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B=H//end  作者: U3
10/13

第十話 「新たな出会い」

注意:この作品にはR15程度の「暴力表現」や「性的表現」があります。苦手な方はバックする事をオススメします。

朝が来るようになった数週間後……


今は夜が来て、そろそろ寝る時間になっていた。


このボロボロの廃墟アパートでも、水は出る為、

ワタシたちは、お風呂には毎日入っている。


ちゃんと石鹸やシャンプーとかリンスも双子の弟の(がく)が買ってくれていて、ガスも電気も通っているのか、ライトは付くし、お風呂も温かい。

それの支払いも樂がしてるのだろう…助かる。


そのお金を稼ぐ為に、双子の兄の(らく)も一緒に大道芸で手伝っていると思うと、やはりこの双子は仲良いなぁ、と思う。


その双子にワタシは執着されているのは、

正直、不思議だが、今は何となくそれが安心するワタシもいるから、今は一緒にいる。


そんな中、お風呂に入る時、ワタシはいつも一人で入る。双子は毎日一緒にお風呂に入っていて、理由は「昔からだったから」言っていた。


流石に双子と一緒に入る事はない……し、

むしろ「「いや!!大丈夫!!」」と言って慌てて離れるから、その慌て方が面白くて少し笑ってしまう。


何かやましい事でもあるのだろうか?

ううん、ただ単に「恥ずかしい」だけなのかも、と思うと可愛く見える。


そんな双子はお風呂入る前の時にはもう、いつも着ている大きいフード付きのピエロみたいな上着を脱いで、ベッドの下に入れる。


双子にとって、このベッドの下は収納スペースみたいで、お菓子などを、そこに入れている。


……流石に魔女から貰った大量のお菓子は入りきらず、ベッドの横に置いてあるけど…。



そんなある日、双子が先にお風呂に入っていると、ワタシはたまたま双子がベッドの下に入れ忘れた上着を見つける。入れといてあげようかな……?


「あれっ、珍しい…楽〜?樂〜?上着、下に入れとこうか〜〜!?」

「「お願いしまーすっ!/しま〜すっ。」」


お風呂から聞こえる楽しそうな声。

双子はよくお風呂で遊ぶらしいが……そんな年頃には見えないから、やっぱり年齢とか分からなくなる……双子は一体何者なのか……なんて、考えてしまうが、今はとりあえず上着を入れてあげよう……


……ん??


「なんか奥にある……?」


ワタシは、何かを見つける……それは…………


「……本……本だっ……!?」


しかも分厚い難しそうな本だ……っ!!

こ、これは……っ!!!


「マリアちゃんー!お風呂あがったよー……って、何してるの?」

「……マリア?何してるの?」

「こ、これはっ……どうしたの!?二人ともっ!!」


ワタシの周りには大量の本を奥から出してきて散らばっていた。ワタシは……昔から本が大好きなのだっ!!!本を見つけたことにより凄く興奮して嬉しくなって、双子が来ては早速、何故あるのか?を聞いた。


「えっ?あー、それ?お姉さんから貰った本だね。」

「……って事は…お兄さんから貰った本も見つけた?」

「へ?ん?これ?」

「あ、それそれ、それは読んじゃダメ。」

「えっ!!??」

「マリアにはまだ早い。」


それは、確かに「大人向けの本」だが……ふふんっ!


「ワタシだってこういうの読んだ事あるよ!」

「はっ?」

「えっ?」


双子は固まる。

それをワタシは双子をほっといて「その本」も読み始める。


「てか、ワタシだって大人だもの……そりゃこれぐらいの物は読っ……」

「マリアちゃん、もうっ!これからは読んじゃダメ!!」

「えっ!?ちょっ!取り上げないでよっ!」

「だーめっ!マリアちゃんはそういうのを知らない子でいいの!!」

「大丈夫だって!もぉっ……読みたかったのに…。」


ワタシはムスッとして、そっぽ向く。


読みたいなぁ...読みたいんだよなぁ...

勝手に読んだら怒られるかなぁ?

でも、夜はいつも双子は先に寝るし……


……その時にでもこっそり読もうかな?


だって、本だよ!?

本は読まないともったいないっ!


ワタシはルンルンで本の整理をしている……

と、双子はワタシを後ろから抱きしめてきた。


ど、どうしたのだろう?


