ようこそ!
「ようこそアルレッキーノ王国へ」
城に着くと盛大に歓迎されるローザ。
アルレッキーノ城の使用人が赤のカーペットを挟み一列に並び、一斉にお辞儀をする。
歓迎の花束を手渡され、白いハトが飛ばされる。
「すごいわね……」
唖然としながらローザが振り返る、フィンが頭を抱えてるあたり異常なことのようだ。
「たぶんこれ、濡れ衣で国外追放くらいは全員知らされてると思う」
珍しくフィンが自信なさげに状況を見極めて説明をする。
「気遣いがこうなったと」
「俺も予想外。ローザが歓迎されるってのは予想してたけどここまでは思ってなかった」
「いささか歓迎が盛大すぎる気もしますが、ローザ様が歓迎されるのなら問題はないでしょう」
小声で会話をしながら国王の謁見の間への案内係について行く。
扉が開かれ中に入ると正面に二人の男女とすぐそばに控えるよう男性がいる。
髭を蓄えた穏やかそうな男性はアルレッキーノ王国の国王オーグスト・アルレッキーノだ。
その隣、ふんわりした雰囲気の女性は王妃フリーズ。
もう一人は宰相レイモンド・ティックナーだ。
フィンが両親に挨拶をする。
「ただいま帰りました」
「おかえり」
「おかえりなさい」
オーグストはローザの前までくると穏やかに微笑む。
「話はフィンから聞いています。大変だったでしょう。ゆっくりしていってください」
フリーズはオーグストの言葉に頷く。
「自分の家のようにくつろいで下さいね。ローザさん」
「オーグスト陛下、フリーズ王妃、お心遣い感謝いたします」
ローザが礼をしようとして、フィンが止めに入る。
「かたっ苦しくしなくていいって」
「ホッホッホ、そうじゃな。家族とはいかずともそのくらいに思えばよろしいかと」
歓迎されすぎな気もするけれど、ここまで温かく歓迎されるのはありがたいと思うことにするローザ。
「ありがとうございます。これからしばらくよろしくお願いします」
オーグスト陛下との謁見も終わり、謁見の間を出ようとして、金の長い髪を乱し息を切らした女性が一人、乱入してくる。
女性はフィンの腕を掴み、今にも泣き出しそうな顔をみせる。
「フィン、私のことは遊びだったの?」
冷ややかな視線をフィンに送るローザとエリシャ。マシューは黙って成り行きを見守っている。
フィンが不快な顔をして女性の手を外す。
「冗談はやめてくれる、ジェシカ」
「アハ、ごめんごめん」
くるりと回転してジェシカはローザの元へ向かいローザの手をとる。
「初めましてよね、ローザちゃん。あたしはジェシカよ」
よく見ればフィンやオーグストに似ている。
小柄で愛くるしい感じで、小動物のようだ。
「こちらこそ初めまして、ジェシカ様」
「ジェシカでいいわよ」
「では、ジェシカさんと。これからよろしくお願いします」
まるで友人同士のような気軽さで微笑み合うローザとジェシカ。
エリシャもフィンに対してほど警戒はしていないようだ。
ジェシカは後ろを振り返り、フィンに向かってニマリとする。
まるでイタズラをする子供のようだ。
「ローザ、ジェシカは俺のいとこで、これでも年上で結婚して子供もいる」
「あら、あたしのこと説明するなんてフィンってばどうしたの?」
クスクスと不思議ねぇとジェシカは笑う。
「それはいい年して、人をからかって遊んでるんだ。子供じゃないって教えといた方がいいだろ」
「そういうことにしておくわ」
ジェシカはローザの方を向いて、今度お茶に誘うわとウインクをして去っていった。
嵐のようなジェシカだったが、これはまだ少しだけマシなほうだったとすぐにローザたちは知ることになるのだった。
ありがとうございます。




