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B=H//end  作者: U3
9/13

第九話 「また、どこかで。」

注意:この作品にはR15程度の「暴力表現」や「性的表現」があります。苦手な方はバックする事をオススメします。

長い夜が終わり、朝から時間が流れ、昼になった。


「イベント」があって「夜だけが続く日々」で、

静かだった街は今、賑やかだ。


人間と怪物は楽しそうにお菓子を食べながら、

踊ったり、歌ったり、遊んだり……とても愉快だった。


これがこの街「スイートタウン」のあるべき姿だ。


ワタシはそれが嬉しくて、ニコニコしてしまう。

のを、双子はそんなワタシを見て、嬉しそうにワタシの頭を撫でる。


「マリアちゃん嬉しそうー!」

「ね、マリア嬉しそうだね。」

「ん?嬉しいよ〜、そりゃ。」

「マリアちゃん、何が嬉しいのー?」

「うーん…やっぱりこの街が賑やかだと、嬉しいなぁって。」

「前までは人がいなかったもんね…」

「って事は、また美味しいお菓子が食べれるよ!やったねー!」

「お姉さんとお兄さんのチョコレート、楽しみだなぁ……」

「そうだね、ふふっ…」


そうして、ワタシと双子は、

いつもお菓子を買いに行くお店、

野菜チョコレート屋に来ていた。


お姉さんは嬉しそうにワタシたちをお迎えしてくれた。


「三人とも〜〜っ!!よく来てくれたね!!」

「「お姉さーん!/お姉さ〜ん。」」

「お姉さん、今日もチョコレートを貰ってもいいですか?」

「いいよいいよー!沢山貰ってって!」


双子は「やった!」と言って嬉しそうに、

チョコレートを選び始める。

ワタシ……は後でいっか。


ワタシはお姉さんに話しかける事にした。


「お姉さん、しばらくの間……大丈夫でしたか?」

「ふふっ、なんとかね!この街の人達との協力で、お菓子はなんとか残ってたのを食べれたお陰で飢える事はなかったよ。」

「良かった……っ!」

「マリアちゃんたちも大丈夫だった?」

「はい!楽と樂が分けてくれたので…」

「へーっ!?あの双子ちゃんが?なるほどねぇ…」


お姉さんは嬉しそうに微笑む。

それを聞いていた、店の奥にいるお兄さんも微笑んでいた。


な、何故そんなに微笑む……!?

ワタシにはそれがよく分からなかった。


「えーっと?」

「まぁまぁ!とりあえず……マリアちゃんもチョコレート選んでね〜!」

「は、はいっ!」


ワタシもこのお店の……野菜チョコレートを選ぶ。


双子は相変わらず、

お互いの好みとは真逆の味のチョコレートを選ぶ。


楽は甘いチョコレート、

樂は苦いチョコレート、

ワタシは…甘くも苦くもあるチョコレート。


特にワタシが好きなのは、

さつまいものチョコレートスイートポテトが好きだ。


このスイートポテトになったさつまいもと生チョコのなめらかな味わいが、たまらなく美味しい……っ!


ワタシはこれが一番好きだから、

ついつい買ってしまう。


……そういえば、双子はこれ食べた事あるのかな?


