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次の瞬間、竜兵に向かってもの凄い速さで丸太の如き太い拳が振り降ろされた。
頭を横に滑らせてこれをいなした。鼓膜に空を切る音が掠めた。だが、拳のキレが半端ではなかった。拳が掠めた竜平の頬の皮膚が皮一枚、切り裂かれた。血が滴る。しかし、すぐに雨水に流された。だが、ダメージは無いに等しい。
今度はこちらの番だ。
竜平は避けざま、男の腹に回し蹴りを見舞った。蹴りの圧力は男の鍛えられた腹筋を貫き、内臓を押し潰す。
「かはっっ…!」男は唾液とも胃液ともつかぬ液体を吐いて、嗚咽を漏らした。身を屈めて痛みに耐える。
その隙に竜兵はステップインし、右拳を大きく真上に振り被った。
チョッピングライト。右の打ち降ろしだ。
「もらった!!」竜平は拳に全体重を乗せ、力を溜めた腕を思い切り鎌のように振るった。
だが、次の瞬間に頭が吹き飛んだのは竜平の方だった。