『日本改造計画外伝』その拾伍<産業構造改革(2)>
今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、経済産業省事務次官だ。
「挨拶など不要。緊急報告があるそうですね。報告しなさい。事務次官。」
「はっ。報告申し上げます。訴訟です。一般社団法人二社より国営企業を独占禁止法違反で訴えました。訴えを起こしたのは、日本人材派遣協会(JASSA)、日本複合カフェ協会(JCCA)以上です。総統閣下。」
「それは、第二条の五『自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。』ですね。事務次官。」
「はい。仰る通りです。総統閣下。」
「全て事務次官の予想通りに推移していますね。重畳です。」
「笑い事ではありません。総統閣下の仰る改革は、人材派遣会社とネカフェ潰しです。反発が起きる事は、火を見るよりあきらかでした。それを……」
「だから、君は前回会議でも同じことを言っていた。勿論、覚えていますとも。駄菓子菓子、痛みを伴わない改革など、私は寡聞にして知りませんよ。ならば、こちらも打つ手は一つ。日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会の会長を懲戒解雇とします。事務次官。」
「はっ。復唱致します。『日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会の会長を懲戒解雇とします。』以上です。総統閣下。」
「では、私からの指示は、以上です。何か質問はありますか。」
特になかったので、今回の会議は、これでお開きとなった。
* * *
今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、経済産業省事務次官だ。
「挨拶など不要。緊急報告があるそうですね。報告しなさい。事務次官。」
「はっ。二点報告申し上げます。訴訟です。日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会は、訴えを取り下げました。総統閣下。」
「それは重畳。私の『予想』通りですね。で、二つ目は? 事務次官。」
「はっ。これも訴訟です。日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会の前代表が。不当解雇との訴えを起こしております。総統閣下。」
「それも、君の予想通りですね。ならば、指示します。日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会の前代表を無期懲役並びに全財産没収とします。事務次官。」
「はっ。復唱致します。『日本人材派遣協会並びに、日本複合カフェ協会の前代表を無期懲役並びに全財産没収とします。』以上です。総統閣下。」
「では、私からの指示は、以上です。何か質問はありますか。」
特になかったので、今回の会議は、これでお開きとなった。
* * *
今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、経済産業省事務次官だ。
「本日は、お時間頂戴、誠にありがとうございます。総統閣下。」
「こちらこそよろしくお願いします。で、報告とは? 事務次官。」
「人材派遣会社並びに、複合カフェの倒産閉店が、相次いでおります。
後程メールで詳細を奥地ます。総統閣下。」
「重畳。で、倒産後の処理は、指示通り実行してますね。事務次官。」
「はっ。『役員以外の社員アルバイト雇用形態を問わず国営企業で再雇用。
更に、倒産したネットカフェ、人材派遣会社のデータベースは国営企業で
管理中のものと統廃合。また、会員情報以外のデータは機密保持の観点から
全部消去。紙の書類は、焼却処分。』
以上になります。総統閣下。」
「宜しい。再雇用した社員を組織化して新会社を立ち上げさせなさい。
事務次官。」
「はっ。『再雇用した社員を組織化して新会社を立ち上げさせます。』
以上復唱致しました。総統閣下。」
「では、私からの指示は、以上です。何か質問はありますか。」
特になかったので、今回の会議は、これでお開きとなった。
* * *
残念ながら未だ適正者が不足している。どうしても欲しいのだ。
それは、『軌道エレベーター設置会社』だ。
かなり多岐に渡る技能が必要な上、多くの人材が必要となる。
人材派遣会社を全て潰して、データベースを全て統廃合する。
そうすれば、必要な人材も集まろう。
できた会社には、保守もやらせるから、潰すことはしない。
いずれ集まろう。
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