8.乱戦
夏休み9日目
いつも通り学校で皆と会う、いつもと違うのは、みんなが真剣な表情をしているのと言うことだ。
「皆、昨日は眠れたか?」
そういうローズは、とても眠そうだ。
「一様情報収集をしたのだがこれとあわせて見てほしい」
そういうと彼女はマジックホンを取りだし画面を投影する。
『花咲市魔法少女リーダー<《クインシー》
チーム3組
《星雲》
《七星》
《薔薇園》
魔法少女総数87』
「魔法剣士がリーダー不在で解散して、
小さな花は、壊滅した。
さすがに小学生のみのチームでは生き残れなかったか。」
そういうと彼女は沈黙した。
「実は彼女と私は小さな花の卒業生なの。」
リリィはそういうとローズを見た。
「リリィ余計な事は言わなくて言い。」
ローズはリリィを一瞥すると話を続ける。
「現状の状態から考えて戦いはさらに激しくなるだろう。皆もなるべく一人にならないように注意しよう。」
そういうと解散となり皆も帰宅に向かう。
その日は戦いもなく何もなかったため、見回り等もリリィが引き受けてくれた。
私はチェリーと帰路に着く、
夜になり自分の部屋に入り、ふと時間を見るともうすぐ23時になろうとしていた。
もう寝ないと、そう思い布団に入ろうとした時。
《皆さん御機嫌よう。順調に数が減っているようで良かったです。そこで残りの人数等がわかりやすいように皆さんにマジックホンをプレゼントしちゃいます。尚、言い忘れて居ましたが、このペースで人が消えると問題になる恐れがあるのでこの街全体に魔法少女に対する結界が張ってあるので外に出ない様にお願いしますね。この結界では、魔法少女の被害を隠すのと、魔法少女が死んでも結界内であれば元々居なかった事になる様に一般人に記憶操作する為のものですので。既に10名近くが、結界の外に出ようとして命を落としました、私は誠に残念です。》
私はその言動に怒りを覚えた。
声が終わると窓の外からノックが聞こえる。
窓の外を見てみるとそこにはシュレディンガーが座っていた。
《やぁ、久しぶりだね。僕は君にこれを渡しに来ただけだからこれで失礼するよ。》
そういうとシュレディンガーは、マジックホンを窓の縁において出て行った。
マジックホンを受け取り、ふと気になったので画面を投影する。
『花咲市リーダー《クインシー》
チーム3組
《星雲》
《七星》
《薔薇園》
魔法少女総数78』
お昼の時点で見た時よりもかなりの数が減ったなと思い画面を消そうとした時画面にノイズご走る。
『魔法少女総数74』
私は急速に減る人数に焦りを覚えた。
学校に行けば誰かいるかな?
そう思い、私は窓から学校へ向けて飛び出す。
学校に着くと魔力を感じた。
やっぱり誰かいるのかな?
そう思い私は園芸部に向かう。
いつも通り薔薇園に向かうとそこにはリリィがいた。
「リリィさんこんばんわ。」
「…っ!!…あらメイプル、こんばんわ。こんな時間にどうしたの?」
リリィは、とっさに身構えたが、私を見て平常に戻った。
「ローズさんは居ないんですか?」
「……。ええ。今は、私だけなの。」
そういうと彼女は顔を落とした。
「ごめんね。」
「え?」
途端リリィは、距離を詰め拳を突き出してくる。
私は、咄嗟のことに驚きつつも空間障壁を張る。
「ック。」
リリィは、苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。
「どうしてですか?」
「生き残れるのは3人なのよ。うちのチームは、4人だから一人減らさなきゃ行けない。なら今のうちに一人減らして3人になれば後々大変なことににならないで済むの。だからお願い何も言わずに死んで。」
そういうと彼女は、一直線に距離を詰めて来た。
速い、私は空間障壁を張る、
彼女は、それを読んでいたかのように空間障壁のある位置から、側面に回り込み攻撃を仕掛ける。
空間把握か!
