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今だけは、この執事が貴女に触れるお許しをーーー

少女はたくさんの薔薇に囲まれて、お屋敷の住人に囲まれて、美しいものや、可愛いものに囲まれて育っていきました。

何も穢れることなく、裏切る悲しみを知ることもなく、"お利口さん"な性格の女性になっていきました。


自分のお屋敷の書斎で、少女はあどけない表情で眠っていました。まだ年齢は10代後半ということもあり、お屋敷の当主として、体力を使ってしまったせいか、昼間から寝息を立てているところを執事に見つかってしまいました。少女は以前に執事から言われていました。

「もう、居眠りをしてはなりませんよ」とーーー。

執事は居眠りをしている少女に怒ることもなく、普段は触れることの出来ない主人の髪に指を通した。ふわふわになっている毛並みは心地よく、少女から放たれている薔薇の香りにクラクラしてしまいそうになる。(子供扱いしないでよ!バカァ!!)と前に言われた事があるのを執事は思い出しました。(子供扱いなんて、しておりませんよ?お嬢様。貴女に触れたくて、手が勝手に伸びてしまっただけで…。)と心の中で、言い訳を考えます。(貴女がそんなにも可愛いらしい表情をするので、我慢をするのにいつも必死なんです)執事は、スイーツを食べる主人の顔や、勉強に勤しんでいる顔、薔薇園を歩いている時の顔を思い出します。愛おしいという風に思いました。(貴女と一緒にいたいとおっしゃったら、なんてお答えしますか?)主人の頰に触れる。(一緒にいたくないとおっしゃったら、その際は…この香りを忘れないために鼻腔いっぱいに吸い込んでもよろしいですか?)

(私の想いに、貴女は気付きますか?お嬢様)

それから、主人が自然と目覚めるまで、執事はあどけない少女の顔を眺めていました。

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