「マリアちゃんって、おマセさんなんだね?」

「じゃ、これからボクたちにされる事も……大人なら、知ってるって事だよね?」

「ちょっ、ちょっ!?やっ...んぅっ...っ」


双子はワタシの服の中に手を入れようとした……


……時だった。


「っ!きゃっ!!??」


パリーーーーンッッと、

突然、矢が部屋の中に飛んできた。


それを双子は、すぐに出した血のような、

真っ赤なチェーンソーで盾にして防いでくれた。


矢は……かなり鋭利で「確実に仕留める」ような、

怯えるぐらい「殺意」を感じた。


ワタシは動けなくなり、その場で腰を抜かし倒れそうになったワタシを、楽はすぐに背中を支えて、樂に無言のコミュニケーションで、窓を見るように目で話す。


樂はすぐに窓を見て、外に誰か居るかを覗く……が。


「ダメだ、楽兄さん……誰もいない。」

「えぇーっ!?いないの!?」

「……多分、かなり遠くから矢を飛ばしてきたかも、あるいは逃げ足が速いか……」


そう言いながら、

樂は窓の下に散らばったガラスを一つ一つ拾う。


動けないワタシを見て、楽はワタシをお姫様抱っこして、ベッドに寝かせて、布団をかけてくれた。

そうして楽はベッドに座り、ワタシの頭を撫でながら、双子は話を続けた。


「でも……この矢さ?……マリアちゃんは狙ってなかったよね。」

「明らかに……ボクたちを狙ったね……


……特にマリアの胸触ろうとした楽兄さんね?」

「えっ!?バレてた!?」

「ボクはおしりだったけど……」

「えーっ!?おしりと胸だったら胸の方がよくない!?」

「分かんないけど、そうなんじゃない?」

「もーっ!こんな事したの、誰なんだよーっ!」

「……楽…樂……ごめんね。」


ワタシの一言に、双子は驚く。


「……また、何かに巻き込んじゃったかも………」


ワタシは布団の中で蹲る。


……申し訳ない気持ちが強くなってきた。


前は魔女の「イベント」に巻き込まれ…

…次は「矢が飛んでくる」だなんて…

こんな目に遭わせてしまうのはワタシのせいだ…。


と、思っていると、双子はクスッと笑い、

ワタシの両隣に布団の中に入ってきた。


ワタシは突然の事に驚くと、双子はそんなワタシをギュッと両隣から抱きしめてくれた。


……あったかい…落ち着く……。


ワタシは双子に抱きしめている腕をギュッと握る。

そして顔を埋めて、双子の体温を感じる。


安心する体温と匂いに、ワタシは寝そうになると、

楽はワタシの頭を優しく撫でて、

樂はワタシのお腹を優しく撫でた。


ワタシはその優しい双子の、体温を感じる手に安心して、双子の腕を握ってた手は、自分の腕ごとギュッと抱きしめて、双子を引き寄せてスンスンとしながら双子に埋もれて寝る事にした。


本は明日でもいいや……


そんなワタシを見て双子は「ふふっ」と笑う。

そのまま、ワタシが眠るまで双子は撫で続け、一緒に眠った……


そんなワタシたちを見ている「とある影」


「……マリアさん」


その影に……ワタシたちはまだ気づかなかった。




次の日、ワタシは本を朝から読んでいた。

もう起きてから二時間経って、十冊は読んだかな……思ったより読みやすくて良かったっ!


でも、もう本が無くなりそう…

どうしようかなぁ…まだ読んでいたい気分……


……あ、そうだっ!


「…………あれっ、マリアちゃん?」

「ん?マリア……?」


「「…………......いっ、居ないっ!!??」」


ワタシはそそくさと支度して、図書館へ向かった。

……これはこれで双子に怒られそうだけど、し、しょうがない!だって読みたいんだものっ!!


それに……双子を巻き込みたくない。


楽と樂には申し訳ないけど……今はワタシがワタシの身の危険を気をつけながら行こう。

心配させそうな気もしてきた、う、うーんっ!良かったのかなぁ……ううんっ!巻き込むよりマシっ!


ワタシはそう思いながらいつもの街「スイートタウン」に向かった。


スイートタウンに着くと、

街はいつも通り賑わっていた。


お菓子を手に楽しく愉快に、

踊ったり歌ったり遊んだりする人間と怪物たち。

その楽しそうな姿にワタシも楽しくなり、微笑む。


ふふっ、これだよね、これこれ!


