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油っぽいオッサンは世界最強!?〜揚げ物は異世界を支配できるって知ってました?  作者: 春風邪 日陰
第三章 ギルドマスターの実家までついて行ってイイですか?
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49/81

49、油っぽい手を離すな

閲覧感謝です!


「よし、今助けてやるからな!」


大精霊が閉じ込められている繭に手を触れた瞬間、呪いがユウジロウを反発する。


「痛っ!やっぱそう簡単には助けさせてはくれないか……だったらこれならどうだ!」


繭に向かってオリーブオイルを全体に吹きかけ続ける。


「頼むから上手くいってくれよ」


オリーブオイルの効果覿面。高圧洗浄機で綺麗になっていく壁のように段々と繭の呪いが解呪されていくのが目に見えて分かる。


「今だ!」


俺はオリーブオイルを吹き出し続けながら繭に手を触れ、強引に繭の中へと手を延ばす。


「…どこだ!?どこにいる!」


繭の中は外から見ていた以上に広く、右手の感覚だけを頼りに繭の中を探し続ける。


――ダレ?ダレカイルノ?


「いるぞ!ここにいる!君を助けに来たんだ!」


声は聞こえるが中にそれらしき感触は無い。


――ワタシヲタスケテクレルノ?


「ああ!俺の手が分かるか?直ぐに俺がそこから引っ張り出してやっから!」


――キモチハウレシイ。ダケドダメダヨ


「どうしてだよ!?」


――イマノワタシガ、フレテシマッタラ、アナタヲキズツケテシマウカモシレナイ


「そんなこと言ってる場合かよ!いいから俺の手を掴め!」


――ダケド、ヤサシイアナタマデ、マキコミタクナイ


「……じゃあ何で助けを呼んだんだよ?助けて欲しかったからじゃないのか!」


――ソレハ……デモ、ドウシテソコマデタスケヨウトシテクレルノ?


「俺が君を助けるって決めたからだ。俺なら君を助けられると信じてくれた仲間のためにもな!」


――ナカマノタメ……


「あと、言っとくけどなオッサンてのは案外しつこい生き物なんだよ。俺の油っぽい手をお前が掴むまで俺はいつまでも手を伸ばす。君がこの手を掴むまで俺はここを離れる気はねえからな!覚えとけ!」


俺は唾を飛ばす程の大声と共に繭の中で力の限り手を延ばし続ける。


――…フフッ


「笑った?……」


――オジサンッテ、オモシロインダネ!


「別にそういうつもりじゃなかったんだけどな…でも君が笑顔になってくれたならそれでいいや」


――オジサンナマエハ?


「俺か?俺はユウジロウ。揚げ物をこよなく愛し、手から油が出るだけのただのオッサンだ」


――ユウジロウ。オモシロイネ!


「名前は別に面白くないだろ。ってか、いいから早く掴めって!」


――ソレジャア、ユウジロウ。ワタシノナマエヲヨンデ?


「名前?確かユグドラシル、だっけ」


――ソレジャナイノガイイ!


「は!?…いや、だからそんなこと言ってる場合かよ!急がないと!」


――イイカラ!ユウジロウガイソイデ!


何故か大精霊は執拗に名前を付けろとせがんでくる。

焦ったユウジロウは咄嗟に頭をフル回転させる。


「ったく、気に入らなくても文句言うなよ!……ユグ!!」


……ユグドラシルだからユグってのは流石にちょっと安直過ぎたかな?


――ユグ……ウン。キニイッタ!


その瞬間右手にギュッと握られた感覚を感じる。それと同時に刺されたような感覚に襲われる。


「ぐっ!……これが言ってたやつか!」


恐らく繭の呪いががユグドラシルを守ろうとしているのだろう。


――ユウジロウ!


「気にすんな。この位どうってことない……」


俺はユグドラシルの手を離さないように更に強く握る。


「このまま……一気に!!うおおおおおおっ!!」


中から繭が破壊されて勢い良く飛び出した大精霊はまるで、マグロの一本釣りのようにユウジロウの手によって釣り上げられたようだった。


「やった……やったぞ!」


「ありがとうユウジロウ!」


「いいえ、どういたしまして。え?」


俺の手をギュッと握っていたのは、見るからにほっぺはぷにぷにのかわいい幼女だった。人間でいうと3歳くらいだろうか?それにさっきまでカタコトみたいだったのがこんなに流暢に喋っちゃって……


「ウソでしょ!?あのオッサンなんなのよ!」


「いけないこのままだと、」


「オッサンのくせによくもやってくれたなー!!目にもの見せてや、ぐあっ!……」


ユウジロウに怒り心頭な三人だったが、突然力が抜け落ち苦しみだす。


「これって、」


「大精霊が解き放たれた事で彼らの力が元に戻ったんです。大精霊の力を契約も無しに使おうとした代償でしょう」


「自業自得ですわね」


「でも本当にやってのけるとは……」


「あれ?ギルドマスター信じて無かったんですの?」


「正直、ちょっと不安ではありました……」


「本人がそれを聞いたら悲しみますわよ」


ユウジロウの様子を見て安心したのかローゼス達は気が抜け座り込んでしまった。大精霊の力によって強化された三人を二人で相手したのだからそれも無理はない。


一方シュナイダーは自信を襲う強烈な痛みに踠きながら、ユウジロウ睨みをつける。


「テメェ……よくもオッサンのくせに俺達の大精霊を奪ってくれたなぁ……!」


「ユウジロウはオッサンじゃないもん!それにワタシはアナタ達の物なんかじゃない!」


「違う!お前は俺達の!……え?」


「「「精霊が喋ったぁ!?」」」


目を合わせた三人は痛みすら忘れて目の前で喋る精霊の姿にとても驚いた。


そしてそれはローゼス達も例外ではなく。


「私知りませんでしたわ。大精霊がこんなに可愛くてしかも喋るだなんて……」


「いくら大精霊とはいえ、精霊が人の言葉を喋るなんて普通はあり得ない……!」


「ワタシの名前はユグ!ユウジロウと契約した大精霊だよ!」


「そうだ。彼女が俺と契約した大精霊ユグだ!……え!?」

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


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