表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B=H//end  作者: U3
7/13

第七話 「その名前は」

注意:この作品にはR15程度の「暴力表現」や「性的表現」があります。苦手な方はバックする事をオススメします。

大昔、この世界はつまらなかった。


人間と怪物はくだらない理由で争いを続け、

それはまるで「お菓子の味の好みが違うから」と言うような、しょーもない理由だった。


…そうして、気づけば、数百年の時が経った。


人間も怪物も争う事は当たり前になっていた頃。

とある人間が一つのお菓子を配り始めた。


そのお菓子は、全ての人間、怪物が虜になった……


その味はまるで、皆で一緒に踊ったり歌ったり遊んだりしてしまうような、甘くて苦くてとにかく美味しい、魔法のお菓子。


……が、しかし、そのお菓子には名前はなかった。

見た目だって数百年前の話だ、誰も覚えていない。


だからこそ、人間と怪物は一緒に力を合わせて、

新しいお菓子をたくさん作り上げた。


その結果、

お菓子のお陰で人間と怪物は争わなくなった。


そうして今、そのお菓子から沢山の種類のお菓子が作られ、今はお菓子のお陰で平和な世界が保っている…………のは、見た目での事。


本当の世界は、変わらず争い続けていた。


生物として、生きてたらお互いに不満は持つ。

そうして、出来たのは「それぞれ、街でのルール」だった。


まず、この世界での代表的な街の「スイートタウン」では、三つのルールがある。


一、お菓子は必ず店で買い、貰う事。

二、知らない人間や怪物に着いてってはいけない。

三、悪戯者は必ず、呪われる。


三つ目は、世界共通のルールであり、

それを知らない、

理解していない悪戯者は、必ず呪われる。


それは、

その人を象徴するお菓子から、呪われていく。


そう、例えば……マカロンだとしよう。


マカロンは「アナタは特別な人」を表す。

つまり……ヒペリが呪われている事、それは……


……特別な人への呪いの感情。


そう、最初は魔女は語ってくれた。


「つまり、あの大魔女には特別な人がいるの?」

「はい、どうやら……少し聞いたお話です。


ヒペリ様が幼い頃……まだ人間と怪物が争い続けていた、数百年前の話です……」


魔女はまた、口を開く。


ヒペリは幼い頃、見習いの魔女として生きてきた。

しかし、周りの環境に馴染めず、虐められていたらしい。


その中で、一人の男性に出会う。


それは、虐められていたヒペリを助けた人……

……いいえ、悪魔の男性だった、らしい。


その悪魔はヒペリを助けて、

その場をすぐに去ったらしい。


そうして、魔女はその悪魔に特別な感情……恋をした。


ヒペリはその悪魔にまた会う為に、

まずは見た目から磨き始めた。


その磨き方は…………


「ヒペリ様は、多くの人間、怪物、魔女を生贄に捧げて、自分の美しさを保ってたんです。」

「…えっ...!?それって……多くの命を犠牲にしたって事?」

「はい、そうです。その中でも……特にヒペリ様からしたら憎たらしくて仕方ない、多くの魔女を犠牲にしてます。」

「そ、そんなっ……!」

「…………話を続けます。」


そうして、それを数十年以上も続けたヒペリは、

誰よりも美しく、綺麗で、可憐な少女の見た目をしていた。


何も知らない多くの人間と怪物は、

ヒペリの虜になった。


そうして、貢がれるお金、宝石、お菓子……

……そして、命。


気づけば…ヒペリは魔女の間では、

「誰も反抗が出来ない、恐ろしい大魔女様」となった。


だから、多くの魔女たちは、本当は密かに暮らしたい中、それを荒らすヒペリは、恐ろしく感じていた。


そんな中……数十年後に、ヒペリはあの悪魔に再開する。


その時、ヒペリはあの悪魔に告白をする。


「好きですっ!

私、貴方の為にたくさん、自分を磨いてきました!


貴方に相応しい女の子になりました!


お願いしますっ!付き合ってくださいっ!」


と、かなり自分勝手に。

普通の人間や怪物なら、

この告白は喜んで受け入れるだろう。


……だが、この悪魔は違った。


「はぁっ?何がしたいの?


アンタって見た目も頭の中も醜いんだね?


ハハッ、無理っ無理っ!

