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B=H//end  作者: U3
8/13

第八話 「マカロンの魔女」

注意:この作品にはR15程度の「暴力表現」や「性的表現」があります。苦手な方はバックする事をオススメします。

終わりが近づく夜。


まだ上からはバタバタと足音や壊れる音が聞こえる。地下室なのにこんなに上から音がするのは、

かなり騒がしいのだろう...でも、その音の正体はすぐに気づいた。


双子…(らく)(がく)が助けに来てくれた……

……と、ワタシは信じていた。


そうすると、慌てて喋る魔女と、

ヒペリに使える魔女の会話が微かに聞こえた。


「大変です!あの双子がっ!!」

「...双子ですか、やはりこちらへ来ますよね...


計画通りに進みましょう。」


「ですね……じゃ…………こうして…………あぁして…………」

「その場合…………が…………してくれると思うので………………その時に………………」


計画通り?一体なんの計画なのだろうか?

あと会話の内容がっ……しっかり聞こえないっ……!なんの話をしてるのか、気になって頑張って耳を傾けるが、大事な所がやっぱり聞こえない。


どうしたら……っと、思っていると、

またドーーーーーンッッッと、大きな音が聞こえる。


まるで「硬くも脆い、クッキーを割る」ように響く音。


この音の正体は双子なのか?

それとも大魔女、ヒペリなのか……?


そう考えている中、また大きく慌てている魔女の声だけは、ハッキリ聞こえた。


「ど、どどどっ……どうしますかっ!?」

「あの双子も捕まえます、

あの人形の……隣の牢屋にね。」


そんなっ…双子までっ!?そ、そんな事っ...!

ワタシは魔女たちに「そんな事っ、やめてっ!!」と届かない声で叫ぶ。


もちろん、魔女たちには、聞こえていない。


双子まで捕まったらどうなるか…っ!?

ワタシは双子の事が心配だった。


どうか……無事でいて……っ


「待ってっ!......んっ?」


扉が...開いてる?


「では、これから計画通りに行動しましょう、まずは来てくれた双子を歓迎しに……っん?」

「っ!!!人形が逃げました!!」

「な……っ!!??」


ワタシは魔女たちの感情の隙間を見ながら逃げた。


もしかして……この魔女たちも……?


いやっ、今は走り続けないと…っ!

扉は何故か開いていた、から、その瞬間、

ワタシはすぐに「逃げる」事を行動した。


…「逃げる」事など、ワタシには慣れてる。


むしろ扉が開いていたのは好都合だ。

地に足が着いているなら尚更、都合がいい。


よかったっ…これなら……

……双子...楽と樂に会えば、助かるかもしれない。


ワタシはすぐに走って屋敷の中を逃げた。

屋敷の中はたくさんの魔女でいっぱいだった。

ワタシはその隙間をぬって逃げ続けた。


「早く人形を捕まえなさい!」

「早く魔法を使うのよ!」

「やばいっ!双子も来るわよ!!」


魔女たちの声が、

後ろからも横からも前からもどこからも聞こえる。

皆、ワタシを捕まえようと魔法を使うが、

今は隙間が見えるっ!全部避けて、走り続けた。


屋敷は思ったよりも広く、あちこちに魔女はいた。


魔女たちは皆、杖を構えて魔法を放つが、

多分……大魔女の命令でだろう、身体に当たらないようにしている。


多分、ワタシを転ばせたいのだろうが、

今のワタシにはその隙間すら見える。


絶対に転ぶはずがない。


てか…こんなに騒ぎになっているのだから……

大魔女にもバレてるだろう、

また捕まる前に双子に会わなきゃっ...!


双子は今、どこにいるのだろうっ...?


そう思った瞬間、

ワタシは一瞬、意識が隙間が見えなくなっていた。


「っ!!」

「今度こそ、捕まえるわよ!!!」


その時、魔女たちが力を合わせて魔法をワタシに放とうとした時だった...


