第7話 いきなりぶっ飛んだ設定が出てきた
どこかこじんまりとした、しかし全てがキラキラと輝くこの空間…ここで私は朝食を取るらしい。異世界に来てから初めての食事である。
「食事に関しましては、『頭の中で念じれば』出てきます。また、『パッと出てきて毒でも入ってるんじゃないのこれ!?』とかいうクレーマー対策として、調理工程を想像すれば、その調理人が実際にここに現れて調理をしてくれます」
…いきなりぶっ飛んだ設定が出てきた。いや、ここに至るまでの流れを見る限り、設定ではなく事実なのだろう。
しかし、望めば調理人が調理する姿まで見せてもらえるとは…手厚くし過ぎじゃなかろうか。
「…じゃあ」
私は白いごはんとお味噌汁、と念じた。すると、本当にアツアツのごはんと味噌汁が出てきたではないか。
「ふむ、魚沼産のコシヒカリですね」
「ん?米の種類まで分けられるの?」
「はい、お米だけでなく、そこの味噌汁…さらにおかず、デザートまで様々な食べ物が可能です。コシヒカリだけでなく、あきたこまち、ササニシキなど。デザートなら、グリコのプッチンプリン、メイトーのなめらかプリンなど。」
「凄いねぇ…」
私は思考を放棄していた。
「これも過去にクレーマーがいたから変えたらしいです。『俺は○○の☓☓じゃないと認めねえ!』って人にも、○○の☓☓を見せれば黙らせられます。証拠がありますから」
「証拠?」
「現物もありますし…じゃあ、試しに『証明書』と念じてみてください」
言われた通りに「証明書」と念じる。
「わ、なんか出たんだけど」
「そう、それが証明書です。宛先は天界から…なんですけど、それだとまたクレーマーがうるさいのでリアルな方向に修正させてます」
「…それって詐欺じゃないの?」
「うーん、詐欺なんですけど、まず証明書を出す事自体がレアですし、この証明書すら疑って難癖付ける人には然るべき罰を与えてます。元々クレーマーがいたからこんな証明書なんて作ってるんですから。」
「うーん…」
「ところで…それ食べないんですか?冷めちゃいますよ?と言っても、それも『電子レンジ』と念じれば一瞬でチンできちゃうんですけどね」
「え?食べる食べる、…いただきます」
「調味料も念じれば出てきますからねー」
「………………」
ちょこちょこ口を出すアイスちゃんにイライラしながら、頼んでなかった「お茶」を念じて出してから朝食をほうばった。