ワタシの分って双子は取らなかったなぁ……

双子同士…楽と樂はたまにお互いのチョコレート食べてるし、たまに軽い喧嘩はしてるけど……。


そもそもお互いの食べる好みの味が違うのに、

食べてる事があるのが少し面白い。

兄弟とか双子ってそんな感じなのかなぁ?と思う。


と、思っていると……チョコレート屋に新しいお客さんが来る。


そのお客さんを見た瞬間、双子はワタシを隠した。


ワタシはビックリして動けなくなるが、

お姉さんはそんな双子を見て、普段通りにお客さんに話しかける。


「いらっしゃい!何をお求めで?」

「あの……すみません、この前の……


……「イベント」のお詫びです。」


そうすると「カラフルなジャムが乗っているクッキー」を渡す……「魔女」だった。


ワタシは魔女に気づき、話しかけようとするが、双子は絶対にそれを阻止するようにワタシを隠し続ける。


魔女も流石にワタシたちに気づいているが、

話しかけていいのか分からないのか、お姉さんの方を見て、クッキーを渡そうとする。


お姉さんはそんなワタシたちと魔女を見て、

ニッコリと微笑み、双子と魔女に話しかけた。


「あら、お客さん方…何かそちらはそちらで関係があるみたいだねぇ?」


全員、シーーーーーンッと静まり返る。


気まずい顔の魔女と、

ワタシに手を出したら殺す、の顔をする双子、

何が何だか分かってないけど話しかけたいワタシ。


の空間にお姉さんは、

レジから出てきて、まずは双子に話しかけた。


「双子ちゃん?」

「っ!お、お姉さん!」

「なっ、何っ?」

「マリアちゃんの気持ち、優先にしてあげよっか?」

「「……はーい/は〜い…。」」


双子はワタシを隠すのをやめた。

そうして、目の前にいるお客さんは「魔女」だと、改めてワタシは知ると、魔女に話しかけた。


「あのっ!この前はっ……」

「っ!こ、この前はすみませんでしたっ!!」

「えっ、いやっ、そのっ……」

「……ヒペリ様の命令で、あんな事をしてしまい……命を危険にさせてしまいっ、申し訳ございませんでした……っ!!!!」

「そ、そんなっ!待って!ワタシの話を聞いっ……」


魔女はその場で土下座しようとした時、

お姉さんがそっと話しかけた。


「私、この四人の間に、何が起きたか分からないけど……とりあえず、お互いに話をしたら?って訳でまずはマリアちゃんね?」

「え、えっとっ……あの時はごめんなさい……ヒペリはどうなったの?」

「……使えている魔女と共に死にました。」

「えぇっ!?」

「ですので……今は皆、自由に暮らしてます。


……このお菓子をまた、作りながら。」


それは先程見えた「カラフルなジャムが乗っているクッキー」だった。


そのクッキーはまるで教会のステンドグラスのように透き通った綺麗な様々なフルーツのジャムで、クッキーはタルトのように滑らかでしっとりしている丸いバニラ系の生地だった。


これはお店に売れるのでは?

……というような完璧な出来。


てか美味しそう……食べてみたい……っ


ワタシはジーーッと見ていると、

魔女はその何の視線かに気づき、微笑む。


「良ければ、うちの街にまた来ますか?」

「えっ?」

「「えっっっ!!??」」

「あら、行ってくる?」

「え、えっとぉっ……!?」


ワタシが慌てていると、

双子は揃って魔女の前に出る。


「「どういうつもり??」」

「え、いえ、これ以外にもお菓子を作ってあるので、おすそ分けをしようかと……すみません、あんな事をしておいて、信頼はないですよね……。」

「「ないね」」

「で、ですよね…………すみません。」


双子はそう、バッサリ言い切る。

魔女はそれを聞いて、落ち込む。


「えっ…………でもっ……食べたいです……」


本音がポロっと、クッキーの欠片のように口から出ると、双子は同時にワタシの方へ振り向く。

そして、魔女はそれを聞いて、

嬉しそうな顔をして、ワタシの手を握る。


「いいんですか!?」

「は、はいっ!食べたいです!」

「……本当にいいの?マリアちゃん??」

「……マリアに酷い事したヤツらだよ?マリア??」

「それはもう過去の事だよ、今はしてこないでしょ?」

「「それはそうかもだけど…………」」


双子は「何故?」という反応……

ふんっ!それなら…………っ!!


「じゃ、ワタシ一人で行く!楽と樂は先に家に帰ってて!」

「「えぇっっ!?!?」」

「じゃ、行きましょ!」

「あ、はいっ!」


ワタシは魔女に握られた手を握り返し、手を繋いでお店を出る。


「ま、待ってよっっ!!マリアちゃんっっ!!!」

「マ、マリアっ!本当に行くの!?危ないよっ!」

「行くって言ったら行くの!それに大丈夫だからっ!んじゃっ!」

「「えええぇぇぇぇぇっ……!!??


