プロローグ
東京中心部、午前10時37分
「マジで、なんで出版社はこんなガキをよこしたんだ? まぁ… お前、本当に役に立つと思ってんのか?」
「んー… わかんない。でも、一つだけ確かなことがある。俺の先生、ハルは最高だってこと。絶対に作品を完成させるし、先生なら何だって乗り越えられる。俺も手伝うから、きっと大丈夫!」
ハルカの視線が険しくなる。ハヤセを見つめる。その目には心配と頑固さが滲んでいる。くるりと背を向け、携帯を取り出し、連絡先を押す。
「おい! ガキ、お前じゃ役に立たねぇよ。こんなの無理だ。さっさと責任者に電話して、全部終わらせ–– 」
「!!先生!! お願い、やめてください!」
バンッ!
ハヤセがハルカに飛びかかる。つまずいて、そのまま倒れ込む。必死に電話を止めようとして。
「ちっ… 頭打った。おい、ガキ! もう少し気をつけ–– 」
「あぁ… あぁ…。 先生、お願いします、一度だけチャンスをください…!」
ハヤセの呼吸が荒くなる。目には涙。 ハルカの額から汗が流れる。 見上げると、ハヤセの唇が近い。 額の汗が胸元に落ちる。 柔らかな曲線、下着がわずかに透けて––。
〈クソ… 近い…! つーか、ブラ、唇、なんだその顔… なんでこんなに…––〉
「おい、ハヤセ…」
優しく、かすれた声でハヤセが繰り返す。
「先生… お願いします… チャンスをください… 絶対に後悔させません… 何でもしますから… ね?」
ハルカはごくりと喉を鳴らす。顔を伏せて、静かに答える。
「…おい、**イカれガキ**…。 まずは、俺の手を離せ。」
「!? えっ!? ご、ごめんなさい先生! そ、そのつもりじゃ…!」
「それに、お前のシャツ… それ…。」
「…え? 私のシャツが…?」
ハヤセがゆっくり視線を下げる。 開いたシャツ。 見えてしまったブラ。
「!!あああああっ!?!?!?!? 、ギャアアアアアア!?!?!?!?!?!?!?」