第9話【称号】
「ところでお前は誰なんだ?」
そう言って、ネムは先ほど兵士に囲まれていた女性に話しかける。
「ふむ、初めまして団長さん。私の名はエリーゼだ。」
そう言って、彼女はお辞儀をする。
「エリーゼ・・・貴様、レスト連合国の女王か!?」
ネムは彼女の名前を聞いて、とても驚いている。
「レスト連合国は数年前に滅んだはずだ・・・なぜ其方が生きているのだ!?」
ネムが問い詰めても彼女は目を伏せ、答えようとはしない。
「ガルド―、レスト連合軍って言うのはどんな国なんだ?」
ネムが取り乱している間に、ガルド―に質問した。
「レスト連合国は、元々小さな国が集まって出来た商売の中心となる場所になったんだ。
だがある日、他国に攻め込まれて、数日のうちに陥落してしまったそうだ。
ネムはその国出身で、母親が戦争に巻き込まれてしまったんだ」
そう言ってガルド―はネムを見て、哀れみの目を向けている。
「女王様・・・、他の国民は無事なのですか・・・?」
そう言って、ネムは彼女に怯えた目で質問をしている。
「残念ながら私以外の国民、政治家は全て処刑されている。
既に王国の土地は乗っ取られている。
国民も住んでいる様だからな」
そう言って、彼女は虚空から銃を取り出して行く。
「それはなんだ・・・?」
今度はガルド―が彼女に質問をする。
「これは銃と呼ばれるもので、魔術で作成した物だ」
そう言って彼女は物を取り出して行く。
「さて、今度は私が質問してもいいか?」
そう言って、自分に彼女は近づいてくる。
「君は称号に興味はあるかい?」
そう言って彼女は話してくれる。
自分はこの世界で勇者と呼ばれる存在であること。
自分の力は、勇者と呼ぶには弱すぎる事。
勇者の役目と、その人間離れした力を教えてくれた。
「・・・とまぁこんな感じだ。
君はこの世で最弱の勇者という事になるわけだ。」
そう言って彼女は、自分を見て笑う。
そう言われた途端、この世界で初めて、自分の居場所を感じた。
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