あとがき
剣と魔法。
エルフ、ドワーフ、オーク……。
様々なジャンルの中で、私が最も好きなのがファンタジーです。
理由を問われれば一言。
わくわくするから。それだけです。
小説を書いてみようという気になって、まず始めに頭に思い浮かんだのもまた、ファンタジーでした。
しかし当然のことですが、文章をつくるのは恐ろしく難しい。まともな文章になっても、作品として成立させなければならない。加えて、自分ではない誰かが読んで、読みやすく理解しやすく、そして何より面白い作品であらねばならない。もちろん、理想として掲げこそすれ、それが全部出来るなどとは考えていませんでした。まずは読みやすい文章を作ろうとだけ、最初のうちは考えていました。だから、物書きとしての技量がもろに問われるファンタジーは、もう少し経験を積んでからにしようと、自分を抑えていました。
でも、すぐに我慢できなくなりました。
一ヶ月です。
文章を書き始めて一ヶ月。遂に欲望を抑えきれなくなった私は、無謀だから止めておけと自分を制しつつも、結局はファンタジーに手を出してしまいました。それが今作「トパゾスの岸辺」です。
衝動で書き始めました。
設定どころか、作品のタイトルすら、全く考えていませんでした。プロローグを書き始めた時点で決まっていたのは、あらすじに書かれている事が全てです。ジンと対になるもう一人の主人公、イリスのその名前すら、考えてはいませんでした。
お解りかと思いますが、無謀を通り越してただの暴挙でした。
三人称視点ってどう書けば良いんだろう……とか思いながら書いてました。大馬鹿者です。馬鹿のまま、書き続けました。
その出来は、読んでいただけた通りのものです。
ひどい。
そう思わずにはいられないものです。
書いている私ですら何度も後悔し、理想には全く届かぬ自分の技量に何度も嘆きました。今現在も、嘆いてます。
読者の皆様に、まずは謝罪を捧げます。
申し訳ありませんでした。
暖かい目で読んでくれた方。うんざりしながらも読んでくれた方。一見して帰られた方。様々な方がいらっしゃると思いますが、等しく謝罪を捧げさせていただきます。申し訳ありませんでした。
そして次に、謝罪を越える感謝を捧げます。
ありがとうございました。
本当に、ありがたいと思っています。
正直、試験作品ですので、自分のやりたいようにするだけで、読者云々などについては、考えていませんでした。時間を無駄にさせてしまう事が怖かったとも言えます。何より、自分の拙い作品を読まれるのが、とても怖かったからです。
ですが結局、作品を非公開にしなかった事を考えれば、心の底で誰かに読んでもらう事を望んでいたのでしょう。
十話近く書いた辺りで、ふとアクセス解析を押してみてびっくりしました。読んでくれている人がいて驚き、そしてどうしようもなく嬉しくなりました。感想もいくつか頂いた時には、思わずその場で小躍りしたくなったほどです。
自分が書いたものが如何につまらなく思えても、人に読んでもらえるのは、やっぱり素晴らしい事なのだと、そう感じました。
ありがとうございます。
最後まで書くことが出来たのは、読んでくれた皆様のおかげです。心よりお礼を言わせて貰います。ありがとうございました。
ファンタジーは自分にはまだ早かった。
でも、書いて良かった。
そう思える事が、とても嬉しいです。
この気持ちを忘れずに、いつまでも心に残しておきたいと、そう思います。
最後になりますが、いつかまたファンタジーを書き始める時のために、感想等をいただけると幸いです。「読みにくかった」とか「面白くなかった」とか、一言でも結構です。皆様の感想を血肉に変えて、理想に少しでも近づきたいと、厚かましく考えております。
それでは、本作を読んでいただき、本当にありがとうございました。
これからも精進を続けていきます。
皆様といつかまたどこかで会えることを、心の底から願っております。