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とんでもない客人

風がいっそう強く吹き荒れ、そこに現れたのは、


「天使」でした。


少女と執事の背後に、真っ白な翼を広げたこの世の穢れを知らない無垢な女性が立っていました。

2人は少々驚きましたが、執事は主人を守るために、少女の前に立ちはだかりました。「はじめまして」ゆっくりと着ていたスカートの裾を持ち上げて、丁寧にお辞儀をする天使。曇っていても分かるほどに、その天使のオーラはキラキラと輝いていました。

「あなたは、何者ですか」少女の目の前にいる執事が口を開きました。

少女は黙って天使を見つめます。至ってにこやかな微笑みを浮かべながら「この度、天界から参りました、天使のアリンです。本日はこちらの主人にご用があり、参りました所存であります」

丁寧な言葉遣いと、見ても分かるほどに、今まで絵画でしか見たことのなかった、天使でした。その天使は、少女に用があると執事に言いました。

「私の主人に…この純吸血鬼に何かご用ですか?」執事は自分の手で、守り抜いてきた少女を…吸血鬼の主人を守るように後ろに隠しました。

天使は甘い声で、主人に向かって言いました。「ねぇ、執事の後ろに隠れている小さなご主人様?私の上の者、まぁ、上級の天使があなたを連れ戻して来いとの命令が、くだされましたの。私とご一緒に、天界に来て頂けないかしら?」

ゆっくりと、言葉を繋げておしとやかに話す言葉遣いと、反射するともっと分かるぐらいにブルーの髪色をした天使は静かに告げました。

「あなたの所へは行かせませんよ」執事が瞳の色を変えて天使を見つめます。「あなたには聞いてはいないのよ?執事さん。ねぇ、どうなの?ご主人様」執事の後ろで、じっと見つめていた少女は言いました。「私は…、誰に何と命令されても、ここを動かないわ!」少女とは思えない声で、天使に向かって意思をはっきり伝えました。

天使はため息を吐きました。「さすが、上が命令するだけあるわね。こんな何でもなさそうな、吸血鬼の少女に惹かれてしまったのね。あなたも」天使があなたと言った顔は、執事の方向を向いていました。「ええ。おかげさまで」

「主人と私は、はたさなければならない契約を交わしています。そちらに我が主人を行かせることは不可能ですよ、アンリさん」

天使は挑発するかのような声で言いました。「どうしても。ですか?人間のふりをした…◯◯◯」

執事はクスクスと笑っています。

「ええ。そうですよ、アンリさん。ですが今の私はこのご主人様にお支えする執事ですよ」

ねぇ?と言いながら後ろにいる少女を見下ろしました。執事は、綺麗な微笑みを浮かべる主と、目を合わせました。

「そうは言っても…。こちらとしても仕事なので…。強制的に連れて帰りますよ…ご主人様」

三人の間に、また風が強く吹き荒れました。

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