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油っぽいオッサンは世界最強!?〜揚げ物は異世界を支配できるって知ってました?  作者: 春風邪 日陰
第三章 ギルドマスターの実家までついて行ってイイですか?
43/81

43、オリーブオイルはカロリーゼロ

閲覧感謝です!


「何じゃこれ……」


久しぶりにステータスを確認してみたら俺のレベルがとんでもないことになっていた。

前に確認した時は一桁台だったのが、気づけば三桁台に到達しているではないか。


どうやら、レベルアップの過程で知らぬ間に新たな能力を手に入れていたらしくその影響のようだ。

手に入れた能力の名は【デリバリー】


効果は簡単で、作った揚げ物を食べた者達が手に入れた経験値の一割が俺に無条件で加算されるというもの。

つまり揚げ物を作っているだけで自分が戦わずとも勝手にレベルが上がるということだ。


お陰様で俺の揚げ物は街で話題になり密かなブームとなっていて毎日百人以上の冒険者が俺の作った揚げ物を食べ冒険に向かっているのだ。一割とはいえそれが百人分以上の経験値となれば馬鹿には出来ない。


ようやく手に入れた異世界転生らしいチートな能力のおかげで俺のレベルは格段に上がった。【フリーズボックス】の容量は大きく広がり、噴射する油の射程距離も長くなった。

そして使える油の種類も増えた。


油なのに不思議と罪悪感が無く何だかヘルシーな気になれる油。

その油の名は……


「普通にやってもダメだ。だからオリーブオイルを使って揚げ物を作る!」


「オリーブオイル?聞いた事のない油ですわね」


「驚くなよ。オリーブオイルってのは数ある油の中でも生食に向いてるヘルシーな油なんだ」


「油を生でそのまま食べるんですの!?」


「食べるというよりはかけるって表現の方が正しいかもしれないけどな」


オリーブオイルは基本加熱するよりそのまま食べた方がいい。だからドレッシングなどにしてサラダにかけて食べるのが一般的にいいとされている。だけどそれじゃ俺が作る意味がないからな。今回は敢えてオリーブオイルを使って揚げ物を作っていく。


「それでそのオリーブオイルを使えば彼女が助かるんですわね!?」


「さあな。そんなのやってみなきゃ分からない」


「分からないって……本当に大丈夫なんですの?……」


ローゼスの心配も分かる。人間とエルフの関係は想像以上にギクシャクしている。その状況でもしも人間が作った物を食べて彼女の身に何かあったとなれば、エルフ達も黙ってはいないだろう。最悪、戦争の火種にもなりかねない。


「でも自信ならある」


揚げ物には無限の可能性が広がっている。揚げ物に不可能は無い。


「いいこと教えてやるよローゼス」


「いいこと?」


「俺の故郷じゃオリーブオイルってのは体に良いで有名なんだ。つまり、オリーブオイルを使えば何食べたってカロリーはゼロってことなんだよ!!」


「は???…………」


どうやらローゼスにはこの理論はちょっと難しかったようだ。

周囲のエルフ達も何を言ってるのか分からず変な目でこちらをチラチラと見ている。


「フッ(ちょっと恥ずかしい……)」


だけど照れてる時間はない。ごま油にモンスター避けの効果があったようにオリーブオイルにも特別な効果がある事を期待するしかない。


「言ってる事はよく分かりませんけど、要するにオリーブオイルという体にいい油で揚げ物を作って彼女に食べさせる。そういうことですわね?」


「そういうこと!」


オリーブオイルで揚げ物だなんて贅沢なこと日本じゃ絶対あり得なかっただろう。聞いたことも無いし。だけどここは異世界。オリーブオイルなら俺の手から無限に湧き出るんだ。ケチる必要はこれっぽち無い!


今こそ揚げ物の新しい扉を開く時だ。


「ダメですユウジロウ!……」


いよいよフライパンに注いだオリーブオイルで唐揚げを揚げようとした瞬間、倒れていたメルディアが目を覚ましユウジロウの手を掴んだ。


「メルディアさん!?……」


「ギルドマスター。安静にしてなきゃダメですわ!大丈夫。ユウジロウが作る揚げ物を信じましょう」


しかしメルディアは首を横に振る。


「ダメなんです。エルフはそれを食べる事が出来ない」


「「えっ!?」」


「エルフは基本的に菜食主義なんです。肉を食べることは里の掟で禁じられている。だからユウジロウの作る揚げ物を食べる事は出来ないんです」


マジか……。ここでそんなのアリかよ。ようやく希望が見えたってのに!


マズイな、他に揚げれるものといったら……ある。あるじゃないか!菜食主義のエルフでも食べられる揚げ物が!


「だったら唐揚げは無しだ。野菜を揚げる!」


「野菜を!?」


揚げ物といえば唐揚げやトンカツなどの肉料理が挙げられがちだが、普段は脇役の野菜だって揚げれば主役になれるんだ!


「ミレーユさん。今は俺を信じて野菜を分けてくれませんか?娘さんを救えるかもしれないんです」


「野菜なら畑に行けばありますけど……」


会って間もない人間からの突然の要求に戸惑うミレーユにメルディアは静かに頷く。


「……分かりました。シルファ、この人達を畑まで案内してあげて」


「いいの?人間をそんな簡単に信じても」


「私知ってるから。人間にはいい人もいるって」


「ローゼス!何でもいい、畑から野菜をとってきてくれ!」


「分かりましたわぁぁ!!」


メルディアはシルファの案内よりも先に家を飛び出してしまう。


「待って!逆よ、逆!こっちだから!」


それをシルファが慌てて追いかける。


「セレイアさんありがとうございます。俺達を信じてくれて」


「お姉ちゃんが信じた人なら私も信じたい。そう思ったんです」


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


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