2025/08/31[格ゲー、少年]
高校を卒業して、養護施設を出たとき、凄く自由を感じた。
優しくしてもらったが、窮屈に感じていた養護施設を出て、特に何をしようというわけではないが僕にはほんの少し特技があった。
格ゲー。
背中のリュックにはSwitch2と、アーケードコントローラー。アケコンだ。スト6のネット対戦をこそこそとしていた。施設ではバイトはオッケーだが、就寝時間が決まっていた。それで隠れて深夜もゲームをしていた。バレることはなかったが、常にスリルがついて回っていた。そして、休日にはゲームセンターの大会に出て商品をもらったりしていた。ゲーム内アイテムで困ったことはない。
バイトを続けつつ、ネカフェで夜はネット対戦して、昼間は図書館かマックで寝る。そんな毎日を続けていた。
そんな時、少額を賭けて格ゲーをする大会があると知り、地下のゲームセンターに足を踏み入れた。コンクリート打ちっぱなしの壁、スト6 の筐体がいくつか、それからディスプレイにはレートと名前が書かれていた。オッズもある。ということはプレイせず賭けることだけもできるってことだ。
僕は愛用のレバーレスコントローラーを抱いて、受付へと進んだ。戻れない道を歩いていると思いながら。