そんなんじゃ、会話にもならねぇよ。」


悪魔はヒペリを捨てた。

ヒペリはその後、家から数年間、出なくなった。

魔女たちはその間、安心して暮らしていた……が、また街に恐怖が陥る。


それは…

ヒペリがとある現場を見てしまったから、だ。


飴細工で作られたような美しい姿。

赤と青のオッドアイをした美しい瞳。

刺繍の糸のような美しい金色の髪の毛。


そして、その身体は人形の身体で、

全身、真っ黒な服を着ている女性で、


そんな彼女を陰から見ている悪魔の表情は……


……優しくも悲しい表情で、恋をしていた。


それを見たヒペリは、嫉妬に狂った。


「どうして?どうしてあの子なの?どうして?

私じゃないの??ねぇ、どうして……どうして??


あぁ、私じゃダメだったんだ。

あぁ、私とは違う可愛い女の子だ。

あぁ……あぁ…………あ"ぁ"っっっ!!!!!!」


そして、最終的に考えが辿り着いたのは…


彼女……いいえ、その相手の名前は……

「マリア・ヴェルヴェーヌ、そして、その命を捧げる事」だった。


そうすれば、私の事だけを見てくれる……

そう思ったヒペリは、全ての魔女に依頼をした。


それは「マリアという人形」を捕まえる事。

そして「ヒペリ・リスに」それを捧げる事。

こうして「マリアを捕える」という事が、

魔女達にとっては自分たちの命の救いであり、

そして、ヒペリを黙らせる一つの大きな手段だった……


「……じゃ、つまり…ワタシはっ……」

「はい、ヒペリ様の儀式によって…「死ぬ」でしょうね。」

「っっ!!!そんな身勝手なっ!!ワタシをそんな理由でっ!」

「えぇ…「そんな理由」ですよ?だから、なんですか?」


魔女は怒りのあるような冷たい表情で、そう言い放った。


この魔女……分かったつもりで、これをっ……!!

あの双子も巻き込ませて…酷すぎるっ!!


「っ……てかワタシはそもそも、その悪魔の事を知らないっ!会った事もないのにっ……!」

「いいえ、会った事はあるみたいですよ?」


会った事……あるのっ…?

そ、そんな記憶…ないんだけど…!?


「……えっ?」

「だって、その悪魔は…………貴女の事を、よく知っているようでしたから。」

「っ!?どういう事っ!?」

「さぁ?ヒペリ様はそう語っているだけであり、私には関係ありません………………


………………本当に身勝手な人。」


ん?何か最後、言ったような……聞こえなかった。


それにしても、この魔女は……ずっと怒っている。

まるで「大切にしてたお菓子を奪われた」ような感情...やっぱり、怒りを感じる。


本当にあの大魔女に使える魔女なのだろうか?

魔法の強さで言えば、かなり強く感じた。


あの一瞬の隙でワタシを魔法で浮かせたのだ、

かなり強い魔法の力を持つ者なのは理解した。


が、感情がかなり隙間のある……


最初会った時は普通そうに見えたが、

しっかりこの「目」で見ると、この魔女はやっぱり、あの大魔女に対して、怒りを感じた。


…さっき言われた過去と、何か関係がしてるのだろうか?


ワタシには分からないが、

この魔女はこの魔女ならではの考えがあるのを感じた。


ワタシが見てきた魔女は、

人間のシスターのフリをした黒魔術の魔女「エリカ様」ぐらいで、エリカ様は普通そうにしてたっけな...特に大きな感情は見つからなかった。


でも、この魔女は……やっぱり「怒り」を感じる。


でも、何考えてその感情なのかは...やっぱり分からない、理解できない。


ワタシはそう悩んでいる...と。


魔女はふと何かを思い出して、ワタシの顔に向かって指を向けた。


「……強いて言うなら、貴女は悪魔と深い関係がありそうでしたね、例えば……その瞳です。」

「……この目?」

「はい、ヒペリ様はその瞳、が憎たらしいと言っていました。」


んん?いったい何の話だろうか?

確かに、感情の隙間は見えるが……それ以外は普通の人形の目だ。


「…えっ、ただの目だけど…?」

「おや?私の何かをその目で見て、判断したからこの話になったのでは?」

「ギクッ!」


まぁ、流石にそこはバレてそうだよねっ……

魔女はワタシの目を見て、また何かを思い出したように話をする。


「それに……その目の色、双子と同じなんですね?」

「……思い返せば、確かにっ…!」


双子、それはワタシの事が……多分好きな二人だ。

(らく)が双子のくせっ毛の方の兄で、

(がく)が双子のストレート髪の方の弟で……


楽は右目が赤で、樂は左目が青だ。

お互いに片方の目は両片方、隠れて見えないが、

ワタシは特に気にせず、一緒に過ごしていた。

まぁ、ワタシも実際、右目が青で左目が赤だ。


……何か関係でもしているのだろうか?