ワタシはそう思いながら、ルンルンと早歩きで図書館へ向かい、すぐに着いた。


ここは……ワタシがシスターだった頃から、通っている大好きな図書館だ。


見た目は古いけど凄く大きくて広いし、

数え切れないほどの本が沢山置いてある。


こんな素敵な図書館にまた来れるようになるのは嬉しいなぁ……でも、双子は若干嫌がるんだよね…


そういうのが苦手なのかな?

そもそも本も読まないイメージあるし……

勉強自体もしているのかすら知らない…

まぁ、それは今後に聞けばいいよねっ!


今は本だ!!本を読もうっ!


そう思い、ウキウキしながら本を手に取ろうとした…………瞬間、他の人の手が重なる。


ワタシはびっくりして、

咄嗟に自身の手を本から離れて、相手の顔を見た。


そうすると、相手はワタシを見て驚いていた。


「す、すみませんっ、大丈夫ですか?」


相手はそう言い、ワタシが取りたかった本を手に取り、渡してくれた。


「えっ…とっ…すみません、それ、読みたいですよね?ワタシは後で大丈夫です。」


そうワタシが言うと、相手はびっくりした顔をするが、すぐに優しく微笑む。


「いえ、僕は別の本を読むので...大丈夫ですよ。」

「で、でもっ...」

「それか、一緒に読みますか?これぐらいの分厚さなら、すぐに読み終えると思いますし...嫌ではなかったらで、いいんですが...。」


相手は「すみません...」と申し訳なさそうに微笑み、言う。


...ふむ、一緒に読む、かぁ...ありかもしれない。


ワタシは相手の条件を受け入れる事にした。


「はい、分かりました。それなら一緒に読みしましょう。」

「えっ...いいんですかっ!?……あっ、すみません……っ」


相手は何か嬉しかったのか、凄く喜んでいた。

てかこの人?どこかで見たような...有名な人な気がする。


でも、ワタシ、有名人は詳しくないからなぁ……


双子なら知ってるかな?後で聞いてみよう、

と、思ったがすぐに答えが出た。


それは近くにいた図書館の利用者さんが気づいた。


「あっ...!あの人って「猫の王子様」で有名な「カッツェン様」じゃない?」

「本当だっ...!!!本なんて読むのねっ……!!かっこいいっ……!!イケメンだわぁっ...!!!」

「きゃーーっ...!!かっこいいいぃぃっ...!!」


ヒソヒソと図書館の中は全部、

この相手の事で話題となり、騒がしくなる。


それを相手は申し訳ない、と思ったのか...


「すみません、一度、外に出ましょうか?」

「あ、は、はいっ...」


そんな言葉につられ、ワタシは一緒に外に出た。


「本当にすみません...大丈夫ですか?」

「い、いえっ!その、こちらこそすみません...

...アナタの存在を知らなくて...」

「いいえ、むしろ......………………



知らない方がいい。」


ん?なんか最後の言葉、聞こえなかった気がする……?


「え、えっと?」

「あ、いえ!大丈夫です。すみません...本を読みたくて来てたのに、僕のせいでこうなってしまって...お詫びに近くの美味しいラングドシャを奢ります。」

「えっえっ!?そ、そんなっ!大丈夫ですよ!?」


こんな人がいるのか!?

でも確かに...お姉さんのお店にあるテレビで見た事あるかもしれない...この顔の人。


たしか「ヒーロー」をやったような…………


と、思っていると、相手は急にワタシの前に跪き、ワタシの手を優しく手に取る。


「僕と一緒に、来てくれますか?お姫様?」

「っっっ!!!???」


何を言い出すんだっ!?この人はっ!!??

こんな事、言われた事ないっ...てか、人前!!!

皆見てますけどっ!?は、は、恥ずかしい...っ!!


外でそんな事できちゃうの!?す、凄い度胸のある人だなぁ......と、ボーーーっと考えていると……


「ふふっ、照れました?」

「あっ、いやっ!そんな事ないです!」

「ふふふっ...素直な方ですね……

あ、すみません...名前を言うのが遅れました。

僕の名前は「ネモ・カッツェン」です。

この街で「ヒーロー」をしています。


......貴女の名前をお聞きしても?」

「あ、えっと...マリアです。」


「………………マリアさん。」


ん?一瞬、この人の顔が暗くなったような……?


