漫才「朝活」
漫才十作目です。どうぞよろしくお願いいたします。
「朝活が流行っているらしいね」
「うん。朝食で会議とか、朝ヨガ教室とかからブームが始まったんだよね」
「他にもいろいろ出てきているんだろ」
「朝から大相撲観戦、ていうのが人気らしいね」
「へえ。お相撲さんは昔から稽古が朝早いから大丈夫だろうけど、お客さんはたいへんじゃないの?」
「それが、相撲を見てから出勤するOLたちで、連日満員になっているんだって」
「そういえば、朝ちゃんこ屋に行列ができているって聞いたことがある」
「あとはプロ野球だね。まさかナイターがモーニングに変わる時代がくるとは思わなかったよ」
「早朝野球はアマチュアでもやっているから問題ないってことなんだろうね」
「ラジオの深夜放送まで朝流すようになったんだからなあ」
「まさに朝活全盛時代だね」
「僕なんかも、朝に自分の用事を入れるようになってさ」
「世の中の流れがそうなってくると、個人も影響を受けちゃうよね」
「そうしたら、朝のスケジュールが目一杯になっちゃってさ」
「ほう」
「朝にこなしきれなかった用事が後ろの時間にずれ込んでいっちゃうんだよね」
「たとえば?」
「顔を洗うのは昼を過ぎてからだなあ」
「ありゃまあ」
「昼休みは夕方にならないと取れないね」
「それって昼休みと違っちゃうんじゃないの?」
「昼ごはんなんかは、もっと後になっちゃうんだぜ」
「昼休みに食べるのが昼ごはんだろ」
「食べる時間が取れないんだからしょうがないよ。だいたいは夜食べることになっちゃうんだ」
「解らないなあ」
「夕食と夜食は朝になってからだなあ」
「それは朝ご飯と呼ぼうよ。朝ご飯の第一、第二でよくないか?」
「ダメダメ。朝ご飯はそのあと摂るんだから」
「じゃあしょうがないか」
「ラジオ体操をするのも、朝は出来ないから、夜になってからなんだ。寝る前に第一を済ませておいて、夜中にもう一度起きて第二をやっているんだぜ」
「おいおい」
読んでいただき、どうもありがとうございました。