39、ようこそウォルトリアへ
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「なぁローゼス」
「どうしましたのユウジロウ?もしかしてトイレですか?」
「な訳あるか!だとしてもこんな自然豊かな場所で出来るかよ」
「それならどうしたんです?」
「…なんか変な感じしないか?」
門を抜けて歩いて来たけどやっぱり門の外とは何かが違う気がする。妙にモヤモヤするっていうか、とにかく居心地がいいもんじゃないのは確かだ。
「変な感じですか?特には何も感じませんけど」
「そっか…」
「一応、周囲に気配察知の魔法をかけていますがこれといった反応もありませんわ」
「じゃあ気のせいか……」
「いや、気のせいではないかもしれませんよ」
「メルディアさん」
「どうやら今のウォルトリアには何かが起きているのは間違いないようです」
そう言うとメルディアは側にあった巨木に耳を傾ける。
「あれって何してるんだ?」
「噂に聞いたことがあります。エルフは木々や風の声を聞くことが出来るらしいって。勿論実際に見るの初めてですけど」
「……やはり変ですね」
「何か分かったんですか?」
「サッパリ」
何だよ!噂はただの噂か?
「そんな顔しないでください。ちゃんと成果はありましたから」
「でもサッパリだって。分からなかったってことでしょ」
「分からないのが変なんですよ」
「え?」
「木や風は私達より広くこの世界の事を知っている。大抵の事は木々に聞けば一発です」
自然ってネットだったのか……勉強になるな。
「だけど今回は違った。分からないどころか木々は私の声に耳を貸さず何も帰っては来なかった。そんなこと普通はあり得ない」
「それだけウォルトリアが大変な事になってる。そういうことですわね」
「その通り。もしもこの異変が周辺の木々達にも影響を及ぼしているのならここに住むエルフ達にとって取り返しのつかない事になる」
「それってつまり」
「自然はいわばエルフの生命線。それが無くなればエルフに生きる道はありません」
「そんな!……」
「恐らくこの異変がエルフ達を襲っている疫病にも関係しているのでしょう」
「そうだ!ハーフのメルディアさんは大丈夫何ですか!?」
バンドルフさんの話だと人間には影響が無いらしいけど。
「…今の所は大丈夫そうです」
「そうですか。良かった」
「恐らく人間の血も受け継いでいる私には影響が少ないんでしょう。だからって油断するつもりはありませんが」
ひとまずは安心か。だけどメルディアの言う通りこの先どうなるかは分からない。出来るだけ急いだ方が良さそうだ。
「見えてきましたわ!アレですわね!」
「ここに来るのも久しぶりですね…」
目の前に広がるのは広大な自然を生かした住居などが広がるこれぞファンタジーな集落の形であった。
「ギルドマスター!早く行きますわよ!」
「ローゼス落ち着けって」
「ユウジロウも!いいから早く!」
まるで某ネズミが有名な遊園地の前で騒ぐ子供みたいだな。目の前にしてワクワクの歯止めが効かなくなってる。
まぁ、そういう俺もちょっとワクワクしてるんだけど。
「だから待てって。別にエルフの里はどこにも逃げないぞ!」
「早く!早く!」
「あっ、二人とも待って!これ以上行ったら!」
メルディアの呼びかけも虚しく、俺達が足を止め振り向いた時には里の境界線を跨いでいた。
「「え?」」
その瞬間、何処からともなく大量の矢が俺達目掛けて発射された。
「うわっ!!」
「手荒い歓迎は嫌いじゃありませんわ!」
ユウジロウを庇うようにローゼスは襲ってくる全ての矢を剣で弾き落として見せた。
「助かった……ありがとうローゼス」
「礼などいりませんわ。だって私達パーティを組む相棒同士でしょ?」
「だな」
だけどいきなり攻撃だなんて……最初に乗るアトラクションにしては刺激が強過ぎる。
「無事ですか二人とも!」
「ローゼスのお陰でなんとか…」
「やはりこの仕掛けもあの頃のままでしたか」
「メルディアさんは知っていたんですか?」
「これはこの里に仕掛けられた最後のトラップです。ここまで入ってきた人間を仕留めるためのね」
「相当警戒してるんですね」
「それだけエルフが人間に対してよく思って無いって事です」
どうやらワクワクしてられるのも今の内だけみたいだな。気を引き締めないと。
「かつてバンドルフも二人と同じように見事にこのトラップに引っかかったものです」
「「あーー…….」」
バンドルフさんには悪いけど確かにあの人なら引っかかりそうだ。
「それもあってその時は直ぐに追い出されてしまいました。お陰で目的も果たせず」
「ならば今回の目的を聞かせて貰おうか」
いつの間にかメルディアの背後には立派な伝統衣装を身に付けたお爺さんが自身の持っていた杖をメルディアの首元に突きつけた。
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