破かれた頁
他人の秘密を盗み見るのは最低の行動だ。
でも、それが実の妹と貸し出し中の彼氏のものだとすれば、話は変わってくると思わない?
うん、賛同肯定なかろうが、お姉ちゃんとしてはそういう風に考えているわけですよ。
という訳で隙を見て、この『いはいダイアリー』ってやつを紐解いては見たものの……
深いねぇ~
我が彼氏と妹ながら、拍手喝采を浴びせたくなっちゃうじゃない。
だって、これは正真正銘、本気の人が本気で望んだ物語なんだもん。
こんな風に香菜が考えてくれてるんなら、私も泣く泣く彼氏を貸出したってものだよ。
流石は私の妹だ。
ここまで捨て身で考えられちゃあ、私も両手を上げざるを得なくなる。
でも、……でもね……
それはきっと、泡沫を無理矢理残そうとするかのような、とっても愚かな考え方。
――その先に、本当に幸せな未来はあるのかなぁ?
ありゃ、これは考えても口にしちゃあ、いけない言葉だ。
あの子がそうやって決めたんだから、私はそれを応援する。
最期の最後が来るまでは、絶対絶対応援する。
その後の事はまぁ、……あまり考えたくはないんだけどね。
きっと私の彼氏は、ズタズダになって帰ってくる。
何もかもを壊され、何一つとして良い意味で残っているものはないのかもしれない。
でも、それでも私は挫けない。
最愛の妹が望んだことだから……
それを最愛の彼氏が見届けようと、もがいてるんだから……
私だけが我儘を言ってる場合じゃない。
大丈夫だよ。
世界中の誰もが認めようとしなくても、私だけは理解してるから。
だからこの物語が終わった後は、私がキミに救いをあげる。
妹にも負けない最高の舞台を用意してあげる。
今はまだ――君に何もしてあげれない。
でも、君が返ってきたその時には……
ふぅ……、少し筆が乗りすぎたかな……、熱くなるのは良い事だけど、この苛立ちはよろしくない。
この頁は処分しよう。
そもそも、勝手に覗き読んだなんて事がバレた暁には……
とにもかくにも、返却期日はもうすぐだ。
私にだって、色々考える事はある、
ああ、なるほどね……少し意味合いは違うけど、やっぱりキミと私の意見は同じだ。
大団円なんて、くそっくらえだと思うよ、ほんと。




