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ローズガーデンにて

"どうして、こちらを見ているのかしら?"

お屋敷の当主である主人は"また"視線を感じとりました。少女は、これが誰の視線かはもう分かっていました。それぐらい、自分が何かをした時や集中している時などにふと顔をあげれば、こちらに笑顔を向けています。"何か秘めた想いでもあるのかしら…"

そうでなければ、少女は、こんなに自分の事を見てくるとは思わなかったのです。

"鬱陶しい視線ね…何かあるなら私に直接言えばいいのに…"

そういう風に見つめてくる視線や、優しい口調、気遣いなど、10代後半の少女は、裏に隠された秘密をこの時はまだ、知る由もありませんでした。


ある晴れた午後の時間帯に、少女は日焼けしないようにと、日傘を指して薔薇園を歩いていました。どの薔薇もとても美しく咲いていて、うっとりしている少女を、やはり、遠くから見ていた何者かの視線を感じましたが、薔薇を楽しみたかったので、そんな視線を無視して薔薇園の中にあるベンチに腰掛けました。

心地よく吹いている風に集中して、周りのものに気を取られないようにゆったりとその時間帯を過ごしました。

薔薇だけに身を任せて、そして今までの焦りや不安といったネガティブな気持ちを落ち着かせるのは、この少女の最も好きな事だったのです。

汚いものや、汚されたものを見ることを幼い少女は嫌っていました。なので、嫌なものを見ていても心の憩いの場を。そうして、自分の好きな花でもあることから薔薇園を散歩するようになったのです。

少女は薔薇に身を任せていたせいで全然気づかなかったことがありました。

執事が自分を呼んでいた事を。少女は、そんな声に、気配に気づかなかったのです。


「どうかしたのかしら?私びっくりしてしまったわ!」

執事の方を向いて、話しました。

執事は深くお辞儀をして、謝罪しました。

そして、もうすぐでアフタヌーンティーの時間だという事を告げてくれました。

「もうそんな時間なのね。今日のアフタヌーンティーは薔薇園でのローズガーデン形式でどうかしら?」少女は薔薇園を離れたくなかったため、執事にお願いをしました。

執事は快く引き受けてくれました。

ローズガーデン形式にするために今から準備をして参りますと言って、少女の場を離れました。

少女はもう少しだけ、薔薇園にいられると安堵の気持ちを隠しました。

それから、ローズガーデンでのアフタヌーンティーで、思いもよらないことが起きたのです。

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