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いはいダイアリー  作者: 紫木
18/24

破かれた頁

 他人の秘密を盗み見るのは最低の行動だ。

 でも、それが実の妹と貸し出し中の彼氏のものだとすれば、話は変わってくると思わない?

 うん、賛同肯定なかろうが、お姉ちゃんとしてはそういう風に考えているわけですよ。

 という訳で隙を見て、この『いはいダイアリー』ってやつを紐解いては見たものの……


 深いねぇ~


 我が彼氏と妹ながら、拍手喝采を浴びせたくなっちゃうじゃない。

 だって、これは正真正銘、本気の人が本気で望んだ物語なんだもん。

 こんな風に香菜が考えてくれてるんなら、私も泣く泣く彼氏を貸出したってものだよ。

 流石は私の妹だ。


 ここまで捨て身で考えられちゃあ、私も両手を上げざるを得なくなる。

 

 でも、……でもね……

 それはきっと、泡沫を無理矢理残そうとするかのような、とっても愚かな考え方。


 ――その先に、本当に幸せな未来はあるのかなぁ?


 ありゃ、これは考えても口にしちゃあ、いけない言葉だ。

 あの子がそうやって決めたんだから、私はそれを応援する。

 最期の最後が来るまでは、絶対絶対応援する。


 その後の事はまぁ、……あまり考えたくはないんだけどね。


 きっと私の彼氏は、ズタズダになって帰ってくる。

 何もかもを壊され、何一つとして良い意味で残っているものはないのかもしれない。


 でも、それでも私は挫けない。


 最愛の妹が望んだことだから……

 それを最愛の彼氏が見届けようと、もがいてるんだから……

 私だけが我儘を言ってる場合じゃない。

 

 大丈夫だよ。

 世界中の誰もが認めようとしなくても、私だけは理解してるから。

 

 だからこの物語が終わった後は、私がキミに救いをあげる。

 妹にも負けない最高の舞台を用意してあげる。

 

 今はまだ――君に何もしてあげれない。

 でも、君が返ってきたその時には……


 

 ふぅ……、少し筆が乗りすぎたかな……、熱くなるのは良い事だけど、この苛立ちはよろしくない。

 この頁は処分しよう。

 そもそも、勝手に覗き読んだなんて事がバレた暁には……


 とにもかくにも、返却期日はもうすぐだ。

 私にだって、色々考える事はある、

 

 ああ、なるほどね……少し意味合いは違うけど、やっぱりキミと私の意見は同じだ。


 大団円なんて、くそっくらえだと思うよ、ほんと。

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