「「マリアちゃん!/マリア!」」


血のような真っ赤なチェーンソーは、放たれた魔法を切り裂き、ワタシを抱き抱えて、魔女がいない部屋の中へ入って、扉をソファーなどで開かないように置いた。そうすると、扉の外はドンッドンッドンッ、と叩く音で騒がしいが、部屋の扉は開かないようになった。


「...っ楽!樂!」


そう、助けてくれたのは、双子の楽と樂だった。

ワタシは安心して双子にギュッに抱きしめた。


そうすると、双子は驚くが、

すぐに優しい顔でワタシを引き寄せて、

ギュッッと抱きしめ返してくれた。


「もう大丈夫だよ、マリアちゃん。」

「もう怖くないよ、マリア。」

「うんっ...」


ワタシは抱きしめ合っている双子の体温を感じた。


あぁ...安心する......っ


匂いも体温も声も、全部、安心する。

良かった…楽と樂が来てくれて……。


ワタシは双子に埋もれるように身体を寄せると、

双子はワタシの頭や背中を「よしよし」と言いながら撫でてくれた。


「……なんで私、いつもこうなんだろう。」


命を狙われ続ける理由が分からない。

だって、今回のに関しては...ヒペリという大魔女は、「嫉妬をした」という理由でワタシを捕まえようとしている。


それを双子に話すと、双子は静かに黙った。


「……楽?樂?」


双子の表情が見えない...?


なんだか、重たい空気になったような気がする。


そういえば……と思ったワタシは双子の隠れてる方の目を見ようと、髪の毛を触ろうとした時、

双子が突然、ワタシの手を握ってきた。


と、思えば……

そのワタシの手を引っ張り、双子の方へ引き寄せられた。


そして、双子は顔をワタシの方へ近づき、

両方から首にキスをされる。


ち、ちょっとくすぐったい……


ワタシは一瞬離れようとしたが、

引き寄せられた力は強く、離れる事ができなかった。


そうすると……楽から口を開いた。


「...マリアちゃんは、オレたちとずっと一緒に居たい?」

「えっ?」


なっ、何を突然...?

ワタシが戸惑っていると、樂も口を開いた。


「...マリアは、ボクたちの事を信じてる?」


……双子の事を?


「うん、信じてるよ?だって、あの時もそう言っ...」

「これからもずっと、マリアちゃんは……信じてくれるの?」

「……楽?樂?」

「ボクたちはマリアの事…ずっと、永遠に守りたいって思ってる。」


「「だから……」」


ワタシは双子に引き寄せられて密着された身体から感じて、聞こえた……双子の強い心臓の音が。


「「マリアちゃんは…/マリアは…」」

「「...絶対にこれからも、必ず守るよ。」」


「例え、マリアちゃんが...」

「死のうが、生きようが...」

「「ずっと、オレ/ボクのモノだよ」」


「「どんな時でも、永遠に愛してる。」」


更に強く感じて聞こえてくる、双子の心臓の音。

ワタシもそれぐらい、

自分自身からも心臓の音が聞こえてくる。


双子からの思いもよらなかった言葉に、

ワタシは動揺、そして…別の感情が隠せなかった。


この心臓の音……双子にも聞こえるのだろうか...?


ワタシは双子の言葉に呑まれそうだった。


まるで、双子がワタシをその言葉で包み込み、

どこも逃げ出さないように、逃げられないように、

離さないように、離れないように…するかのように。


ワタシは、やっぱり……


(この双子の事を……楽と樂をもっと、理解しないといけないのかもしれない。)


双子の言葉は...

最初は凄く怖かったのに、何故か今は安心する。


まるで「熱い体温でチョコレートのように心も身体も溶かされていく」感覚だった。


それがまるで「双子の形になっていく」感覚でもあった。


それと同時に、「ワタシになっていく」感覚もある。


この感覚はなんなのだろうか...?

でも、逃げられないようにされてる分、

逆に、逃げてはいけないような気がする。


……そうすると、一瞬、頭の中に声が響く。


(マリア…………ちゃん…………!)


なんだろう、この声っ…?