「あのっ?」

「あ、いいえ、お気になさらず!さぁ、僕と行きましょ?」

「……じ、じゃ...はい。」


ワタシはその手を握ると、相手は嬉しそうに微笑み、そのまま立ち上がり、ワタシの手を握ったまま、美味しいらしいラングドシャのお店屋へ歩く。


「この辺は焼き菓子が有名なんですよ」

「へぇ...」

「そこで美味しいラングドシャを作っているお店があって...僕の行きつけなんです。」

「そうなんですね...」


この人、思ったより喋るし...あ、身長が高いな...?

双子より高いかもしれない...しかも歩き方も上品に感じる、これがさっきの噂の「猫の王子様」ってやつなの……っ??


それにしても、こんな有名な人と一緒に居られるって凄いかも...びっくりしてしまう。


でも、

双子も大道芸ではこの街の中だと、有名人ではある。どこの人間も怪物も皆、年齢関係なく、双子に声をかけるからなぁ...


でも、この人はなんか違うっ...

見た人全員がキラキラ輝いて、

なんか倒れる人もいるような気がするぐらい、

この人はかなり凄い人なのだと思った...。


そう思って見つめていると、相手はワタシの視線に気づき、微笑む。


「……マリアさん?どうしました?」

「あっ、いえっ!あ、えっと……」

「ふふっ...「ネモ」で大丈夫ですよ、マリアさん。」

「あ、はい!えっと……ネモさんは、本当に有名な方なんですね……視線が凄いです...」

「そうですね、僕は「ヒーロー」をしている者なので...街の方々には名前と見た目は覚えてもらってますし、そこで有名なんですかね?」


いや、それ以外もありそうだがっ!!


そもそも、急に跪いて手を差し伸べる辺りはかなりの「王子様」を感じた。なんか...絵本で見るような「王子様」だなぁと感じる。


顔は確かにイケメンだし、スラッとした印象。

猫耳と猫のしっぽが生えてて、身長も高い。

ヒールを履いている訳ではなさそう...普通に薄いスニーカーだ...それなのにこの身長差……多分、二、三十センチの差はあるっ……何を食べたらそうなるんだ???


てかこの人って...そもそも…………


「あ、ここです。」

「こ、ここですか?」


びっくりした、もう着いたのかっ!

と、思いお店を見ると...更に驚く。


こ、ここっ!!!高級店なのでは!?


かなりお金のかかりそうなお店……樂なら払えそうだけど、ま、まぁ……この人は……ネモはヒーローをやってるから、お金ぐらいはあるのか……?


そう思ってドキドキしながら入ると、

中は凄く広くまるで豪邸だった。


中には沢山の味のラングドシャがあり、

見た目、形、生地やクリームの味も全部違って、

それだけで種類は数百個はありそうだった。


こ、こんな凄いお店に来てっ...い、良いのかっ!?


ワタシは焦って顔面蒼白でいると、ネモは驚く。


「す、すみません!こういうお店は苦手ですか?」

「あっ、いやっ...慣れてないだけです……」

「そうですか……じゃ、別のお店に行きますか?」

「で、でも、せっかく来ましたし……っ」


「……すみません、店員さん...また後で来ます。」


そうネモが言うと、

動けないワタシをお姫様抱っこしてきた。

それにもびっくりしたワタシは「あわあわ...」となっていると、ネモはワタシのおでこにキスをしてきた。


それに驚くワタシを見て、ネモはクスッと笑う。


「ひゃっ!!??」

「ふふっ、可愛かったので……つい。」


えっ!!??双子以外にキスされた事ないのに……

と、思ったワタシは驚いて尚更、動けなくなる。

これ逃げた方がいいパターン??


と思い、動こうとするが、動けない。


それは……


「おや、ダメですよ?マリアさん?」

「あ、あのっ、あ、歩けまっ……」

「今動くと危ないですよ、もう少ししたら降ろしますから……それまでは、今は、僕のお姫様でいてくださいね?」

「は、はいっ……!?」


……ネモがしっかりワタシを離さなかったからだ。


て、てかっ!

なんでそんな事をサラッと言えるの!?

この人、怖くなってきた、本当にっ!

だから「猫の王子様」なのかなぁ?びっくりするぐらい言われた事のない事を言ってくる。


本当に絵本で見る「王子様」過ぎて...っ!