魔女はワタシの目を見て、また何かを思う。


「……もしかして、貴女の、その目って…………ん?」

「んん?なんか上が騒がしい…?」

「少し見てきます、貴女はここに居てください。」

「あ、はい...」


魔女は地下室から去っていった。

ワタシ...は、どうしようか?


双子は今、何をしているのか...?無事なのか...?


今は何も分からないが......

......ワタシは双子...楽と樂を信じて待つ事にした。


「楽...樂...無事でいてね...っ!」


ワタシは祈りを捧げた。

それは、過去にしていた事だ。


神様なら、双子を守ってくれる...


「お願いします、どうか...二人を守ってください。」


そう信じて、シスターだった頃のように祈り続けた............




一方、双子の楽と樂は……


「っ…ここまで来たら、追ってこないでしょ!」

「はぁっ…はぁっ……なんなのアイツら…っ」

「ここに来た途端、変な事を言い出すからびっくりした...こんな事、初めてだよっ...!!」


この街「マジックタウン」に来てから、

とある事を魔女たちから迫られていた。


理解のできない双子はその魔女たちから逃げて、

とりあえず家の外壁に隠れていた。


「それはそうと、どうする?楽兄さん...マリアの所に早く行かないと...」

「そうなんだけど...あの魔女たちの話をまずは聞かないとじゃない?」

「...そうだね。」

「逃げてきちゃったけど、まともに話が出来なさそうだっだもんなぁー...どうしよう!」

「そうなると、まともに話の出来そうな魔女を探そう。」

「だねっ!」


双子は外壁から街へ出ると、

双子を探していた魔女たちが追いかけてくる。


「待って!」

「話を聞いて!」

「お願いしますっ!」


まるで「埋まってる感情」が迫ってくるような感覚の双子はその感情じゃ会話が出来ない、と思い、逃げ続けた。


「やーーーっ!なんでこんなに大量の魔女に追いかけられなきゃいけないのっ!?」

「流石に会話はできなそう...あっ!ねぇ、楽兄さん、あの魔女は?」

「ん?どこどこ?……あれか。」


街の奥まで行くと、庭を掃除する魔女がいた。

そこは...教会の庭だった。


その魔女は大人しそうで、話が通じそうな雰囲気だったのを、双子は「見て」理解して、話しかけた。


「…あの〜」

「っ!貴方たちは双子の殺人鬼っ...?」

「……あれっ、もう知ってるのー?」

「は、はい。ヒペリ様の命令で...本来なら「殺せ」と言われてます......が。」

「……が?」


魔女は双子に深々と頭を下げた。


「すみません……私たち、魔女たちのお話を聞いてくれませんか?」

「...後ろに魔女いるね、樂。」

「...でも、マリア言ってたもんね。」


それは、

マリアが魔女に連れ去られる時に言った発言。


「関係の無い人は殺しちゃダメっ!!!」


この発言を、双子はしっかり、覚えていた。


「…オレたちにできる事、あるの?」

「……私たちは、貴方たちを待っていました。」

「質問の返事になってないよ?」

「......話をさせてください。」


魔女たちは重たく、苦しい空気を出す。

まるで「命からがら、腐る寸前の生菓子」のような......


......双子は魔女たちの話を聞く事にした。




庭掃除をしていた魔女は、教会の中へ双子を入らせた。


中は思ったよりも綺麗で、ホコリは一つもない。

だが、お菓子は少なく、明かりのロウソクも消えかけていた。


薄暗い部屋の中...