ま、待ってよっっっっ!!!!!」」


双子は慌てて止めようとする、が。

それを見ていたお姉さんはニコニコと笑顔で双子に言う。


「ふふっ、双子ちゃん?」

「「なっ、何っ?」」

「大好きな女の子、一人にしていいの?」

「「えっっ、あっっっ……」」

「私はマリアちゃんの気持ち、分かるなぁ……こんなに綺麗で美味しそうなクッキーが食べれる街に行けるなんて、楽しそうだし幸せじゃない?」

「でもっ!マリアちゃんは命の危険な目に遭わせられてっ!!」

「マリアちゃんは、大丈夫だって言ってるじゃない?なら、いいのよ。」

「マリアがまた危険な目に遭ったら……」

「その時は……また、双子ちゃんが守ればいいんじゃない?」

「「っっっっっっっ!!!!!」」


不安だった表情から双子は目を開き、

お互いに顔を見て頷き、急いでお店を出た。

それを見たお姉さんはニコニコと、更に微笑む。


そんな様子を遠目から見ていたお兄さんは、

心配そうに店の奥から出てきた。


「……大丈夫なのか?」

「ふふっ、大丈夫よっ!


そ、れ、にっ!ふふっ、私も魔女さんに負けてられないわねっ!お兄さん!私たちも綺麗で美味しい野菜チョコレート、作るわよ〜!」

「ほーい」




そうして、ワタシは魔女と双子と、

四人一緒に魔女の街……「マジックタウン」に来た。


「着きました、すみません、他の魔女に皆さんが来た事をお伝えしてきます、待っててください。」


と、言うと魔女はタタタッと街の中へ走って行った。そこに取り残された三人……


「先帰っても良かったのに……」

「「よくないっ!!!」」


双子は同じタイミングで言う、

のが少し面白くて笑ってしまった。


「ふふっ」

「……何?マリアちゃん?」

「……なんだよ、マリア?」

「ううん、やっぱり楽と樂は仲良いなぁって。」


それを言われた双子はお互いを見て、

不思議そうな顔でワタシを見る。


うん、この時の顔も双子は同じ顔してる……

……本当に仲がいいんだなぁ…。


「「……そうかな?」」

「うんっ……ちょっと羨ましいかも。」

「「えっ!!??」」

「あ、いやっ!なんでもなっ……」


やばいっ!またポロッと言ってしまった……

と、思った時、双子はワタシにジリジリと近寄る。


「マリアちゃん…羨ましいの?」

「マリア…羨ましいんだ?」

「いやっ!そういう訳じゃっ……」


ワタシは双子に肩を捕まれ、逃げれなくなる。

あぁっ……やってしまった……っ!


「「じゃ、マリアちゃん?/マリア?」」

「「オレたちと/ボクたちと」」

「「一緒に…………


…………あっ」」


「んっ?…あっ!」

「……すみません、お取り込み中でしたか?」


先程の魔女が後ろに立っていた。

気まずそうな顔をしていたから、ワタシはすぐに話を変えた。


「大丈夫ですっ!そ、それよりもっ!!ワタシたちが来て、大丈夫でしたか?」

「あ、はい!大丈夫です!皆、嬉しそうでした!」


魔女は嬉しそうに微笑み、それを見て怪しむ双子。


「嬉しいとか怪しいなー」

「何のつもりでそんな…」

「楽?樂?」

「「ふんっ!」」


双子はまた揃って反対方向にそっぽ向く。

ワタシはそんな双子を気にせず、魔女の話を続けた。


「じゃ、た、食べても……いいんですか?」

「はい!是非!皆も待ってます!」

「ありがとうございますっ!」


ワタシはそういう魔女たちの気持ちが嬉しく思い、マジックタウンの中に入ると、双子はワタシを挟むように横に並ぶ。


そして、双子は片腕ずつ、

ワタシの両腕を組み、そのまま歩き出す。


いやっ!歩きづらい……っ!