一瞬、聞こえた声は、優しくて、あったかくて……心地よくて、安心する……まるで「金木犀のベッドに沈む」ような感覚……っ


ワタシは…………に向き合わないといけないの?


あぁっ...うぅっ...!!


「っ!?マリアちゃん!?」

「どうしたの?マリア?」

「っ!!……頭痛いっ……」


最近は…すぐに痛くなる...

動けない……苦しい……どうしてなのだろう...っ?


ワタシは力が抜けて、その場にしゃがみ、動けなくなる。


「だ、大丈夫っ!?」

「頭痛薬...魔女の屋敷なんだし無いかな...?」

「うぅっ......苦しいっ...」

「っ!!!!マリアちゃんっ!?」


ワタシは楽に身体を託すと、

楽は優しく抱きしめてくれた。


樂は部屋の中の近くの棚を探る。


ワタシは...こんな所で苦しんでる場合じゃないのに...っ


てか、早く逃げなきゃいけないのに、

どうしていつも、こうなるのだろう...??


双子に……申し訳ないなぁ……っ…


「...ごめんね、二人とも...っ」

「大丈夫だよ、マリアちゃん、絶対にオレたちが守るから...ねっ?」

「う、うんっ……」

「うーん、魔女にしか分からなそうな薬しかない...ダメだ、一旦…マリアを家に帰そう。」

「それが早いね、マリア、オレに近寄って?」

「う、うんっ...」


そうすると、

楽はワタシを抱き寄せて、お姫様抱っこをする。

そうして、チェーンソーは樂に渡していた。


「一旦帰ってから、あの大魔女を殺そう。」

「あるいはオレがマリアちゃんを見てるから、樂が殺してくる?」

「...それもありだけど、あの大魔女に使える魔女が厄介。」

「それはそうだよね...二人でなら殺せるけど...」

「とりあえず、マリアを家にっ......んっ?」


部屋の外が静かになったのを感じた。


怪しむ双子は、樂を先に部屋から出させた。

ワタシは楽にお姫様抱っこされたまま、ギュッと掴まる。


樂は部屋の外を確認すると、不思議そうな顔で出てくる。


「魔女たちが居ない...」

「えっ!?なんで!?」

「分からない...でも、怪しい。」

「……とりあえず、ここから出よう。」


樂がまた先に部屋から出て、

その後に続いて楽とワタシも部屋を出た。


確かに屋敷の廊下には魔女たちは一切いなかった。

そうすると、双子は顔を合わせ、何かを思ったのか、険しい顔でワタシを抱っこしたまま、走った。


ワタシは(なんだろう...?)と思っていると、

双子はすぐに玄関に向かうが、扉は……おそらく、双子が切ったのだろう、チェーンソーでズタズタになって、外とは普通に繋がっていた……が………


……外にも魔女はいなかった。


「……やっぱりか。」

「…………しょうがない…マリアちゃん?」

「う、うん?」


「オレたちから絶対に離れないでね。」


双子はワタシに強くて優しくてまっすぐな目で...

そう言い、見つめてきた。


ワタシはその眼力に圧倒されて、頷く事しか出来なかった。


「う、うん…っ」

「ふふっ、ありがとう、マリア。」

「とりあえず...向かおうか……アイツの所に。」

「だね……」


双子はさっきまで走っていたのに、

今は歩いて屋敷の中を歩く。


本当に一切出てこなくなった魔女たち。


その不気味な雰囲気に、

ワタシはただただ怯える事しか出来なかった。


これからどうなるのか...

それはワタシには分からなかった。


けど、この双子には「何か」分かるみたいで、

樂はチェーンソーを持ち、楽はワタシを絶対に離さないように抱き持っていた。


ワタシはそれに大人しくするだけ…本当に何が起きるのだろうか?


そうすると、ワタシと双子はさっきの奥の部屋とは違う、更に奥の部屋に着く。


樂が開けると、そこに居たのは......


