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最終話
もう、何も思わなくなった。友樹さんのことを知っている友人や知り合いに話して、ここに書き留めて、あたしはもうあなたと別々の道を歩くことを決めた。
あなたにもらったたくさんの感情や、一緒に過ごした時間は、全てなかったことにする。
奥さんに全て打ち明けることも考えたが、そうしようとする度に「もうこれ以上関わりたくない」という思いが強まるだけだった。
今思うと散々あなたに振り回された。普段生きているのはあたしの世界なのに、あなたから連絡が来た瞬間、あなたが世界の中心に来てしまう。でも、たくさん生きたその世界は、一瞬にして崩れ去ってしまった。
もうあたしとあなたが会うことはないだろうし、その方がお互い幸せだ。最後に会った日の事ももう忘れてしまった。
こうやってひとつずつ、ひとつずつ忘れていけるのだろう。
最後に、2年前のあたしに言いたい。
「人生、いつもあたし自身が幸せだと思える道を選んでね。」
その言葉を今の自分にも投げかけ、あたしはあなたに最後のメッセージを送る。
〈もう会うのやめよう〉
〈ばいばーーい〉