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第1話 ラッキーワールド

「…………ここは?」



ずいぶんと長い眠りから目が覚めた気がする。



「どこ?ここ…」



目を開けると会社のオフィスのような空間。来たはずもない所だが何故かここで寝ていたらしい。一刻も早く帰りたい。かなり熟睡していたようだし、もう大きいとはいえ娘の萌歌(もか)を一人で放置するには心配だ。


早速帰ろうと席を立った時、ある事に気付いた。



「あれ?バッグがない…」



少なくともここは家ではない。それなら、荷物を持って外に出ているはず。しかし、辺りを見回しても何一つ私の荷物が見当たらないのだ。


仕事に行くにしても財布にウェットティッシュ、メガネと携帯にそれらをまとめるバッグを持っていっている。休みの日スーパーに行く時も大体同じだ。


そのバッグがこの室内のどこを探してもない。ない!ないないない!


軽くパニック状態になりかけた私に、透き通るような優しい声が響いた。



「あの~」


「…は、はい!」



返事をしながら振り向くと、そこには頭に天使の輪…のようなものを付けた、白色の装飾を施した女の子が立っていた。見る限りは学生さんだろう。こんなキッチリとしたオフィスには場違いな格好のような気もするが、今はそれどころではないので深くは追及しない。



「私はこの宇宙を統べる神、『アイス』と申します」



ちょっと変な子なのかな?それか今日はそういうイベントで何かのキャラになりきっているのだろうか。とりあえず私は適当に相槌を打って誤魔化す事にした。



「アハハ、そうなのね…あの私、今バッグを探していて…」


「?ここにバッグなんてありませんよ?」



キョトンとした顔でこのコスプレ天使―もといアイス(自称)ちゃんは返答してきた。



「いきなり此方に来られた状態では何もわからないはずですし、一から説明しますね」



…何を?バッグの在処?この建物の構造?コスプレイベントの説明?



「まずあなたは、仕事のし過ぎで元いた世界で倒れてしまいました」



仕事のし過ぎで倒れた…そこをこの子が運んだ、という事か。元いた世界とかいうのはそういう設定だろう。うん。



「倒れたあなたは救急車に運ばれるも、時既に遅く意識不明の重態でした」



意識が戻ってなんとか一命は取り留めたのね。良かった良かった。



「しかし不幸な事にその意識が戻る事はなく」



…え?



「元の世界に戻れなくなった魂が彷徨ってここに居着いていました」



…流石にツッコまざるを得ない。



「ちょ、ちょっと待って。黙って聞いてたけど、それは設定?設定だよね?ほら私はちゃんと意識あるし、元の世界がどうたらって言っても他の世界なんてないでしょ?」


「ありますよ?」



間髪入れずに返される。



「世界には3つのフィールドがあるんです。1つはあなたが元いた世界、もう1つは死後の世界、そして最後の1つがこの世界。この業界では、『ラッキーワールド』と呼ばれています」



だんだん雲行きが怪しくなってきた。この子が嘘偽りなく言っているように見えてたまらないのだ。まるで本当の事のような…

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