9、フライパンを探して
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翌日。
ギルドに紹介された宿屋で一夜を過ごした俺は早速自分の夢に向かって動き出した。
パックラビットを売ったおかげで纏った資金が手に入ったからな。これだけあればこの世界でも暫くは楽して暮らせそうなもんだけど俺はそんなんじゃ満足しない。俺の夢が叶えばこの1000万なんて端金だ。
って、つい昨日1000万で動揺してた人間とは思えない発言だよな。自分でも驚いてるもん。
「さてと、雑貨屋はどこに行けばあるんだ〜?」
俺の夢を叶える第一歩。まずは道具を揃えること。キッチン周りが充実しなければ最高の揚げ物は作れない。
だけどここは異世界。日本のようにフライパンなんて便利なものはないだろう。この世界にある調理法は焼くか、無理矢理容器を熱して煮るくらい。
フライパンなんて便利な物があれば嫌でもこの世界の食文化は進んでる筈だ。
「なぁ、アンタ。さっきからこの周りをうろちょろして何してんだい」
「あ、実は雑貨屋を探してまして。ここら辺にいい場所知りません?」
「おいおいアンタの目は節穴かい?」
「え?」
「ここにあるだろ。この街一番の雑貨屋が!」
「あっ、それは申し訳ない…」
このおばさんのいうとおり俺の目は節穴だな。こんな近くにあっても気付けないとは。歳かな……。
「で、何を探してるんだい?大抵のものは揃ってるからね何でも言いな」
「じゃあフライパンは?」
「何だいそれは。そんな物聞いたことないよ」
だよなぁ。だと思った。
「そうですか…」
「そのフライ パンとやらは何に使う道具なんだい?」
「食材を調理する為に使うんです。それこそ焼いたり煮たり」
「それなら火と網があれば十分じゃないか」
「それはそうなんですけどね……」
「そういえばアンタ妙な格好してけるど旅人かい?」
「ええ。暫くはこの街にいるつもりなので屋台でも出して生活しようかと」
「それで道具を探してるってわけか。じゃあウチで全部揃えてきな。最近の流行りを見ると出す店はロックリザードの串焼きかそジャイアントバードの串焼きがオススメだね」
串焼きの二択しかないのかよ。
ざっと店の品揃えも見てみたけど揚げ物に使えそうなものはなさそうだ。鍋かフライパン、せめて熱に強い器があれば代用できそうなんだけど。
「ん?……」
おばさんの雑貨屋から直ぐ近くに古びた建物が目に留まった。看板には〈マルクの奇妙な雑貨屋〉そう書かれている。
なんかどっかで聞いたことあるようなないようなネーミングだなぁ。
「アンタ聞いてるのかい?」
「あのすみません。あそこにある店ってやってるんですか?」
「あーーあそこね。やってはいるみたいだけどあそこはやめときな」
「どうしてですか?」
まぁ雑貨屋同士ライバルだもんな。オススメなんかするわけないか。
「この街に住んでるまともな人間は誰一人よりつかないからさ」
「え、そんな変な店なんですか」
「変なんてもんじゃない。とても変なんだ!見たこともない道具ばっかりで使い道もわからない。そのくせ値段もぼったくりときた。行ったところで損するだけだよ!」
随分な言われようだな。だけどここまでボロクソ言われると逆に気になる。
「悪いこと言わないから黙ってここで買ってきな。サービスしといてやるよ」
「いや、今日は取り敢えず帰ります」
「いいのかい?サービスは今日だけだよ!」
「大丈夫です。ありがとうございました」
熱心に串焼きの串ばっか勧めてくるおばさんの店から出ていくと、早速噂の店に足を伸ばした。
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