第4話【入団】
「さて、とりあえず君の安全は保障しよう。今、君の証言の裏付けをしている所だ。
・・・それにしても君の言う二ホンと言う国を私たちは知らないのだが、どういったところなんだ?」
そう言って自分が話した事が書かれている記録用紙を封筒に入れながら、ネムは聞いてきた。
「さっきも言いましたが、東の方にある小さな島国ですよ。
恐らくこの世界全ての国が書かれた地図でもない限り見つからないと思いますが。」
呆れたように答えるが、ネムは少し不満げな顔をしている。
「さて、君達はこれからどうするつもりだい?特にケンイチ君」
そう言ってガルド―は手足を動かして、こりをほぐしている。
「うーん・・・。お金を持ってないし、何処かで金を稼げるような仕事があればいいんだが、
この時間帯だともう無理そうだしなぁ」
空を見ると、日が沈み始めており、街灯も無いこの街では外に歩くのは難しそうだと感じる。
「それなら、ここに泊まっていくかい?条件付きだけども」
そう言ってガルド―は嬉しそうに笑う。
とても有り難いが、なんだか胡散臭く感じてしまう。
「・・・その条件とは?」
ジト目を向けながら、ガルド―に尋ねる。
「ここの訓練場に入って俺と稽古をする!衛兵として仕事をすればお金も手に入るし、
そして強くなれる。お前は体がヒョロヒョロだからモンスターも倒せんだろう?」
そう言ってガルド―は自分に入団申込書と書かれた紙を渡してくる。
そこには推薦人としてガルドーの名前が書いてあり、入団先に指定されている隊長はネムだった。
「ネムって団長だったの!?」
モンスターを倒せる程、強いとは思っていたが、団長だったのは驚きだ。
だが、何故か疑問が頭に引っ掛かる。彼女はどうして団員も連れずにあの森にいたのだろうか。
「ネムはこの国の中で一二位を争う腕前だ。本当ならもっと特別な存在だが、
この娘は頑固で謙虚だからなぁ。それを受け入れようとしないから困っているんだ。
今は、色々な国と戦争してるから兵士も少ないんだ。この街を守っているのはここにいる俺たちと、
門番くらいだなぁ」
難しそうな顔でそう言うが、この国の兵士の殆どを戦争に狩りだすのはどうかと思うが、
彼女の強さからそこまで問題ではないのだろうと納得する。
少し不安もあるが、承諾し、書類に名前を書く。
そこから俺の苦しい特訓が始まったのである。
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