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汽車の中で

 再び時間は現代に戻り、アルレッキーノ王国に向かう汽車の中へ。


「フィン様、いつまでここにいるのです?」


 うんざりとした様子でローザが尋ねる。


 ローザの母国ドットーレ王国を出発して2日。


 大抵ヒマだとかいって汽車に用意されたローザの部屋にフィンは入り浸ってる。


 手にしていた本をたたんだローザはため息をこぼす。


 無視をして本を読み続けもいいのだが、それはそれで()()がひどくうるさく集中出来ない。


「退屈じゃなくなるまでかな」

(わたくし)は退屈ではないのですけど」


 ローザは邪魔とばかりに言ってみせるが、どこ吹く風でフィンは笑い飛ばす。


 部屋にはエリシャとマシューが待機しているが、ローザが本気で嫌がっているわけではないのでフィンを追い出すつもりはないようだ。


 ただしエリシャはフィンを追い出したくてたまらないようだが。


「一応対等に話せるのって汽車のなか(ここ)じゃローザだけでしょ」

「ええ、一応そうですね」


 汽車に乗っているのは、アルレッキーノ王国のからフィンのためについてきた使用人と護衛のための騎士たちだ。


「そういや、ローザについてきたのって二人だけ?」

「ええ、期間がわからないのにぞろぞろ連れ歩くわけにはいきませんもの。それに、必要ないとおっしゃったのはフィン様ですわ」


 本当はもう数人がローザについてくる予定だったのだが、フィンが必要ないと念を押すように言ったので二人になったのだ。


「たまにはしっかり働かせないと」


 小声でフィンがいう。


「なにやら不穏な言葉が聞こえましたけど」

「気のせいじゃない?」


 ニッコリと笑って断言をするフィンは視線を窓に移す。


「ローザ、ようこそアルレッキーノ王国へ」


 ローザにはわからないが、フィンには分かるのだろう。

 フィンは歓迎の挨拶をしてくる。


「あ、もちろんエリシャさんとマシューさんもね」

「お気遣いありがとうございます、フィン様」

「どうぞよろしくお願いします」


 マシューが丁寧に礼を言い、エリシャはそっけなく返すと視線をローザに移す。


「ローザ様、ローザ様が異国でも快適過ごせるよう誠心誠意努めさせて頂きます」

「ありがとう、エリシャ。あなたがついてきてくれて心強いわ」


 エリシャがフィンには絶対にしない笑顔をローザに見せて、百面相よろしくいけすかないものを見る目に悔しさを混ぜたものをフィンに向ける。


「フィン様、ローザ様を政に巻き込まないようお願いします。現時点で頼れるのはフィン様だけですので」


 余計な厄介ごとに巻き込まれるのは危険だ。

 ある程度権力のある母国なら対処もできるが、他国となると難しい。


 使用人にすぎないエリシャやマシューでは、それだけはローザを守ることが出来ない。


 エリシャがそんなことを頼んでくるとは思わず、さすがのフィンも驚いたのか目を丸くする。


「もっちろん。って言っても国の連中は権力持ちたがらないし、その点は安心してもいいよ。断言する」


 訝しげな顔をするエリシャとローザにフィンは窓から見える城を見つめて言った。


「見たら分かるよ。へんな奴らばっかりだから」






エリシャは基本ローザのためにしか動きません。

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