15、少女の涙は誰が拭うのか
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「誰か、みんなをたすけてくださいっ!!」
「?……」
着ている服はボロボロで身体中に生々しい傷痕も残ったままだ。
「ちょっと!大丈夫!?」
疲れて倒れ込んだ彼女を慌てて受付嬢が介抱する。
「……おねがいします。私のことより早くみんなを……」
「どう考えたって今はアナタの方が大事でしょ!!まずはこの傷をなんとかしないと…」
「ルルチア。彼女は私に任せて」
「ギルドマスター!」
受付嬢のルルチアは安心した様子でメルディアに代わる。
「大丈夫。アナタ名前は?」
「ランカ…」
「じゃあランカ。私の手をそっと握って」
少女はメルディアの差し出した手を指示通りゆっくりと優しく掴む。
メルディアの手が緑色に光り輝くとその光が伝染するように少女の体を緑色の光が優しく包まれる。
「綺麗だ……まるで魔法だな」
「魔法なのよ」
「うおっ!…エミリアさん。いつの間に」
「騒ぎが聞こえれば誰だってくるでしょ。そんな事よりもしかしてアナタ治癒魔法見るの初めてなの?」
「これが治癒魔法…どうりで見てるだけで優しい気持ちになるわけだ」
「なんてたってギルドマスターの治癒魔法は特別だからね」
「そうなんですか?」
「ほらもう殆ど傷が見えなくなってるでしょ?」
「本当だ」
あれだけの傷がいつの間に跡形もなく何事もなかったかのように治っている。
これが魔法の力か……。
「治癒魔法って凄いですね」
「ギルドマスターのが特別なのよ。普通はあんな速度で傷が癒えたりなんかしないわ。ゆっくりとジワジワと治していくのが治癒魔法の普通なの」
「じゃあなんであんな早く治せるんですか?」
「言ったでしょ。ギルドマスターの魔法が特別だからよ」
「なんでとくべ」
「なんで特別なのか、なんて聞かないでよね。馬鹿らしい」
「…………」
「まぁ、強いて言うならあの人がギルドマスターだからかな」
メルディアの右手から光が消えると少女の体を包んでいた光も消えてなくなった。
「これで大丈夫。もう心配はいらないわ」
「……傷が、治ってる。……ありがとうございます」
それでも少女の顔に笑顔は戻らなかった。
「そうだ。早くしないと!ぐっ…」
「焦らないで。傷は治っても疲れやダメージまでが無くなったわけじゃない。安静にしてないと」
「そんな暇ありません!急がないと村のみんなが!」
「大丈夫だから無理しないで。…まずは何があったのか教えてもらえる?」
少女をなんとか落ち着かせ、冷静に話を進めようとする。
だけどこの慌てぶりは普通じゃない。彼女の身に一体何が起きたんだ。それにみんなって……。
「……数日前、突如ゴブリンの軍団に私の村が襲われたんです。村のみんなも襲われ遂には私の両親も…」
「アナタだけでも無事で良かった」
「私の両親が逃がしてくれたんです。私だけでも生きろって……だけどまだ妹は生きてるかもしれない」
「それ本当?」
「はい。村のみんなの中には殺されずに攫われた人達もいて、その中に妹もいるんです。今ならまだ間に合うかもしれない。お願いします、みんなを助けてください!」
涙を浮かべながら頭を下げて頼み込むランカ。
「分かった。だから頭を上げて」
「助けて、もらえますか?…」
「もちろん。直ぐに冒険者を見繕って向かわせるわ。それで村の名前は」
「タンバル村です」
名前を聞いた瞬間、気のせいかメルディアさんの顔が曇ったように思えた。
「なぁ、タンバル村っていえばここからずっと離れた辺境にある村の名前だよな」
「ああ。徒歩だったらここまでどんなに急いでも三日はかかるはずだ。そんなに経ってたらもう人質は……」
「問題はそれだけじゃない。そもそもあそこはウチの管轄外だろ」
あそこの冒険者たちが言っている管轄外ってどいうことだ。もしかして助けにいけない場所にあるってことか?まさか見捨てるわけないよな?
「…ランカさん。申し訳ありませんが私達はアナタの力になれないようです」
「ど、どういうことですか?」
「タンバル村は我が冒険者ギルドの管轄外。つまり私達が手を出す事はできないんです」
「そんな!……」
「直ぐに私の方から管轄内の冒険者ギルドに応援要請を出します。きっとそこからの方が直ぐに助けに行ける」
「そんなの無理です…」
「え?」
「村の近くにここ以外の冒険者ギルドはありません!」
「なっ……」
慌ててエミリアがメルディアの元に地図を持ってきて確認する。
「…確かに彼女の言う通り付近に冒険者ギルドは無いようですね。次に近い場所でもそこから一週間はかかります」
「これは困りましたね……」
「でもおかしいですよね。ウチが一番近いなら管轄内でもいいはずなのにどうしてそうじゃないんでしょう?」
「それは恐らく…」
「金がないからである!!」
再び扉が勢いよく開き、入ってきたのは高級そうな毛皮のコート。数人のボディーガードらしき男達を引き連れた嫌味な顔をしたふくよかなオッサンだった。
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