双子は椅子に座らず、魔女は座り、話をし始めた。


「これは、私たちが...ヒペリ様がこの街に来る前のお話です…………」


大昔、この「マジックタウン」は、魔女と魔法使いが住んでいた魔法の小さな町だった。


周りは森だらけで、

誰も住まないような場所に、

魔女と魔法使いは仲良く暮らしていた。


その中で、魔法使いは特に大きな魔法の力を持つ者で、種族で言えばエルフが多かったらしい。


そして、魔女は人間からなる者が多く、

ほとんどの魔女たちは、

お菓子がないと生きていけなかったらしい。


だから、皆でお菓子を作ったり、分け合ったり、開発したり、それを他の街で売ったり、などをして、町自体の生計を立ててた。


そうして、小さな町は大きくなり、街になった。


その後も魔女も魔法使いも仲良く暮らし、

これからもそうなっていく.........はずだった。


ヒペリという魔女が現れた。


その魔女は幼い頃、

他の街の魔女に虐められていたらしい。


他の街の魔女は、

お菓子ではなく、薬を作って売っていた為、

自身の魔法へのプライドの高い魔女たちは、

小さな見習いのヒペリを虐めるには、ストレス解消には持ってこいの対象だった。


つまり、ヒペリは「環境が悪く」虐められていた。


しかし、「マジックタウン」の魔女と魔法使いは優しい。ヒペリの事を暖かく迎えようとした...のだが、それをヒペリは全否定。


むしろ、この「マジックタウン」を脅かす存在になってしまったのだ......


まず、ヒペリは魔法使いよりも強い魔法で、

自身を誰よりも強い立場にさせた。


そして、数人の魔法使いは、ヒペリの魔法……

……「生贄」の魔法で、数百人の大人も子供も関係なく、自身の美しさの為に、命を儀式に捧げた。


そんな魔法使いたちは、

「ヒペリに構うのが面倒だ。」と、言い、

全員、「マジックタウン」から去っていった。


そうして、残ったのは......


「私たち、弱い魔女たちだった。」

「...なるほどね。」

「...ふーん……。」

「私たちは本当は、密かに皆と仲良く、お菓子を作って暮らしたかった、けど……ヒペリ様はそれを許さなかった...代わりに薬を作らせ、お金をたくさんお金持ちから売り上げて、そのお金は美貌の為に巻き上げて……を繰り返してました。」


樂は魔女たちの「お金事情」という話を聞いて、

自身の「お金事情」の事を思い出す。


「……お金かぁ。」

「...樂?」

「ううん……まぁ…なんでもない。」

「ふぅーん...」


楽は何となく、

樂の事を理解している為、深くは聞かなかった。


「... 気づけばヒペリは「マジックタウンで最強の魔女」になってました…………」


そうして、魔女はまた、語り出す。


ヒペリは魔法で力を示し、

弱い魔女たちはそれに怯えながら暮らす日々だった。


気づけばヒペリの命令に従うのは当たり前、

ヒペリの言葉は絶対であり、抗えば「生贄」にされる。


本来、お菓子作りにしか魔法が使えない魔女たちからすれば、薬を作るのすら抵抗もある、そして何より難しかった。


お菓子と薬は違う。

けど、この世界でのお菓子は、

「学校で習わなきゃお金で売る事」は出来ない。


習ってもいない、独学で作っているお菓子は、

お菓子との交換対象となり、お金にはならない。

なんなら、そもそも、元々は魔女と魔法使いの仲間同士でしか食べない、身内でのお菓子作りだった。


だから、薬を作らなきゃいけなかった。


魔女たちは長年の知識で頑張って薬を作った。


よくある頭痛薬、胃腸薬、解熱薬、風邪薬、あるいは、そもそも健康でいられる薬……など、お金持ちたちが凄く喜ぶような薬を大量に作った。


結果、魔女たちは魔法の力が強くなった。

お菓子しか作ってなかった頃とは大違いだった。

長年生きるエルフの魔法使い並の力を手に入れた。


...が、為に、多くの魔女たちは、ヒペリに抵抗をした...その魔女たちは全員、ヒペリに負けて、命を捧げられた。


そうすると、薬の欲しさに集まるお金持ちの人間や怪物は、街へやってくる事もあった。


その全員は、ヒペリの美しさに魅入られ、

ついには、そのお金持ちの人間や怪物も命を捧げられた。


気づけば...この街は、ヒペリの為のモノとなり、

ヒペリはどんな人も受け入れては、命を捧げて更に美しくなり...それにまた魅入られて...を繰り返した。


「警察」や「ヒーロー」もヒペリには目をつけていた、が、そんなすぐには、簡単には手出しは出来なかった。


それは「ヒペリの近くには悪魔がいる」という噂が流れていた、からだ。


そう、ヒペリには「恋をした悪魔」がいて、

その悪魔の為に「命を捧げている」という事もあり、「ヒペリの近くには悪魔がいる可能性がある」との事から、「警察」と「ヒーロー」は手出しが出来なかった。


……ヒペリはその事を理解した上で、この悪行を続けた。


まるで「好きな人が守ってくれている」ような感覚だったのだろう、と多くの魔女たちは思っていた。


その中、とある日に…その悪魔が、この街に来た。


ヒペリは喜んでその悪魔に会いに行った。

いつもよりも美しさを保ち、

ピンクの可愛い服、

ピンク髪のツインテール、

そして、多くの命が生贄で捧げられた、マカロンの花束を持って。


ヒペリはまるで可憐で純粋な女の子のように、悪魔に話しかけた。


が、悪魔はそんなヒペリを見て、嘲笑った。


「それって何がしたいの?

