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私はEYESというバイオ系の小説と同時進行でやってます。
是非ともEYESのほうも読んで下さい。
「こりゃ洪水になるな。」竜兵は呟いた。この言葉は決して冗談ではない。
五月蠅い雨音を立てる豪雨は留まることを知らない。むしろ勢いが増していっている。
まるでラジオのノイズだ。
ザザザザザザザザザザザザザザ。
帰りはずぶ濡れだな…入っている洋式トイレの個室は昼だというのに暗かった。厚い雲が日光を遮っているのだ。
「雨宿りしねぇ?これは酷ぇ。」田口がまたも口元を尖らせた。煙草の吸いがらが便器に張った水の上で浮かんでいる。
「そうだな。俺の自慢の赤髪がずぶ濡れになっちゃしょうがねぇ。」と修一。また長髪をいじりだす。
すると、滅多に口を開かないデブの松崎がクク…、と修一を見てほくそ笑んだ。「おめぇはハイジか…?ぶふっ、」
「あ…?テメ殺すぞ。」途端に修一が松崎の顔をのぞき込んだ。
「あー。止めてくれ。」俺は2人を制止するために互いの頭を掴んで距離を離した。こんなに狭い室内で殴り合ったら巻き込まれ必至だ。
その時だった。
「君達、そこで何をしてるんだ?早く出てきなさい。」突如、個室のドアがノックされた。