第3話【尋問】
ネムと一緒に街へと歩くが、彼女は口を開かなかった。
自分は人と話したことは殆ど無かったため、話しかけることは無かったが、
彼女は人を避けようとしている雰囲気を感じた。
街の門にやって来ると、沢山の人が並んでいた。
数十分待って、自分の番になった。
門番に身分証を見せろと言われたが、当然そんな物を持っている訳がない。
ネムが自分の名前を出すと、兵士は訝し気な顔をしながら門を通してくれた。
街は沢山の人で賑わっており、祭りの屋台の様に様々な出店が並んでいた。
「すごい人だな・・・。これが異世界の醍醐味か・・・」
そんなことを呟いていると、彼女が口を開く。
「お前はもう食事を食べたのか?」
そう言って、屋台で買ってきた串焼きを渡してくる。
丁度お腹が減っていたのもあり、串焼きを貰う。
日本の串焼きにも引け劣らない美味しさだった。
「さて、着いたぞ」
串焼きを食べ終わると同時に、街の中心の城門までやって来る。
丘から見た景色でも相当な大きさだったが、近くで見ると迫力が凄まじい。
「よう新入り。城を見るのは初めてか?」
そう言って話しかけてくる一人の屈強な男がいた。
「お疲れ様ですガルド―さん」
彼女はその男に対して礼をした。
「おう、お疲れ。今日は何をしに来たんだ?」
そう言ってネムとガルド―は城の中に入って行った。
自分も慌てて二人の後をついて行く。
「今日はこの男の身元と処分を決めに来たんだ」
そう言われて少しビクッとするが、彼らからすると、不審者の何者でもないのだろう。
素性も知れぬ人を家に入れているような物だ。自分はそもそも人を家に入れたくないが。
「なるほどなぁ。どう見てもスパイのようには見えないが・・・」
まじまじとガルド―は自分の顔を見て、そう言った。
ネムもため息を付いて頷いている。
「だが、一応念のためだ。」
そう言って牢屋のような場所に連れていかれる。
日本の尋問室に似ている。テーブルを挟んで椅子が設置されており、
テーブルの上には鈴のような物が置かれている。
「とりあえず座ってくれ」
ガルド―は隣の部屋で座っているのが見える。
「このベルは嘘を付いたら鳴るようになっている。
例えば、ガルド―は男である」
そう言うと、ベルがチーンと鳴る。
どういう仕組みかは分からないが、どうやら嘘発見器のようだ。
「驚かないって事は、君はこれを見たこのがあるのか?」
ガルド―は面白そうに言ってくるが当然知らない。
「いえ、これと似たようなのを見た事があるんです。」
そう言うと、ベルは鳴らず、静かになっている。
そうして数分間、ネムとガルド―の質問に答えて行った。
ベルは鳴ることは無く、何事も無く、尋問は終わった。
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