第3話
いつからだろう、友樹さんが家まで迎えに来てくれなくなったのは。
友樹さんと出会って何ヶ月か経って、友樹さんと付き合うことは絶対にないんだろうな、という確信が生まれていた。友樹さんとの会話の節々からそれを感じるのだ。
例えば「1回でも付き合う前に体の関係持っちゃった子とは付き合えない」とか、「大学時代都合のいい関係だった子に告白されていい迷惑だった」とか、今思えばクズすぎる発言だが、当時の私もクズで感覚が麻痺していたのかもしれない。
家に行って、することをして、たまに一緒にプロジェクターで動画を見る。そんな光景が日常になっていた、なってしまっていたのだ。
大学3年になって友樹さんと出会って1年という頃、大学の1個下の男の子と出会った。大学2年の後期、友人たちが留学から帰ってきてなんとか普通の大学生活に戻れた私は普通の大学生のように大学に行っていた。
そんな中、月曜3限の授業でグループワークをすることになったのだが、初回授業を体調不良で休んでいた私の元に1件のメールが届いていた。
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件名:はじめまして!
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佐藤裕莉さん
はじめまして!文学部2年の斉藤亮です!
グループワークで同じグループになったんですけど、
お休みされてたので先生にメールアドレス伺ってメールしました!
裕莉さんの役割分担を一応こっちで決めちゃったので確認してOKかどうか教えてください!
・・・
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大学の授業内容に関するメールだった。このメールを受けての第一印象は「いい子だな」というものだったのを覚えている。
それから次の週の授業で亮くんに初めて会った。
「先週休んですみません!3年の佐藤裕莉です。」
「斉藤亮です!」
「亮くん!メールもらっちゃってごめんね。」
「全然大丈夫です!これから一緒に頑張りましょ。」
それから亮くんに他のグループメンバーを紹介してもらった。グループには2年生の子達しかいなくて、年下とか後輩が苦手な私は少し萎縮していた。でも亮くんはすごく人懐っこい子で私にたくさん話しかけてくれた。
連絡先を交換して、夜に電話して、一緒にお昼ご飯を食べることもあった。亮くんから向けられる態度がただの先輩でないことに薄々気づいていたが、久しぶりにこんなまともな恋愛をしている自分が少し恥ずかしくて、友樹さんとの関係を止めることはできなかった。