私は空間障壁をスライドさせて守る。
「やっぱり防御特化の子は攻撃特化の子じゃないときついわね。拳だけじゃ魔力の壁は、破れないかしら。」
リリィは、そういうと急に全体に力を込めた。
リリィの姿が消える、私は空間障壁を張り警戒をした。
ふとした瞬間、視界が船酔いでもしたかのようにぐらつき思わず膝をつく。
「魔法少女になって浅い子に負けるわけないでしょ。」
そういうとリリィは、背後から姿を現わす。
「それじゃ、さようなら。」
そういうとリリィは全力でメイプルに拳を振り下ろす。
「フッ!」
途端リリィは、後ろに飛び距離をとる。
「リリィさんどうして仲間同士でやりやってるの。」
入り口から声が聞こえ振り向くとチェリーがパチンコ玉を持ち警戒していた。
私は癒しを自分にかけるが完全には、癒えるには時間がかかる、
「貴方にも見られたのは誤算だったわ。」
そういうと彼女は、チェリーに向かい全力で走る。
チェリーは、鉄球を投げつけるがリリィの魔法と相性が悪いせいか一向に当たらない。
チェリーとリリィの距離が手の届く距離になる、
チェリーは、次元袋から果物ナイフを取り出す。
途端果物ナイフがカタールのように大きくなる。
「貴方には奥の手が、あったのね。」
そういうとリリィは、そのままチェリーに突進する。
チェリーは、カタールで斬りかかるがリリィは、空間把握でカタールをかわして、懐に飛び込む。
「さようなら」
そういうとリリィはチェリーからカタールを奪いチェリーの肩から腰にかけて深く斬りつけた。
「次は貴方かしらね」
そういうとリリィは、私に向かって歩みを進める。
私はなんとか回復し、立ち上がる。
「どうしてチェリーまで。」
「しょうがないじゃない、見られた以上どちらかは死ぬしかないわ。だから貴方と私もどちらかしか生き残れない。」
リリィは、再び私に向かって進む。
チェリーの仇を取らなきゃ。
私はリリィと戦う覚悟を決めた。
リリィと向き合いながら後方に下がる。
トン。
私の背中をが壁にぶつかる。
リリィは、それをチャンスと見て走り出した。
私は前方に空間障壁を張り待ち構える。
彼女が近づきカタールを振りかぶった瞬間空間障壁をカタールの持つ左の方へ向けた。
「甘いわ」
そういうとリリィは、右に回り込んで回し蹴りを叩き込んで来た。
私はアニメが好きだ。こういう場面も見てきた。
なら。
私は空間障壁をわざと蹴りと反対側に向けそこから勢いよくシールドの側面を回し蹴りにぶつける。
空間障壁は、そのまま背後の私が背にしていた壁にめり込む。
それと同時に辺り一面に液体が飛び散り、私に向かって円筒状の物が飛んで来た。
円筒の物は私にぶつかり床に落ちる。
ダメージは、そこまでなし、と。
私は痛みを感じる箇所がないか確認した後空間障壁越しにリリィと対峙する。
すると空間障壁の向こうにいるリリィは、なんだか顔が青ざめている。
「あ、あああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
リリィは、いきなり叫び出すと地面に倒れ蹲る。
「痛い、痛いよぉー。」
リリィは、カタールを落とし膝を押さえている。
私はチャンスだと思い。
床に落ちたカタールを拾いリリィに向けて振り下ろす。
リリィから液体が飛び散る。
途端辺りは静まり返る。
しばらくして私は、冷静さを取り戻し周りを見ると、服は返り血に濡れていた。
目の前には、リリィが息を引き取っており変身が解けたのか元の制服に戻っていた。
そのあまりの事に私は後ずさると、ふと先ほどの円筒状の物につまづく、なんだろうと思い下を見るとそこには足首が転がっていた。
私は自分を呪った。
怒りに任せて人を殺めただけでなく、いたぶってから殺めたのだ。
私はこの街で起きた殺し合いの元凶を倒すと心に誓ったのだった。
『花咲市リーダー《クインシー》
チーム3組
《星雲》
《七星》
《薔薇園》
魔法少女総数71』
連載中ですので皆さんの感想等貰えると嬉しいです。