分岐点
恋がしたい。
手をつないで、
視線を合わせて、
ご飯をたべるのも、音を立てないように気をつけて、かわいくみてもらいたいっていつも思って、好きって言って。
「で、ふられた。」
容赦ない友人Aの言葉が胸にささる。
「そうね。」
ため息をつく。喫茶店のざわめきが気持ちいい。
「よくみられたいの。」
友人Aはうなづく。
「でも疲れるの。」
聞いているのか聞いてないのかわからない態度で友人Aはコップにお茶をいれ、ずずっと音を立てて飲む。
「で、音信不通になると。」
要約が上手な友人A。
「人を誘うのって勇気がいるのよ。」
「いいわけ、そこまで興味がないんでしょ。」
友人Aが軽く手を上げ、ポテトを頼む。
「あんた、誘ったら断らないけど、誘わなかったら連絡する気ないもんな。」
痛いところをつく。
「決めた。」
手を差し出し、友人Aのゴツゴツした手をにぎる。
「男紹介して。」
「大事な友人を、めんどくさくなったらアプローチ忘れるような女にやらね。」
手を振り解かれる。
「お会計お願いします。」
友人Aがあっさりと立ち上がって、私の鞄をもち立ち上がらせる。
「わかった。帰る。」
領収書をつかみ友人Aが支払う。外に出て、今流行りの電子決済で割り勘する。
電子決済がみてみてと電子音をたてた。
「じゃ、テスト。アプローチ今からしてみて。」
「え。」
マジマジと友人Aをみる。
「めんどくさい女は紹介できない。」
20cm離れた顔の高さが遠く感じた。
「や、やっぱやめとく。」
腕を掴まれ、抱きしめられる。
友人Aの胸が、硬い胸が顔を塞ぐ。
「俺にしとけよ。」
データ
大学時代の友人
名前、あおい
年齢、25歳
自宅、知らない
頭の中で、友人Aが変化した。
そういえばあおいのこと、あまり知らない。
どう答えるか、、、
恋のはじまりになるのか、ならないのか
顔が赤いのはひとめがきになるのかどうなのか
今、私は分岐点にいる。