「ら、楽っ?が、樂っ?」

「こうしないと危ないでしょ?」

「こうしないと守れないでしょ?」

「……ありがとう、二人とも。」


双子は魔女を警戒しているのは分かってるが、

ここまでとは……まぁ、確かに…命を狙われていたのは事実、でもそれはヒペリでの命令であり……


……実際はそんな事はなかった、のも事実だ。


ワタシは双子に守られながら、魔女も「すみません……」と気まずそうに一緒に街の中を歩いた。


そうすると、入って少し歩いたら、

すぐに魔女たちが話しかけてきた。


「あ、あの時のお人形さん!」

「あの時はすみませんでした……っ!」

「え、えっと……」

「双子のピエロさんもすみませんでした……」

「「…………」」


う、うううんっ!ワタシも気まずくなってきた…っ!双子はずっと魔女たちに対して無表情だし…。


魔女たち全員、ワタシたちに謝罪をしてばかりだった。それは本当に「ヒペリのせいだった」のように、とにかく「謝罪」で、お菓子を食べるどころじゃなかった。


……それでも、この街の匂いは美味しそうなお菓子の甘い香りだった。


それはまるで、この世界も含めた……

……この街、マジックタウンの「平和の象徴」のような匂い。


きっと、元々はマジックタウンはひっそり皆でお菓子を作って食べて暮らしてた平和な街だったのが分かる。


そしてこの街には、

魔法使いも居た、と双子から詳しく聞いた。


魔法使いって……魔女よりは魔法の力が強く、知識もあって、長く生きている……って聞いたっけ?


でも最近は、魔法使いなんて、街には見かけないなぁ……別の場所で暮らしているのかな?


いや、ううん……そもそも、この世界の生物はそれぞれの種族で暮らしてるんだっけ。


その中で、大きな街がワタシが住んでた街「スイートタウン」が種族関係なく暮らしてる街だった気がする。他にも多くの街があり、町もあれば村もある。


確か……ゾンビとかは村で人間と仲良く暮らしてるし、吸血鬼とかはそもそも数が少なすぎて、街並みの大きな屋敷のみで暮らしてた気がする。


あとはやっぱり魔女はこの「マジックタウン」で暮らしてるし……確か場所によっては雪が降ってて、かなり凍えるぐらい寒いけど、寒さに強い人間と怪物が暮らしてる、って話も本で読んだっけな……


思えば、魔法使いもきっと、どこかの場所で暮らしてるんだろうなぁ……とも思う。


でも確か……「ヒーロー」に魔法使いは居たような気がする。


なんてだって、この世界の治安を守る存在は「警察」と「ヒーロー」だから、そりゃ魔法使いも「ヒーロー」になったって、おかしくない。


「警察」に居るのかは、聞いた事ないけど……

少なくとも「ヒーロー」には多かったような気がする。そもそも「人間のヒーロー」は、ボランティアぐらいで、全く居ないに乏しいぐらい、少なかったような気がする……やっぱりこの世界は魔法が強い方が良いのだろう、とも感じた。


でも、たまに「武器」をしっかり使いこなせる「人間」なら「ヒーロー」は居たような気もする……ううん、ワタシはそんな人たちと関わりがほとんどないから分からないけど……


……とりあえず、今はっ!


「あのっ!」

「は、はいっ?」

「お菓子、食べたいです……っ!!」


ワタシは目を輝かせて、魔女たちに頼んでみた。

そうすると、魔女たちは……「待ってました!」と言わんばかりの大量の様々なお菓子を家から取り出してきてくれた。


そこにはカラフルな……

……クッキー、アイス、ケーキ、チョコレート、パイ、カップケーキ、グミ、キャンディー、ドーナツ、プリン、ポップコーン、タルト、マシュマロ……などなど、数え切れない程のお菓子が出てきた。


さ、流石にこの量は食べきれないっ……!?

と、思ったワタシは慌てるが……見た目は本当に色鮮やかで美味しそうだった。


何を使ってそんなにカラフルになるのか……不思議でしょうがない。


そうすると、一人の明るい魔女がワタシたちの様子を見て、話しかけてきた。


「お人形さん!この中から、どれが食べたいですかっ?」

「えっ!えっと……!?」


今ここで決めろと!?

流石に困ったなぁ……どれも美味しそうだから悩む……と思って、双子を見ると、双子はそんなワタシを見て、面白かったのか「クスッ」と笑った。


な、何が面白くて笑ったのっ!?


