕様です。オヤスミナサイ。



◇◆◇◆◇◆◇◆



7歳になりました、中村秀人改めジオ・パラケルスス・ラ・テオフラストゥスです。


この4年間体を鍛える為に頑張って運動したり、この世界の常識や魔法や錬金術(主にポーションの調合など)を勉強したりしてたんだけど何かこの体異常なほどスペックが高い。

7歳児、元の世界で小学1年生程度なのに既に元の世界のアスリート並の身体能力なんだもの。


ありえないっつ~の。


それでさすがファンタジーとか思っていたら、どうも俺は異常らしい。

父上(始めはちょっと恥かしかったけど慣れた)が「私の息子は天才だ!」とかいって死ぬほど喜んでるところを見ると周りから見たらさぞかし異常なんだろうな~と思う。


よく考えてみたら7歳で既にこの世界の文字の読み書きが普通にできて、計算は大人顔負けどころか楽勝で俺が上で(理系でしたから)、世界有数の錬金術師にして賢者である親父様もビックリするようなこと(前世の一般的な科学や物理とかの知識や俺の間違いなく業界トップクラスだった《New World》のゲーム内知識)を口走ればそら天才扱いもされるか。



慣性の法則とかBグレード(レベル50以上のアルケミストが作成可能)ポーションのレシピとかな。



あと6歳のときにようやく許されて魔法を教えてもらえることになった。

何も習わず使えるかどうか分からんかったし、仮にスキル発動で使えても、何も知らないはずの幼児が魔法使えたらさすがに怪しまれると思ったからやめといた。


そして父上と母上の指導と監視の下うちのやたらめったら広い庭で初めて魔法を使ったら、できましたよ。



いとも簡単に。



何ていうか死ぬほど簡単に覚えられた。

ていうか教えられたら忘れてたことを思い出したって感じだった。

たぶん前世のプレイ経験のおかげだと思う。

そして父上が「この子は魔法の神に愛された子だ!」ってうるさかった。



惜しいな父上!俺を愛してるのは魔法の神様じゃなくて幼女でチートな神様だ。



そしてハジメテの魔法の感想は。



魔法サイコ~!マジ俺TUEEEEEEEEEE!って感じ!でした。

あ~~~マヂでこの感動は伝えきれない。

言葉で伝えられないものって本当にあるんですね。



その日は興奮してなかなか寝付けなかったぜ。



本当は心配だったんだ、ゲーム開始のときまで魔法とかスキルに分類されるものは使えないんじゃないだろうかと。

でもそんなことは無かった。

ポーション作成もスキルでできたしな。


それでちゃんと魔法が使えることを確認した俺はついに新しい人生の本当の意味での第一歩を刻む為に、今日街の外に冒険に行く準備を整え始めた!


まずは神殿に行って神官さんに冒険者の登録をしてもらった。

もちろん両親には秘密で。

若干ショタ属性のある女神官を捕まえて(事前調査済み☆)、幼女な神様直伝の上目使いでたぶらかして両親には秘密で登録完了!



これで万が一死んでも神殿で蘇るのだ!


死ぬのは絶対嫌だけどな、トラウマだもの。



次に装備だ。

さすがに最弱クラスの雑魚相手といえど万が一にも死にたくないので、ここでも俺は策略を練った。


「はやく父上みたいな立派な魔法使い、ううん錬金術師になりたいから!」って言って父上を篭絡することに。

魔法の練習用にちゃんとした杖が欲しいんですっておねだりした。



結果? 当然成功しましたヨ? だってうちの父上親バカだし!



Eグレード(装備にはグレードがあってレベルが低い時に上位グレードの装備を装備するとすげえペナルティが発生する。Eグレードは最低のグレードでレベル帯は1~20)最高の魔法武器であるトネリコスタッフとなし崩し的に防具一式を含む装備を買ってもらった。

(しめて3500G。

ちなみにうちのメイドさんの一月のお給料が100Gである。

さらに付け加えるなら、実際ゲームとしての《New World》内でこの装備を買える様になるのは普通1次転職前、つまりレベル20に近くなってからだ!親バカ万歳!)



