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「がぁっ!!」頭が跳ね上げられた。頭蓋の中で脳が揺れる。
何を喰らったんだ俺は?!
答えは左アッパーだった。竜平のチョッピングライトに合わせられ、カウンターになってしまった。
歯を食いしばってこれを耐え、再び前を向いた。
しかし、そこで待っていたのは拳だった。
男の左ジャブが正確に竜平の顔面を捉えた。鼻血が吹き出した。
再度左ジャブ。今度は両肘を畳んでブロックした。つもりだったが、男の拳がガードの間を滑り込んできた。またしても直撃してしまった。
攻撃を立て続けに喰らった竜平はたまらず後退した。
しかし、すぐに網状の固いモノが背中に当たってこれを止める。
フェンスだーー
そう竜平が理解し前を向いた直後、目の前に信じられないものが飛び込んできた。
男の右拳。右ストレートだ。