「ちょっ!楽、樂っ!何笑ってるの〜っ!?」

「いやっ……えへへっ、マリアちゃん可愛いー!」

「ねっ……んふふっ、マリア愛おしい……」

「え?も、もぉっ!何?何でそうなったの?」

「マリアちゃんには教えなーいっ!」

「そうだね、ほんとマリア可愛いねぇ〜。」

「もぉーーっ!?何?なんなのっ!?」


そんなワタシたちを見て、

明るい魔女は大きな声で笑い出す。

そうすると、

それにつられた魔女たちは全員、笑い出す。


それはとても楽しそうに、嬉しそうに、愉快に。


なんだかそれが、ワタシも双子も魔女たちも、

全員、和解したかのように、笑顔になって笑った。


うん、これがこの世界での「あるべき姿」なんだと思った。


誰かが争うとか、誰かが危険な目に遭う、危険な事をする、というのはやっぱり違うんだ。


誰かが悪者として悪戯者がいるのは当たり前かもしれないが、その反面、良い人もいっぱい居る。


……ワタシはこの世界の悪者…じゃないといいな。


なんて、ふと思った。

こんな事、双子に言えば「「そんな事ないよっ!」」って言ってくれそう……なーんて、思ったりする。


そうして、魔女たちと和解し、お菓子を食べる事になった。まずは案内してくれた魔女が持っていた「カラフルなジャムが乗っているクッキー」から食べる事にした。


「さぁ、召し上がってください!」


魔女は嬉しそうにクッキーを渡し、ワタシと双子はクッキーを手に取り、パクッと食べる。


そうすると……凄い味と食感だ……っ!

砂糖の甘く、ふんわり香る様々なフルーツの味、フルーツは沢山入ってそうなのに、どれも喧嘩せず、仲良く一緒に味がしっかりしていて、このジャムはとにかく甘くて味も美味しい。


クッキー自体はしっとり滑らかでタルト生地を食べているような感覚。バニラが香るシンプルな味わいで、双子の様々な味がするジャムを一切邪魔せず、これはジャムとクッキーを一緒に食べないと完成しない完璧なジャムのクッキーだった。


そして何より、見た目がいい!

何で色をつけたか分からないが……こんなに色とりどりのカラフルで、まるで虹色に光るステンドグラスのような美しい輝きを出していた。


す、凄い……っ!!!これはお店に出してもいいのに……と思ってしまう程、完璧だった。


他のお菓子も同じように……?と思い「すみません、食べてもいいですか?」と聞いて「どうぞ!」と言われた「カラフルなカップケーキ」を手に取り、食べる。


そうすると、びっくりする。

これはっ……ナッツ系とチョコチップが入っている、食感も味も見た目も良すぎるカップケーキだった。


ナッツ……これはマカダミアナッツかな?そこにチョコチップも入っていて、ボリッとすればカリッともして、尚且つフワッフワな生地が美味しい。


カップケーキの味は……これはホットケーキっ!?

ホットケーキのふんわり甘くてほのかに香るバニラの匂いがめちゃくちゃ良いっ!!!


そこにチョコとバニラの生クリームがミックスされて乗せてあり、その上にはカラフルなチョコフレークも乗っていた。


こっ、これはっ……

凄すぎて言葉を失いそうになるっ……!!!


いつもお姉さんの美味しい野菜チョコレートを食べてたから、それ以外のお菓子って最近食べてなかったなぁ……と思っていた中、魔女たちの作るお菓子は全て完璧で美味しいものだった。


ワタシは目を輝かせ、どれも全部食べたくなるぐらい、幸せな気持ちになった。


そこで、双子の方を見てると……


(あ、楽も樂もめちゃくちゃ食べてる……)


双子も目を輝かせながら魔女たちのお菓子を沢山食べていた。


あ、そういえば……


「このカラフルな色って、どうやって出してるんですか?」

「えっ!?」

「あっ……」

「そ、それは……」


魔女たちの顔が曇る。

え、急に怖くなってきたのだが……?


