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ニューワールド  作者: 池宮樹
ある男の回想 前世から幼年期まで
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プロローグ

起動式が虚空に展開。


次の刹那、俺の《爆発》(エクスプロージョン)の術式が炸裂し、十分な距離をとってさえ鼓膜を破りそうな爆音が空間を支配。


その凶悪な破壊力で、守護者共に破壊の鉄槌を下す。


跡形も無く多くの敵を消し飛ばしたのだが、まるで無限であるかのように新たな敵が湧き出てくる。


うじゃうじゃガシャガシャと、まったくうっとうしいにも程がある。


俺は大量の鎧人形共に囲まれて喜べるほど人間終わってはいない。


囲まれるならかわいい女の子たちがいい―――俺はいたって健全だ。


無意識に命令していたのだろう、俺の『オリハルコン・ゴーレム』が時間を稼ぐかのように邪魔なやつらを力強く受け止め打ち倒して行く。


ダルマ倒しのように倒されるがらんどうの西洋鎧たち。



このまったく笑えない現状に逆に余裕ができてしまったのか、次の術式を起動するための演算を開始しながら、ほんのわずかに残った脳の余裕を使って、ふと今までの道のりを思い出してしまった。


俺の周囲では仲間たちが金銀と栄光と名誉、そして俺の我儘のために死力を尽くして戦ってくれている。

とどろく爆音、絶え間なく響く剣戟の音、それがどこか遠いもののように聞こえるから不思議だ。


一瞬視線を戦線からはずし俺の隣で必死に呪文を詠唱する二人の少女を見る。

情熱的な赤毛の髪に鏡に映したようにそっくりな可憐な顔立ちの二人の女の子。


あんなに小さかった俺の初めての従者―――アリアとエリアだ。



彼女達の成長を省みて改めて思う。



(長かった……。ここまで来るのに25年……。やはり”ゲーム”と”現実”では違うらしい。)


思わず苦笑してしまう。

こんな時でなかったら腹を抱えて笑っていたかもしれない。




”ゲーム”だった時にはたった5年ちょっとでここまで来たのになぁ、と。




俺の名前はジオ・パラケルスス・ラ・テオフラストゥス。

種族ヒューマンの魔法6職の一角、アルケミスト(錬金術師)の到達職 ”ヘルメス・トリスメギストス” であり、ギルド ”十七人の賢者” のギルドマスター。




昔の名前は中村秀人。

いろいろあってMMORPG《New World》に酷似したこの世界に転生した日本のさえない元大学院生だ。

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