僕はエスプレッソが飲めない
とりあえず二話目投稿です。
そもそも見られている母体数が圧倒的に少ないと思いますが。。。泣
洗面台から食卓の方に向かうにつれて自然といい香りが鼻につく。
すでに母さんが朝食をテーブルの上に並べておいて、一足先に食べていた。
母さんの向かい側には僕の出来たての朝食が湯気を立てていた。
こんがりと焼けたトーストが二枚。
半熟の目玉焼きに分厚く切られたベーコンがこれまた二枚、そして皿の端にはミニトマトが二個。
母さんのことだ、少しでも野菜を取ってほしいとの配慮であろう。
とりわけ野菜嫌いと言うわけではないがどうにも僕の身体は一度に多量の野菜類を摂取してしまうと胃が拒絶反応を引き起こし、吐いてしまうという性質を持つ。
一重にこれも父さ...いや僕の嫌いな"やつ"の遺伝でもある。フュンデラーは元々肉食生活の種族であったためか極端に野菜などの植物系の食べ物の消化が悪い。
最後に皿の横には僕がいつも使用しているマグカップの中にはたっぷりのエスプレッソコーヒーが入っていた。
正に神の布陣とも言える完璧なラインナップである。
「今日も僕の大好物ばっかだね。あっ、今日のエスプレッソはいつもより香りがいいかも!いつも朝早い時間からありがとうね。」
「当たり前よ。私の可愛い一人息子なんだから、これくらいのこと苦労なんかじゃないわよ!」
満面の笑みで答えてくれる母さんの顔はいつにも増して美しく見える。やはりこの人には笑顔でいてほしい、そう思いながら朝食に舌鼓を打っていると。
「母さんね、お父さんが出て行ったあの日に誓ったの。この子、エーベルを何不自由なく育てて、将来立派な子に育てるんだって。」
ガシャン!!!
僕はさっきまで使っていたナイフとフォークをテーブルに思いっきり叩きつけた。
「折角母さんの美味しい朝食を楽しんでいたのに、どうして突然"あいつ"の事を口に出すの! 僕と母さんはあの毛皮野郎に捨てられた張本人じゃないか!!」
「毛皮野郎って。。まさかお父さんの事⁈ なんてこと言うの⁈ それに毛皮野郎ってお父さんの種族を貶めるような言葉使っちゃいけないでしょ!! それに貴方はお父さんの事。。」
「あー、そうさ!あいつについてなんか何も知らないよ!あれは僕がまだ3歳だった。薄汚れたロングコートにずだ袋を持ったあいつが日曜日のちょうどこの時間にこの家を出るのをね!あいつは僕らに何も言わず、ただなけなしの財産とこの家を残して、僕らの元を離れた!いややつはそれと引き換えに自由を得たんだ!
僕のような醜い存在を見なくて済むように!」
「違うわ!貴方のお父さん。。 ウルバノは貴方の誕生を心から喜んでいたし、誰よりも貴方を愛していたわ!一人のかけがえのない息子として!」
「じゃあ、それならなんであいつは僕の前からいなくなったの? これがあいつの答えなんじゃないの⁈面と向かっては言えないからやつはこうして行動で示したんじゃないの⁈ 仮に違うとしても母さんはやつがいなくなった理由教えてくれないじゃないか!僕に!!」
「それは。。。。言えないわ。。。時が来たら伝えてくれって言われてるのお父さんから。。」
「そうやってはぐらかしてあいつの肩を持つんだね。充分理解したよ。結局綺麗事を並べておきながらみんな僕を煙たがるんだ!!」
ダンッ!!
僕は暖かいエスプレッソには目もくれず急いで二階の自室に駆け上がった。
「エーベル!!」
母さんが名前を呼んでいたが、僕は意図して無視して、自室に入った。
「どうして僕はこんな姿で生まれてきたんだ? どうして母さんはあいつなんかと? 考えただけでまたイライラが込み上げてくる! この沸点が低いところもあいつの請け売りなのか⁈ 」
怒りが収まらない時、僕はいつも自分のお気に入りのテーブルと椅子に腰掛けて平静を得ている。この配置からだと窓から太陽の光や町向こうの山々まで見えてとても安らげるのだ。
「ふぅ〜。いつもこいつらに助けられてるな。こいつらストッパー役が僕には居ないと今頃壁中穴だらけだったに違いない。なんだか落ち着いたら眠くなってきたなぁ〜。このまま今日はベッドで寝るのもアリかもな。母さんだって考慮してくれるでしょ。」
と結論付け、ベッドに向かおうとすると窓外から聞き慣れた大声が聞こえてきた。
なんとかまだモチベーションは保てています。最近継続することが苦にならなくなったからかもしれないです。
またいつ来るかわからない次回で!