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いはいダイアリー  作者: 紫木
14/24

嘘 一

 そろそろ、勿体振るのは止めようかと思うんだ。

 僕がこれ以上のページを重ねるためには、やっぱり、きっちりと説明はしておいたほうがいいと思う。

 それに、これはきっと良い機会なんだと思う。

 現在進行形で綴っている、この『いはいダイアリー』が、どんなに間違いで、どんなに嘘で塗り固められているのかを、自身に刻みこむためには……


 単刀直入に言うと、僕にはカナではなく、エミさんという、とっても素敵な恋人がいる。

 年上の恋人だ。

 自分で自分が羨ましくなるほどの、身にあまる光栄だって感じてる。

 エミさんはとっても妹思いで優しくて、今の世の中じゃ、滅多にいない出来た人だ。


 だからこの『いはいダイアリー』を制作するにあったってまず、僕はエミさんに別れ話を切り出した。

 それも期間限定で、とっても身勝手な別れ話を。

 でも、やっぱりエミさんはエミさんで、そこまで思うのは病的なんじゃないかって思ってしまうほど、妹の幸せを望んでくれたんだ。


 嘘 一


 僕とエミさんは、カナの為にと偽りの破局を迎えることになった。



 そしてそれを、カナは知っていながらも受け入れてくれている。

 理由は単純な話だ。

 余命を告げられた人物が、その程度の我儘を推し進めようとも、誰も文句なんて言えようはずもない。

 例えそれが正しい道なんかじゃなくったって、幸せになろうと思う気持ちに嘘はない。


 嘘はきっと後悔につながっていく。

 でも、僕達にはもう、これ以上の幸せの形が見出せなかった。

 これは罪とも言えるのかもしれない。

 時が経てば、自分達で罰を与える機会がやってくるのかもしれない。


 今の僕からしてみれば、「だからどうした?」とふんぞり返ってしまうんだけどね。


 周りに迷惑を掛けてもいいんだなんて、そこまで子供じみた考え方はしてないけれど、僕達は僕達で、それなりの覚悟を持って、この道の歩き方を選んでるんだ。


 どうか、そっとしておいて下さい。


 僕にとってカナは、大事な大事な友達なんです。

 最期の時が来るまでは、ずっと、一緒にいると決めてるんです。


 例えそれが、僕よりもずっと〇〇だったとしても……

 

 今日の告白は、ここまでにさせて貰おうと思う。

 まだまだ僕には、告白すべき噓偽りがあるんだけどね。

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