第4章 卵の殻
第4章卵の殻
俺が退院して数日後。俺はリクからその後のことを聞いていた。
まず、グループの子たちに人狼であることがばれてしまったらしい。俺が飛び降りたあの日。
その子たちが言うには、誰かが降ってきて、その顔を見た瞬間に急に毛が生えだして、抱きかかえながらものすごいスピードで走っていったらしい。
リクは心底落胆したらしいが、どうやらグループの子たちからは否定されることもなく今まで通り過ごせているらしい。
大政はというと、俺がいない間のノートやプリントやとすごく面倒を見てくれたり、たまに遊びに行こうなんて言ってくれるようにもなった。
もちろん三人でだ。というのも、俺の病室で知り合った彼らはあっという間に意気投合したらしい。
人が気絶してるって時に何やってんだこいつらは。
ここまで読んでいる人なら疑問に思ったことだろう。さっきまであんなに暗かったのにどうして冒頭みたいに明るくなってるのか、と。
俺はこの騒動があってから病院で考えに考え抜いた。結果、いくつか吹っ切れた部分もあったのだ。
そうなれたのも毎日のように見舞いに来てくれたあの二人のおかげだろう。
「お前が飛び降りたって話がみんなの耳に入ったとき、すっげぇ心配そうな顔してたぞ」
「誰が?」
「みんなだよ。クラス中みぃーんなさ。中には一人で千羽鶴折ろうとしてたやつもいたな」
「え...でもみんなこっち見てひそひそして...悪口言ってたんじゃ...」
「まあ確かに中にはそういうやつもいたのかもしれねぇが...お前が急に見た目変わって戸惑ってたやつもいたみたいだし、
なにより話しかけに行ってみたいけどどう接していいのかわかんないって俺みたいなやつも結構いたらしいぞ」
「なんだそれ...今まで思い詰めてたのがバカみたいじゃん」
「ほんとだな、お前バカじゃん。...って!お前それであんな暗い顔してクマまで作ってたんか!!」
「まぁね。周りからもどんどん壁を作られてるって思ってたから」
「そーゆーの、シーチキン過剰って言うんだぞ。相談ぐらいしろよな」
「自意識過剰な...ってうっせぇわい!」
俺が勝手に壁を作っていただけで、周りのみんなは避けるどころか好意すら持ってくれていた。
それに気づかずあのまま命が潰えていたら...と思うと申し訳ない気持ちになってしまう。
周りに、そして親友たちに心配かけた分、償いとして全力で生きてやろうと思うのだった。
俺には今が、人生最高だ!!