「あら、そっちから来てくれたの?お人形さんと、双子さん?」

「っ!大魔女っ!」

「「やっぱりか……」」


楽はワタシを更に引き寄せて、

樂はチェーンソーを構える。


そう、そこに居たのは、

さっき魔女に話をされた...


……大魔女のヒペリ・リスだ。


この部屋はかなり広く、

下には儀式をする為の呪文や魔法陣が描かれていた。


そして、ヒペリの周りには...


「っ!!!???」


さっきたくさん居た魔女たちの死体だった。


「あ?この子たち?ふふっ、私の美しさを保つ為の材料にするの!だってお前達を捕まえれなかった使えない魔女だったんたの!当たり前でしょ?」


なんて非道な事を...っ!?

ワタシは怯えると、楽は強くワタシを抱き締める。

樂はチェーンソーを構え、絶対にヒペリから目を離さなかった。


ヒペリはそんなワタシたちを見て、

自身が持っているカバンからマカロンを取り出し、

パクッと一口で食べると、ニヤッッと笑い出す。


「そしてその次の材料は...お前だ、マリア・ヴェルヴェーヌ!


私の為に、死ぬがいい!!あははっ!!あはははははっ!!!」


そうすると、大魔女...ヒペリは光線の魔法を放つ。

双子はそれを避けながら、樂がヒペリにチェーンソーを向ける、が……


「っ!防御魔法っ……!!」

「あははっ!私の魔法、それは「生贄」よ!魔女たちの命をぜーーーぇんぶっ!マカロンして、それを食べて最強の「生贄の魔法」を手に入れたのよ!!!