「ふふっ、マリアさんは喜怒哀楽がしっかりしてますね。今は驚いてますね?」

「えっ!?あっ、そ、そうですねっ……」

「そんな素直な姿...素敵ですね。」

「そ、そうですか...っ?」

「はい、とても……素敵です。」


ネモは優しく紳士的に微笑む。

ううっ、この人、本当に凄いな……っ!?

笑った姿すら「王子様」とは…流石、街の人たちが皆「イケメン王子様」と言うのも納得。


でも……なんでネモはワタシにこんな事をするのだろうか?


もしかして、ワタシの命を狙ってっ……

……な、なんて、ありえないか?


ううん、ワタシは昔から命を狙われてたんだもの……でも、ネモはそういう風には見えない……

ううん、一回見てみよう。


ネモの感情の隙間を。


「……マリアさん?」

「…っ!!!」


こ、この人っ…………

喜怒哀楽がしっかりしてるっ!?

隙間がほとんどないっ!?

そんな所も完璧とは……


でも……一つだけ隙間がある。


それは…………


と、思っていると、ネモは私をお店の前に降ろす。


「あ、ここはどうですか?マリアさん?」

「……わ、わぁ…!」


シンプルで綺麗な入りやすそうなお店...

ここなら入れるかも……っ!

窓から覗くと、中もシンプルでラングドシャの数もさっきより選びやすい数で、見た目も同じぐらい綺麗で美味しそうなラングドシャだった。


「あのっ……そのっ……!」

「ふふっ、入りますか?」

「は、はいっ!」


ワタシの反応に、ネモは嬉しそうに微笑む。


ワ、ワタシ...食べたいのが、分かりやすかったかな?ちょっと恥ずかしいな……っ


と、思いつつ、ネモと一緒にお店に入った。


「あらっ!ネモくん!いらっしゃい!」

「おば様、突然すみません...ふふっ、マリアさん。お好きなのを選んで大丈夫ですよ?数も自由です。」

「はっ...そ、そんなっ!一個で大丈夫ですっ!」

「ふふっ、それなら……すみません、お店の全種類、一個づつお持ち帰りで。」

「は〜い、全種類ねぇ〜?」

「えっ!!??」

「あと、プレゼント用の袋に入れてください。


……彼女に渡したくて。」


な、なんだ、この人っっっっ!!!!????

何もかも完璧すぎるっ...

そ、そんな、大人買いするなんて……っ!?


...こ、こんな事された事ないよ???


「はい、どうぞ〜。」

「ありがとうございます、お会計は...」

「いいのいいの!いつも街を守ってくれるから、そのお礼よ!その可愛い子ちゃんと、上手くいくといいわね〜」

「すみません...ありがとうございます!」


おばあさんの店員さんは嬉しそうに大量のラングドシャが入ったプレゼント袋をネモに渡す。


い、いやっ...全種類って...かなりの量だけどっ!?


「あ、あのっ!?」

「ふふっ、マリアさん。」

「は、はいっ?」

「僕、またマリアさんと一緒に居たいです。」

「は、はい...っ???」

「だから、今日は、マリアさんと会えた日の最初の喜びを、プレゼントしたいんです。」

「は、は……?」

「受け取ってください、マリアさん。」


ラングドシャが大量に入ったプレゼント袋をワタシに手渡しして、嬉しそうに微笑むネモ。


いや、なんかプロポーズみたいでカッコイイなっ!?凄いっ、こんな事を簡単にしてしまうなんて……ネモは凄い.........っっっ!!!


「あ、ありがとう……ございます。」


断るのも申し訳なかったし、ここは……と思い、

ワタシは素直に受け取った。

それを見たネモは、嬉しそうに優しく微笑む。


「ありがとう、マリアさん。

じゃ、次は二回目に出会った喜びを、またプレゼントしますね?」

「えっ!?そ、そんなっ!?」

「そうしたら...三回目に会ったら、もう友達ですね?ふふっ…それはそれでまたプレゼントしないとですね。」

「え、ええっ!?」


もうなんなのだこの人は……っ???


でも、それほどワタシと出会えた事が嬉しかったのかなぁ?なんかそれはそれで不思議な気持ち……。


双子とは違って「執着」ってよりも、

ネモからは「友好」を感じる。


でも、あんな事をしてくるのは、びっくりするけど……っ!!!