魔法は使える、装備は万全、万が一の為のポーション(父上の私物の材料をくすねて自分で作った)もちゃんと準備した。


これで準備は整った。

今日は半年がかりで準備を整えたハジメテのオツカイならぬ、ハジメテの冒険だ!



ケケケ、これからが俺のチート人生(言っちゃった)の始まりだぜ!ビバチート人生!



大事だからちゃんと2回言いました!



ということでいざ出陣!



まず遊びに行く振りをして、こっそり街の外に出る。


どの衛兵がさぼりがちで監視が行き届いてないかは、既にチェック済みである。

街から出る馬車の影に隠れて外に出る事にした。

待つ事数分、ちょうどいい感じの荷馬車が通りがかったので、うまく隠れて脱出成功。


驚くほど簡単に出れた。


大丈夫か? ワトリアの警備体制。不安になるぜ………。



そうして無事街の外に抜け出した俺は、エルトリン魔法学院に向かう街道を歩いていく。

こっちの世界で自由に動き回れるようになって思ったんだけど、この世界はすごくきれいだ。

元の世界もそうだったけどあのころはいろんな意味でゆとりがなかったからなぁ………特に最後の1年………。

と暗い過去を思い出しつつも、気持ちいい風に体に感じながら『やつ』を探していたらいた!いやがった!



ウェアラットだ………。



ゲーム開始時チュートリアルで学院に集められたこいつらを5匹倒すことが《New World》最初のイベントなのだ。

ちなみに他の種族で始めても似たようなイベントが存在する。


つまり《New World》最弱の雑魚、ドラゴンOエストでいうところのスライム、ファイナルOァンタジーでいうところのゴブリンである。


姿は茶色の小型犬くらいのでかいネズミなんだけど、実際に初めて見たら顔がまじできもい。

こいつらとディズOーのミOキーやポケOンのピカチOウが同じ種族であることを俺は認めない!



気分を切り替えて呼吸を整えて、意識の中でターゲットをロック、まだ俺にはかなりおっきい杖を構えて、集中し呪文を唱える!



《ファイアーボール》



すると杖の先端に小さな火の玉が浮かび上がりウェアラットに向かって飛んでいき、そして着弾!


やった!倒したって………アレ?



ヲイヲイ1発でこんがりとネズミさんが焼けちゃいましたよ………。



すげえよトネリコスタッフ………。

普通にゲームを開始した場合ウェアラット一匹を倒すのに《ファイアーボール》2発必要なんだが………。



しばし呆然とする俺。



そしてしばらくして自分を取り戻した俺は残された金とアイテムを拾う。



初めて拾う金とドロップアイテム………、まじでたまらん!



ファンタジー最高だぜ!なぜ丸焼きにしたネズミからアイテムや金が落ちるかって?

そんなの決まってるぜ!ファンタジーだからだ!!



そして次なる獲物を探す。

いるいる!ウェアラットが街道をのんきに歩いていやがりますよ!



発見>ターゲットロックオン!>《ファイアーボール》>ネズミ丸こげ を9回繰り返したところで体が光に包まれた!



レベルアップのエフェクト(画面効果)だ!なんか強くなった感じがするぜ!



ステータスを呼び出して確認してみる。



レベルが1>2に。


HPが52>80に


MPが15>27になっていた。



よし今日の最重要確認事項『俺の野望の為のステップ1』をクリアした!



つまり!ゲーム開始前でもレベルは上げられる。


よし予想通りだ!笑いがとまんねぇぜ!ウケケケケケケケ!!



この後俺はお日様が夕日になるまでネズミさんたちをこんがりと焼きまくり、レベルが3になったところでおうちに帰りました。




………遅くなったことを母上に超怒られました………グスン。

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