攻撃魔法も防御魔法も、

最高力の魔力でひねり潰してあげるっ!!!」


マカロンのような見た目をした防御魔法を使われ、チェーンソーの刃が通らない事に、樂は気づく。


樂はそれでもチェーンソーで防御魔法の隙間をぬって切ろうとした、が、すぐに次の防御魔法を使われる。


「くっ…キリがないっ……」

「樂っ!戻ってきて!」


樂はそのまま楽の元へ戻り、その場で作戦会議をした。


「楽兄さん...どうする?」

「……あの大魔女が持ってるマカロンってどんぐらいあった?」

「……楽兄さんが思ってるような数だよ。」

「なるほどね……」


双子は頭を悩ませていた。

お得意のチェーンソーの刃が通らないのなら、

どうやってヒペリを抑え込むか……


……その時、樂は何かに気づく。


「楽兄さん……あの大魔女に使える魔女がいない。」

「…本当だね。」

「って事は……」

「時間通り、進んでるね……っ」

「ならっ…とりあえず……隙を突くしかないっ!!」


樂はジャンプをしてチェーンソーをヒペリに上から構い、向けて切ろうとするが、ヒペリはすぐにマカロンを食べて、頭の近くに防御魔法を使う。


その瞬間、楽は気づく。


「っ!!樂!マカロンにはクリームの隙間がある!そこだっ!!」

「っ……ここかっ!!」

「なっ!!??」


クリームと共に切られるヒペリのピンクの髪の毛。

まるで「綺麗に絞られたイチゴクリーム」のようにクリームと髪の毛が床にボドッと、落ちる。


ヒペリは切られた髪の毛に驚き、顔が青くなり、動けなくなる。


その一瞬、樂が地面に降りて、チェーンソーを腹部に構える。


ヒペリはチェーンソーが来るのをすぐに理解し、

焦って咄嗟にマカロンを食べて、防御魔法を使う。


だが、樂はマカロンの隙間、ヒペリの腹部に狙うようにチェーンソーの刃を入れた。


が、すぐにヒペリはまたマカロンを食べて、防御魔法を使って守った。


樂は刃が通らないのを瞬時に理解すると、すぐに次の距離、高さ、目も追いつかないようなスピードでチェーンソーを振り回す。


この時、ワタシは気づいた。


樂はヒペリに「生贄の魔法」をたくさん使わせている。


つまり、ヒペリの「命のマカロン」を消費させて……それを食べ切れば、マカロンは無くなる。


樂はそれを狙ってチェーンソーをずっと振り回す……絶対に隙を与えないように。

そして、ヒペリも攻撃しようとするが……


「攻撃する?なら、隙はあるよね。」

「ひぃぃぃっ…ぎぃゃあぁぁぁっっっ!!!!!」


攻撃の隙間にヒペリの片腕が切り落とされる。

残った腕で杖を持ち、マカロンを食べながら戦うが、消耗戦だ。ヒペリは徐々に身体を切られていく。


全身、野菜を輪切りするように切られていく。


ついにはヒペリは……上半身片腕しか残っていない。


動けなくなったヒペリは、マカロンを食べようとした、が……


……カバンの中にマカロンはもうなかった。


「うそっっ!?もうないっっ!!??」

「え、ないの?じゃあ…………」


その瞬間、ヒペリの首は……


「っっっ!!!!!」


まるで「マカロンのクリームの間を切る」ように、ボトッ……と切られて床に落ちた。


「……うそ……うそよ……うそだぁ…っ!」


ヒペリは屋敷の中…

そして外まで聞こえるぐらいの大きな声で叫んだ。


樂はヒペリの顔にチェーンソーを向ける。


……その表情は「快楽殺人鬼」の顔だった。


「あれじゃ、すぐに樂に殺されるね。」

「そんな……っ」


この場合、ワタシはどうしたらいいんだろうか?


ワタシにできる事、ないのかな…?


…………あれっ、ヒペリって、もしかして…っ?


「ん?マリアちゃん?」

「楽、降ろして。」

「っ!?マリアっ!?」

「ダっ、ダメだよっ!?降ろしたら、マリアちゃんを守れなくなるっ!」

「マリアお願い、そこにいて……っ!」


「……っ楽と樂は、ワタシの事を信じてくれないの?」


「「っっっ!!!」」


ワタシは双子をしっかり、この目で見つめる。

双子には見えない……が、ヒペリには見える。


「えいっ!」

「あっ!!!待ってっっ!!マリアちゃんーっ!!」

「マリアっ!!」


ワタシは走ってヒペリの近くまで走った。

うん、ここまでの距離なら…何かあっても逃げれる。


……でも、今は……………


「……っ…ヒペリ!!」

「…………まさか、お前からやってくるなんて…!私に何を言う気?何をする気?その憎たらしい目で…


…私を見つめて、どうしたいのっ!?」


………………向き合わないといけないっ…!


「……アナタは…本当は………「悲しい」の?」


「…………へっ?」


ヒペリの中にある……この、嫉妬という感情……

の中にある更に深い感情……それは……


「アナタは、悲しくて……こんな事をしていたの?」


その瞬間……ヒペリは突然、涙を流す。


「……なんでっ……そんな事をっ……?」

「……アナタから、悲しみを感じる……


……嫉妬って、怒りとか憎しみとかのイメージだったけど、アナタからは「純粋な悲しみ」が見えるの。」

「何を言っっ……!!」


「アナタは、あの悪魔を怒ってない、憎んでもない……ただ「愛していた」でしょ?」


「っっっ!!!!」


涙が溢れるように止まらないヒペリ。


「……ワタシのせいでこうなったのなら、ごめんなさい。」

「っ!違うの!何故っ……貴女が謝るのっ……?」


更に止まらない涙を流すヒペリ。

ワタシはヒペリに近づき、目の前に膝を着いて座った。


「……人は必ず過ちを犯す。」

「っ……」

「アナタもワタシも、同じ事を考えていると思う。」

「そんな事っ……」

「それは「彼は悪くない」という事。」

「っっ!!!!!」

「アナタは命を犠牲にしないと生き残れなかった、その魔法じゃないと、生きる事ができなかった……


……それでも、生きる理由が「彼」なら、この過去も今も「認めてほしい、愛されたい」と願うのは、アナタの純粋で綺麗で美しい感情だと、感じるの。


だから、ワタシは…………祈ります。」


ヒペリの前で手を握り、神様に祈りを捧げる。


「どうか、彼女……

ヒペリが望む「大切な人に愛されたい」という事が叶いますように…そして「ヒペリの美しい罪」をお許しください……。」


その瞬間、ヒペリは泣き叫ぶ。

この「マジックタウン」にも響く「少女の悲しみ」の泣き声が……


……と思った瞬間。


「っ!!マリアっ!!」


目の前には、ヒペリに使える魔女がいた。


……ダメだっ、逃げる隙が分からないっ!!