「えっと…???」

「いや!身体に不味いものではないですよ!」

「……魔女ならではの方法、ですかね。」

「魔法使いもしてましたからね……これ。」

「あ、あぁ〜、へ、へぇ……」


つまり魔法、で作る薬品って事かぁ……

確かに、高級薬屋さんで売られてる魔女の薬って、カラフルだったけなぁ……


ワタシがシスターだった頃、風邪をひいたエリカ様に頼まれて買いに行った事あったけど……


……その時、真っ赤と真っ黄色が混ざった色がキラキラと輝いて光ってる風邪薬を買ってきて、エリカ様のなんとも言えない顔を見てたっけ……。


でも、飲んですぐに効いてたから、効果は確実なのだろう……流石、魔女だ……。


そうして、ワタシと双子は魔女たちのお菓子を食べて、お腹いっぱいになった。


「もう食べれないっ……」

「うーん、美味しかったぁ……!」

「う〜ん、もういいかなぁ……。」

「ふふっ、気に入ってもらえて何よりです!」


魔女たちは嬉しそうに微笑む……

と、街の奥から一人の魔女が出てきた。


その魔女を見た双子は「「はっ!」」とすぐに気づく。


知り合い?なのかなぁ?と思っていると、双子はすぐに話しかけた。


「「あの時の教会にいた魔女だ」」

「……あの時はすみませんでした。」

「いいよー」

「気にするな」

「…ありがとうございます。」


あ、やっぱり知り合いだったんだ。

そして、その魔女はワタシの方を見て、すぐに駆け寄り、ワタシの目を見て驚く。


「……凄く綺麗な目ですね…まるで飴細工のような輝き……っ!


だからヒペリは憎たらしい……なんて言ってたんですね…あの時はすみませんでした。」

「あ、いえ!お気にならさず……!」

「……すみません、少し…あの後のお話をしても良いでしょうか?」


その時、あんなに楽しかった空気は一変、

重たく苦しい空気になった。


……これも、向き合わないといけないような気がする。


「はい、お話しましょう。」


ワタシはそれに同意をした。

双子も同じように同意をして、一緒に奥にある教会の中にお邪魔した。




中に入り、椅子に座ると、魔女たちも数人中に入って、ワタシたちの後ろに立つ。


ワタシはそれが少し怖かったが、

双子は気にせず、ワタシを守るように両側に挟んで座る。


そうして…教会の魔女は口を開く。


「……多分、話を少し聞いたと思います……ヒペリは死に、そのヒペリに使っていた魔女も死にました。」


そこから詳しくお話をすると……


……ヒペリの悪行に、使っていた魔女はかなり苦しみ、誰よりもヒペリに「殺意」を向けていた。


そうして、他の魔女がヒペリに「私に使えるように」と命令されても、元から使えていた魔女が、それを止めて、一人でヒペリの相手をしていたらしい。


それは、他の魔女を巻き込む訳には……という訳ではなく、その魔女本人の「殺意があった上での意思」であり「必ず私が殺す」という「意思」でもあった。


それ上「私が今後生きていても、意味は無い。」とし、尚且つ「私が生きてたら、きっと同じ事を繰り返すと思います、ヒペリのような悲劇はもう、二度と起こさない。その為にも、私はヒペリと一緒に心中します。」と言い、焼かれていく屋敷の中で、共に死んでいったらしい。


それは、その魔女にとっては「生きる事の苦行」を「ヒペリの殺意」と共に「終える」ようにした。


つまり、その魔女は「共に死ぬ事で全てを終わらせる」ように仕向けたらしい。


だから、他の魔女を巻き込まず、頼らず、一人でヒペリに使えて、最後は…………という形になったらしい。


焼かれた屋敷の跡は、魔女たちが魔法で何も無かったようにし「警察」と「ヒーロー」には何もさせずに終わらせたらしい。


全ては「魔女たち」だけの話……

……として「警察」も「ヒーロー」も何も手を出さず、この「イベント」は「一人の魔女によって起きた事」ぐらいで済まされた。


そうして、平和になったマジックタウンの魔女たちは、その「平和の象徴」として「お菓子」を作り、仲良く暮らす事を魔女たちの中で決めて、そして世界中に「謝罪、お詫び」として「魔女たちの平和の象徴であるお菓子」を配っていた……という話だった。


そこに、ワタシと双子がたまたま居て……今に至る。


と、教会の魔女はお話をしてくれた。


「そういう事だったんですね……」

「はい……なので、特に謝罪をしたかったお人形さんと双子さんにはお菓子を食べてもらいたくて……皆、張り切ってました。」

「そうだったんですね……!」

「はい、なので……私たちのお菓子は数ヶ月は腐らないように魔法をかけてあるので、良かったら沢山持って行ってください。」


そう言うと、後ろにいた魔女たちが沢山のお菓子がはみ出そうなぐらいパンパンに詰められたリュックを持ってきた。いや、デカすぎて持って帰れるか分からないし、食べきれないって……!?