それだと、アンタは醜い魔女だな。」……と。


そう...悪魔はヒペリの全てを否定したのだ。


ヒペリのやっている事、やってきた事、

何もかも全て、全部を否定した。


どれだけ見た目が美しく、可憐で、綺麗でも……

……やっている事、内容が最悪ならば、それは「醜い魔女」だと、悪魔は語る。


悪魔はこう言う。


「本当に美しい人って言うのは、「相手を受け入れられなくても、対話をしようとする人」だ。」...と。


そう、それは...

ヒペリが一切やってこなかった事だった。


ヒペリは圧倒的な力と、圧倒的な立場で、相手を受け入れをそもそもせず、対話すらしてこなかった。


代わりにしていたのは「身勝手な生贄」だ。


自分たちの話を聞いてほしくて、

抵抗をした魔女たちを、

話なんて一切聞かなかった。


そう、ヒペリは「自分勝手で周りが見えない醜い魔女」と、恋をしていた悪魔...男にそう言われたのだ。


そう言われたヒペリは酷く悲しみ、

数十年、屋敷へ閉じこもった。


そう、その行動すら身勝手だったが、

逆に魔女たちは喜んだ。


このまま、あのヒペリが反省して落ち着けば……

……なんて思っていた。


魔女たちは改めてお菓子をたくさん作って、

分け合って、楽しく暮らしていた。


……こんな、幸せな時間、続けばよかったのに。


が、その矢先……とある事件が起きる。


それは、ヒペリがとある日に、近くの街……

……「スイートタウン」での出来事だった。


ヒペリは無くなったお菓子を買いに、「スイートタウン」来ていると...たまたま通った教会を見つける。


そこには、優しそうな顔をした人間シスターと一緒に、とある金髪の少女が教会の庭に居た。


ヒペリはすぐにシスターが人間ではなく、「黒魔術を使う悪い魔女」だと気づき、「あの女の子はすぐに死ぬわね……」と思い、立ち去ろうとした時……その教会の近くの建物から、人影が見えた。

そうすると、ヒペリは驚く。


そう、そこには「ヒペリを否定した悪魔」が居たのだ。


ヒペリはすぐにあの悪魔へまた、話しかけようとした時...悪魔の表情を見た時、ヒペリの感情は、狂った。


それは...「金髪の少女を愛する目で見ている悪魔」だったからだ。


まるで「大好きな女性を優しく愛でるような瞳」で、ヒペリには一切向けられなかった目、表情、そして、その感情。


その少女の名前は、すぐに理解した。


「マリア、教会へ戻りましょうか?」

「はい、エリカ様。」


そう、話す二人は教会へ入っていく。


「マリア」それが、彼女の名前。


そうして悪魔も「マリア」という女性を見て、

「本当に愛する女性」にしか見せない恍惚の笑みを浮かべ、ポツリと「マリア……」と言って、悪魔もどこかへ去っていった。


それを見たヒペリは、更に酷く悲しみを抱いた。

それと同時に、ヒペリは酷く嫉妬に狂った。

そして私たち魔女に、命令をする。


「あの女を......マリア・ヴェルヴェーヌを調べなさい、そして、私の生贄に捧げてっ...殺してやるっっっ!!!!!!」


……と、ヒペリは狂ったように笑い出す。


魔女たちはその声に怯え、

命令には従うしかなく、

ヒペリの命令通り、まずはマリアを調べた。

そうすると、マリアには特別な身体と魂を持っている事を魔女たちはヒペリに伝えた。


それは「人形の身体、魔法の魂」である。


まるで、「幻想的」な存在のマリアを聞いて、

更に嫉妬をするヒペリ。


そう、どこまでもヒペリは身勝手なのだ。


気づけばマリアの居場所だったシスターのフリをした黒魔術の魔女は切られ、動けない事も知った「自称強い魔女」は、その魔女や別の日に切られた魔女も一緒に、教会で焼き殺し、その魔女も、ヒペリの命令により、ヒペリに使える本当に強い魔女が焼き払った。