ワタシは逃げようとした時……

魔女はワタシを樂の方へ魔法で投げ飛ばした。


樂はすぐにワタシを受け止めて、ギュッと抱き締める。


それを見た、魔女は…ワタシたちに言う。


「時間は流れていく……


お前たちっ!!やりなさいっっ!!!」


外からも中からも魔女たちの声が聞こえた、と思った瞬間、屋敷の中が一瞬で炎に包まれる。


樂はすぐに楽の元へ戻り、

遠くから魔女を見つめる。

魔女はヒペリの頭を踏み、逃がさないようにする。


ヒペリはその瞬間……魔女たち全員から「裏切られた」事に気づく。


「お前らっっ……!!!!」

「全部、貴女のせいですよ、ヒペリ。」

「私はただっ!!!!」

「貴女の「身勝手で周りの見えない」おままごとに付き合ってられません。」

「やだっ……いやだぁぁっっ!!!私はまだっ……彼に……「ファレノ」にちゃんと想いを伝えれてないのっ!!!!助けっ……」

「相手が悪魔なら、地獄で伝えてきたら、どうなの?このっ!!!「醜い魔女」がっ!!!」


ヒペリの感情の底から出る泣き叫ぶ声が炎や煙の中から、聞こえてくる。


そして、魔女はワタシたちを見て、

目が笑ってない満悦な笑みの嬉しそうな顔で言う。


「ありがとう」


その瞬間、ワタシと双子は魔法で浮かされ、窓から外に追い出された。


外にいた魔女たちが「大丈夫ですか!?」と声を掛ける。


しかし……屋敷は…………


「……朝日だ。」


…………朝日が昇ると同時に、綺麗に燃えていた。


夜は、終わったんだ。

この夜は、ヒペリが「終わらせたくない時間」だったんだ。


そうすると、双子はワタシを後ろから抱き締める。


「「マリアちゃん/マリア」」


いつもより低い声で、双子はワタシの名前を呼ぶ。


「……楽?樂?」


不安になるような声で、心配になったワタシは、

双子の方へ、後ろに向くと、双子はワタシの事を…………


「「大丈夫だよ」」


「「だから、ねぇ…?」」


「「オレ/ボクを信じて、愛して、守らせて。」」


まるで「今にも泣くのを我慢する、幼い子供」のような目で見ていた。


ワタシはその目が逸らせず、動けなくなる。


双子は何を思って、そう言っているのか?

双子の感情は分からない、この目じゃ見えない。

双子が思うワタシへの想いは…今は分からない。


けど、それでも……


……楽と樂から離れちゃいけない、と思った。


ワタシは双子の腕の裾を掴む。

そうすると、双子は優しく微笑み、

全身で包み込むようにワタシを抱きしめる。


ワタシの身体は双子に埋もれて、

フワッと…双子の香りがする。


安心する、落ち着く……優しくてあったかい。


けど…………寂しさもある。


後ろからは屋敷の燃える音。

パチパチと燃える音は、まるで「魔女たちが嬉しそうに拍手している」かのような、喜びと怒りの音。


魔女たちは燃える屋敷を見て、何も言わなかった。

けど、燃え尽きるまで、じーーーーっと……最後まで見つめていた。


…………そうして、朝が来た。


太陽は優しくワタシたちをあったかく見守る。

その太陽の光は、まるで「ヒペリの罪が許された」ような、優しくてあったかい光……


ヒペリは彼に会えたのだろうか?