「えっ……そ、そんなっ!?い、いっ……」

「「いいの!?」」

「え、二人が反応するんだ…っ!?」


まぁ、双子なら沢山食べるから……すぐに無くなるかぁ……と思い…


「すみません、二人も嬉しそうなので……貰う事にします。」

「っ!ありがとうございますっ!」


そうすると、後ろにいた魔女たちもお礼をする。

そっか、やっぱり……魔女たちも「平和」で居たいんだと、ワタシは理解した。


そうして、ワタシたちは魔女たちの街「マジックタウン」を出た。


流石にリュックが大きすぎて持ち運びが大変だったから、楽と樂が「「持つ!」」と言ってたので、リュックを二つに分けてもらったが、結局どっちも量が多い大きいリュックを双子が持っていた。


そして、街を出る時、お互いに手を振った。


……その時、魔女たちは言う。


「また、どこかで。」


嬉しそうに、楽しそうに、

優しい表情で、そう言っていた。


それがワタシにとって、

(よかったなぁ……)と思った。


平和になった街、

世界で……平和に暮らしていたい。


もう、誰かが傷つくのも、

死ぬのも、苦しむのも見たくない。


そう思い、一緒に家まで双子と歩いている……と。


双子は何かを思ったのか、ワタシに話しかけた。


「ねぇ、マリアちゃん?」

「ん?何?」

「……オレたち、絶対にマリアちゃんを守るから。」

「……ボクたち、絶対にマリアを傷つけたりしないから。」


「「……だからさ。」」


双子はワタシの頭や頬を優しく撫でる。

な、なんか……ペットみたいに撫でるなぁ…?


ちょっとくすぐったくて、やめてほしい気持ちも……あったけど、それ以上に……この撫でられる手のぬくもりが安心した。


ワタシはその安心する双子の手に寄り添うように、ワタシからスリッと近づけると、そんなワタシを見た双子は嬉しそうに撫で続ける。


…………甘えてもいいのかな?


ワタシは双子の腕を掴み、こっちの方に引き寄せて、ポフンッと双子の胸元に埋もれてみた。


そうすると、

双子は驚くが、そんなワタシを見て、微笑む。


「マリアちゃん、甘えん坊さん?」

「マリア、可愛いね……」

「ん……」


双子の匂いと体温に安心して、ホッと安心する。


前まではあんなにとにかく怖かった双子は、

今となっては心の底から安心するぐらい……信頼している。


楽と樂の前なら……弱い所も見せれる。


そう思い、ワタシはスリスリ頭を擦り付け、スンスンッと沢山匂いを吸って、満足したから帰ろうとしたが、双子がワタシを引き止めて、後ろから抱き締める。


ワタシはそれに驚き、歩くのを止めた。

双子はワタシの事を「大切」そうに見ていた。


そんな双子を見て、ワタシは何かをまた聞こえた。


「「マリア……………………ちゃんっ!」」


うっ…この間の声が聞こえない……っ


ワタシはまた一瞬、フラッとしたが、双子がそれを支えて、ワタシは安心すると、両耳から双子に囁かれる。


「「マリアちゃん/マリア」」


「「ずっと一緒にいようね」」


「「これからも、ずっと、永遠に。」」


その声にワタシはドキッとしてしまい、崩れ落ちる。そして、そんなワタシを見て驚く双子。


「っっっ!!は、早く帰ろっ!ねっ!」


恥ずかしいワタシはすぐに立ち上がり、家まで歩いた。


それを…………双子は「光のない目」で見ていた。



そうして「魔女たちの起こしたイベント」は終わり、平和な日常が戻った………………と思っていた。


「……マリアさん。」


木の上から見ていた「ヒーロー」は、ワタシたちを見ていた。


「大丈夫ですよ……貴女の事は…僕が助けます。」


そんな声は……森の中の風でかき消され、そのまま姿は風と共に消えた。


そうして…次の「イベント」が起きるのだった……



十話へ続く。

十話は10/13の月曜日に投稿します。


最後まで見ていただき、ありがとうございました。

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