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2025/08/12[恋の話、一途]

 彼女が、長い髪より短い髪のほうが好きだというから。彼女が色が白いほうが好みだっていうから。彼女が眼鏡のほうがいいっていうから!

 そのためにわたしは髪を短く切り揃え、年中日焼け止めと日傘が手放せず、視力が悪くないのに伊達眼鏡を掛けていた。

それなのに!

 今朝彼女はわたしの隣の席に座ると嬉しそうに話し掛けてきた。彼氏ができたの、本当に理想通りで! 髪が短くて色白で眼鏡で文学少年で、あなたを男性にしたみたいなの! 寡黙で、照れ屋で……、もう最高!

「よかったね」

 わたしは立ち上がりトイレに駆け込み何度も吐いた。わたしが理想ならわたしと付き合えばいいのに、わたしならあなたの理想を体現できるのに!

どんなときだって労ってそばに居られるのに!!!

 どうして選んでくれないの!

わたしは次の日から眼鏡を捨てて、日焼け止めも投げ捨て、日傘も捨てて、ウィッグをかぶり、彼女以外ともにこやかに話すようになった。そうして彼女との距離が次第に開き会話もしなくなった。

ああ、悲しいけどなんだかすっきりしたなと思えたのは肩ほどだった髪が腰まで伸びた頃だった。

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