フリーズ様と着せ替え人形
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「素敵だわ、ローザさん」
真っ赤なドレスに身を包んだローザを見て、フリーズが声をあげた。
その隣では遊びに来ていたジェシカもローザに赤いドレスがよく似合っていると褒めていた。
少しだけ疲れた顔をしてお礼を言うとローザは、今自身が着ているドレスを見たあと視線をジェシカに向ける。
「ジェシカさんにも似合うと思うわ」
「そうねぇ。それなら、今度のパーティーはお揃いっていうのも悪くないかもしれないわね」
ジェシカはそう言って新しくドレスを仕立てるのも悪くないと零す。
現在、ローザはフリーズの買い物に付き合っているのだが、どういうわけかローザは着せ替え人形にされていた。
それはまるで実家の母のようだった。
自分そっちのけで人を着せ替え人形にしてしまうのは、母というか女性のさがなのかもしれない。ローザもエリシャだったり妹のリッタにしてしまうことがある。
フリーズは用意されたドレスを一つずつ指で確かめながら、濃い色のドレスを示すとこれも似合いそうだと言って、そばに控えていた女性たちがローザをそれに着替えさせる。
「それも似合うわね」
「これも似合いそうです、フリーズ様」
ジェシカも一緒になって選び始め、なかなか終わることのない試着会はすでに数時間は経過していて、おやつの時間だというのにおやつが出てこないことにしびれを切らしたシエルとメーアがそこにやってくる。
「母さま、今日のおやつは?」
「今日のおやつは――ローザさん、すっごく素敵よ」
「急に入っちゃダメですって、ドレスの持ち込みなら試着の可能性もあるんですから」
ノックもせずに堂々と中に入るシエルとメーア。
シエルはドレスには目もくれずにいるが、メーアは部屋に入るなり色とりどりのドレスに目を輝かせ、試着中のローザを素敵だと褒め称える。
そんな二人を軽く窘めながら、部屋の外から中が見えない場所で声をかけてレンが許可を得て入ってくる。
さすがに中の様子が分からないのに部屋に入ることは出来やしない。相手がフィンであればその気遣いも半分ほど無くせるのだが。
レンは女性だけ楽しんでいるところを邪魔してしまったことを謝罪しつつ、ローザにお似合いですと褒めるとシエルだけを捕まえる。
メーアに関してはドレスなど好きなのでここにいても話が合うことだろう。
というか、おやつのことは頭から抜け落ちている。
コックが今日のことを見通して何か作っているだとレンは思っているので、フリーズたちにごゆっくりと告げると、去り際におそらく着せ替え人形にされていただろうローザに助け舟を出しておく。
「フリーズ様たちも一度休憩を挟んでは?メーアもおりますので皆様の分の運ぶようにしておきます」
一礼をして、レンはシエルを連れて部屋を出るとコックの元に向かう。
メーアが加わり、更に騒がしくなる部屋は女性たちの賑やかな声だけが響いていた。