そう、全てはヒペリの思い通りに動く。


だが……ヒペリには厄介な敵が現れる。

それは「双子の快楽殺人鬼」だった。


その双子は、

ヒペリの全てを否定するように、邪魔をしてくる。


なんなら、

その双子は「マリアの事を愛している」のだ。


そう、まるで「あの悪魔」のような瞳で...マリアを守っていた。


それがとにかく気に食わなかったヒペリは、更に嫉妬狂い、最終手段、「マリアを誘拐」する事にした。


そうして……今に至るのであった。


「と、言うのが、ここまでの話です。」

「……つまり、マリアちゃんを巻き込んだのは、そっちのせいって事?」

「でも、そっちも巻き込まれてる……って事だね。」

「はい、どちらにせよ……貴方たちも、私たちも...目的は一緒です。」


あの大魔女、ヒペリを殺す事。


「同じ目的ならば、私たちは貴方たちを守ります。が、あの屋敷内にいる魔女たちはヒペリに使えている...信仰している魔女たちばかり……私たちからしても敵です。なので…………」


「全員、殺してきてほしい。」


「……そんな事、していいのー?」

「……オマエたちも身勝手だね。」

「…………そうするしかないのです。」


魔女たちは杖を持ち、双子に杖を向ける。


「もし、貴方たちがその案に乗らないのならば……今、ここで殺します。」

「ふぅーん?」

「ボクたちを?」

「えぇ、なんなら……私たちも含めて、殺します。」

「何のつもりで?」

「何の意味があって?」


魔女は大きく息を吸い、吐き、

杖を持つ手をギュッと強く握りしめ、

剣幕な顔で言う。


「簡単です……ヒペリ様に殺せれるぐらいなら、自ら自分たちの命を道ずれにした方が、早いからです。」

「……意味ないよ?そんな事。」

「……まぁ、どうせオマエたちじゃ、ボクたちは殺せないし…………あと。」


双子は魔女たちが構える杖など気にせず、

そのまま教会を出ようとした。


「待って!!どこに行くっ!!??」


「……その案には乗れない。」

「……だって、ボクたちの目的は……」


「「マリアちゃん/マリアを守ることだから」」


双子は教会を出ると、魔女が追いかけてくる。


「っ!!ヒペリ様を殺す気はない、と?」

「それは、オレたちがやるべきなの?」

「それは、オマエたちがやるべきなんじゃないの?」


「っっっ…ですがっ!」


「それに、その考えはキミたちだけじゃないと思う。」

「ボクたちはマリアを守るだけ、それだけだよ。」


双子は血のような真っ赤なチェーンソーを持つ。

魔女たちはそれに怯えて、動けなくなる。

……が、過去を語っていた魔女は引かなかった。


「それは...どういう意味ですか?何故、そこまでしてマリアという女性を守るのですか?」

「「……それは...」」


双子は口を揃えて、光の無い目で魔女たちを見る。


「「オレたちはキミ/ボクたちはオマエみたいなヤツらから守らなきゃいけないんだよ」」


「「本当に話がならない、身勝手なヤツらだね」」


「「守る理由なんて簡単だよ」」


「「オレたちが/ボクたちが愛してるから、だよ。」」


双子はチェーンソーを屋敷に向ける。


「今、助けに行くからね、マリアちゃん。」

「今、守りに行くからね、マリア。」


双子は屋敷までチェーンソーを持って、一緒の歩幅、一緒の呼吸、一緒の目線で走って行った。


それを見つめる魔女たち。


「...どうしますか?」

「……我々も、準備をしましょう。」


そうして、魔女たちはそれぞれ準備を始めた。

それぞれ、杖と油を持って…………


「……マリアちゃん...」

「……マリア...」


双子は急いでマリアの元へ走った。

そうして、マリアのいる屋敷へ着くと、双子は顔を合わせ、頷き、チェーンソーで扉を切った。


そうすると、屋敷の中に居た魔女たちは慌て出す。


地下へ声をかける魔女を見つけた双子は、地下へ目をやる。


「あそこに...」

「マリアが...」


双子は地下へ向かおうとするも、

魔女たちが部屋からたくさん出てきては阻んでくる。


「...どいてよ」

「...邪魔だなぁ」


双子の表情はまるで「殺意」の塊だった。

双子はチェーンソーを持ち、

襲ってくる魔女たちを退かすように振り回す。


そして、双子はマリアとの約束を忘れずに。


そうして、双子はマリア奪還......

......そしてヒペリの殺害を望む魔女たち。


この最初の物語…運命は、どうなるのか?


それはまだ、誰も知らない…………。



八話へ続く。

八話は10/6の月曜日に投稿します。


最後まで見ていただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