と、思っていると……


……外から声が聞こえた。


「マリアちゃん〜?」

「マリアー?」


「あ、楽っ、樂っ……!」


そうだ、ワタシ...双子を起こさずに外出たから...どうしよう、心配してるよね……


と思い、ネモに別れを告げようと思い、

ネモの事を見た時……一瞬、時が止まった。


……ネモの目に、光がなかった。


「ネ、ネモっ?」

「……っ!すみません、マリアさん。僕はまだここで買い物していくので……先に帰っててください。


お連れ様がお待ちしてますよね?」

「あ、はいっ!ありがとうございます。

また、会えたら……今度は本を読みましょう!」


「......そうですね、約束ですよ?マリアさん?」


「は、はい!ではっ!」


ワタシはお店から出て、

双子の声がした方に走って行った。

その時、チラッとお店の中にいるネモを見た時、

ワタシは忘れられなくなった。


走るワタシを見ているネモの顔は……


「……マリアさん。」


……どこか、闇を感じた。


き、気のせいだろう!と、思い、

ワタシはそのまま広場へ走って行った。


「あっ!マリアちゃん!もぉーっ!どこ行ってたの!?」

「マリア!心配したよ……!?」

「ご、ごめん!近くの図書館に行こうと思ったら……色々あって。」


双子はワタシの手に持つラングドシャのプレゼント袋を見て、凄く怪しむ。


「……マリアちゃん、それ何?」

「……マリア、怪しい。」

「えっ?あ、えっと...じ、実は…………」


さっきの出来事を双子に話すと、

双子は心配そうにワタシを抱きしめる。


「マリアちゃんー!知らない人には着いてっちゃダメでしょっ!メッ!!」

「例えヒーローでも危ないから...ねっ?」

「で、でも?あの人は……」


「「ダメなものはダメ」」


「……じゃ、次は自己申告制ならいい?」

「…それなら、一緒に着いてくもん!」

「…絶対に、マリアを一人で行かせない。」

「え、えぇっ!?」


そんなに心配する事?

でも、まぁ...あんな危ない目に遭っているワタシを心配して、そう言ってくれてるのだと思うと...申し訳ない分、双子の説得には受け入れるしかなかった。


「……マリアちゃんはオレたちが守るの。」

「……マリアはボクたちが危ない目に遭わせない。」


「「……だから」」


「「勝手に離れちゃ、ダメだよ?」」


双子は光の無い真っ直ぐな目で、

ワタシを見つめて、言ってきた。


それは......


「……分かった。」


……絶対に逃がさない時の目だ。


不思議だ...前は怖かったのに。

なんとなく...今は、今は...この目を見ると、守られてるような気がして、甘えていいような気がして、安心する...私も、自然と逃げる気がなくなる。


こうなれば双子はワタシを絶対に離してくれないから、諦めて一緒に居ることにしよう……。


双子はワタシの両肩を掴み、ワタシ自身を両方で挟み「絶対に離しません、逃がしません。」のスタイルでワタシと一緒に家まで歩く。


...これはやり過ぎたし、怒らせちゃったかなぁ?


申し訳ないなぁ……と思いつつ、ラングドシャ……どうしよう、魔女から貰ったお菓子がまだ残ってるのに……食べ切れるかなぁ?


どっちも貰い物だからなぁ……

どっちもしっかり食べ終えたいよね。


せっかくなら、魔女のお菓子の方はお姉さんとお兄さんにも配ろうかな?それならっ……と思い、双子にそれを話そうとした時、双子はワタシの顔をじーーっと見ている事に気づいた。


「えっ?何っ?」


双子はワタシの事を見て、真顔で答える。


「「……なんでもないよ」」


と、言い、ワタシの顔を見るのをやめて、前を向いて歩いた。


...え、なんだったの?


怒ってるのかな?寂しかった、もありそう。

でも...なんだか、それ以上の感情も感じて、

今はとりあえず……今は双子と一緒に居よう。

なんだか……その方がいい気がした。


と思い、双子と一緒に家に帰った。


その時……

街に少しだけ花が多く咲いていたような気がした。


その花は……まるで「次のイベント」の始まりを知らせるように…綺麗に咲いていたのであった…………。



十一話へ続く

十一話は10/17の金曜日に投稿します。


最後まで見ていただき、ありがとうございました。

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