2025/07/11[先生とわたしと手紙]
朝、コンビニに行く前に郵便受けを開けるのが癖だ。
コンビニに行くのだから今すぐ見て部屋へ持ち帰るのでもないのについ見てしまう。
そして数枚の封筒の中に蝶の紋様のついた封筒を見つけると密かな歓びがある。
コンビニから戻り、タバコとコンビニコーヒーを片手に、今度こそ郵便受けを開けて、手紙を受け取る。
車検のお知らせの葉書、注文していた文庫本が入っているであろうAmazonの小包、それから青い蝶々の紋様が入った封筒。
その封筒を見つけるたびに心の底から嬉しさと気恥ずかしさが込み上げて来る。
いつもらってもファンレターというものは嬉しいものだ。それがよく見知った人からの、好意を抱いている人からの物だとすれば尚更。
きっと先週発売された文庫書き下ろしの新刊を読んでくれたのであろう、そして感想を書いて、宛名を書いて、いつも通りの封筒で、黒猫のシールで封をしてくれて切手を貼って……、そのすべてを彼女が行っていると思うとありがたみで涙が出そうだ。
部屋に戻って、ペーパーナイフで封を開ける。
書き出しはいつも通りだ、
大好きな先生へ……
今回の作品は一冊完結ですか? とても楽しく読みました……
いつも通りの、先生が目指しているという……
氷の上で紡がれる……
繊細な……
彼女の選択……
わたしは……
手紙を読み終えた僕は、MacBookを立ち上げて、コーヒーを飲み干し、エディタを立ち上げた。