彼……確か、名前は…………


「マリアちゃん、家に帰ろっか?」

「マリア……帰って、一緒にお菓子食べよ?」

「…………うん。」


ワタシは双子と帰る事にした。

魔女たちは燃え尽きて灰になった屋敷を見て、どう思っているのか………それはワタシはあえて、その感情は見ないようにした。


その時、マジックタウンの入口から「警察」と「ヒーロー」がやってきた。


「げっ…ほんと警察って「事後」じゃないと動かないよねぇーっ!」

「だからイベントは終わらない……だから悪戯者は…全員殺す。」

「あっ、ヒーローも一緒なんだね。」

「ね、しかも何人も……なんの用事なんだろー?」

「ヒーローは「事前」に動くはずなのにね……」

「へ、へぇ……」


双子はやけにその事情が詳しかった。

チョコレートのお姉さんとお兄さんに教えてもらったのかな……??


双子はワタシを間に挟むように移動して一緒に歩く。


……その時「とある一人のヒーロー」は、

ワタシの事を見ていたように感じた。


き、気のせいかなぁ?


「「マリアちゃん?/マリア?」」

「あっ、なんでもないよ。」


ワタシは双子の顔を見ながら歩いて、長いようで短くいたマジックタウンを出た。


……そんなワタシの背中を見つめる「一人のヒーロー」は、ポツリと言う。


「……マリア。」


そうして、このイベント…「マカロンの魔女」の時間は終わった。




その後は、

いつも通りの時間が流れる平和な日常だった。


植物は育つようになり、お菓子も作れて、

閉まっていたお店は全部開き、

「スイートタウン」はお菓子を食べて人間と怪物で賑やかで愉快で平和な街になった。


うん……やっぱりこの街は、こうでなくちゃっ!


そして、ワタシたち…三人はこれから一緒に新しいお菓子を買いに行くのだ。


楽も樂もいつも通り、

楽しそうに会話をしながら支度していた。

うんうん、この仲良い雰囲気もこうでなきゃっ!


ワタシはそれが嬉しくて微笑んでいると、

双子はそんなワタシを見て、一緒に微笑む。


「何ー?マリアちゃんっ!」

「マリア、嬉しそう……」

「ん〜?なんでもないよ。」

「ほんと?ほんと?じゃなんで笑ってるのー!?えへへっ!笑ってる姿もマリアちゃん可愛いねーっ!」

「……ずっと笑ってくれてたらいいのに。」


一瞬、双子の表情が暗くなった。

え、ワタシ何かしたかなっ……??

流石に焦ったワタシは双子に話しかけようとした……が、すぐに双子は明るい表情に戻る。


「……楽?樂?」

「なーーんってねっ!よしっ!お姉さんのお店でチョコレート買おーっ!」

「今日はなんの野菜のチョコレートがあるかな?ねっ、行こ…マリア?」

「あっ……うんっ!」


ワタシは双子の事をまだ、よく知らない。

それでも、ワタシは双子と一緒にいる。


うん……やっぱり、この時間が続けばいいな……っ


悪戯者がいない、双子と一緒にいる幸せな時間。

なんて、思っているけど……この世界がある限り、悪戯者は必ずいる。


そうして、また追われる身になるのだろう……


それでも双子はワタシを守ってくれる。

なんて、いつまでも、このわがままを考えては思っている。


初めてのモノ……

初めての「愛」を双子から感じれるようになった。


この人生、何が起きるか分からないけど……

……それでも、ワタシは生きている。


双子は…いつまでワタシの傍にいてくれるのだろうか?いつかは離れてしまう運命なのだろうか?


ううん、こんな事、考えたくない……っ


ワタシは双子に手を握られ、

一緒にゆっくり太陽で明るい森の中を歩く。

楽も樂も太陽みたいに明るくて…笑ってて、嬉しそうだ………ふふっ、ワタシも嬉しいなぁ……。


そうして、最初の時間は終わった。


しかし……次の時間が…「イベント」が、すぐに迫っているのを、ワタシたちは、まだ、知らなかった……………



九話に続く。

九話は10/10の金曜日に投稿します。


最後まで見ていただき、ありがとうございました。

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