近付く距離 近付く終焉
観閲ありがとうございます
ラストスパートです。
拝啓天国のお母様兄様私「は」今日も元気です。たぶん……
朝起きると、ししょーが壊れていた
『ねぇあなた……?』
『な、なんだアリシア』
『アリ……?カノンだよ?』
『ああ、そうだなエリス』
『…………師匠…』
何を聞いても上の空なのだ、しかもカノンをアリシアとかエリスとか呼ぶし……
『ししょーししょー!』
『いたっあだだだ何だ何だカノン!?』
『あ、やっと名前を呼んでくれた、よかったよぅししょー……』
『カノン…?』
『だってずっと上の空でカノンをエリスとかアリシアとかと間違えるし…』
『ああああ泣くな泣くな、私が悪かったから…』
『ししょー……』
『何だよ……』
『アリシアとエリスって誰なの……?カノに似てる?』
抱き付きながら訊ねるとビクッと身震いし観念したかの様に教えてくれた
『すまん、もう間違えないから…泣き止んでくれないか?』
『だって…悲しいんだもん』
『…』
『アリシアさんもエリスさんもあなたが大事だった筈なのに…あなただって…!』
『…カノン』
『なぁに…?』
『私は、後悔はしていない』
『?』
『全ては時代の流れだ…』
『カノンにはわからないよ…』
『いいんだ、生きていればいつかわかる』
『師匠…カノンじゃダメ?』
ポツリと言うと抱き着いてるせいで顔は見られないが明らかに動揺する気配がした
『師匠…?』
『はー…負けたよ、降参だ』
『ぅ…?師匠…?』
『フィンだ、名前で呼べ』
『…!』
『私はお前の保護者のつもりだった』
魔法使いは微笑む
『そしてアリシア、エリス両方の影をカノンにみていた』
『うん…』
『だがこれからはカノン、お前の師であり……恋人…だ』
照れながら言ったせいか最後の声量が小さくなる
『師匠…しゃなかった、フィン?言いづらい…ι』
『なんだ、弟子一号』
『酷っフィン!』
『はいはい、なんだカノン』
泣きそうになるわたしをあやすように手を頭に乗せて微笑む 師匠
『大好き!』全力でぶつかると師匠はごふっと言いながらぶっ飛んだ
やり過ぎた?そんなことないよね
だってカノンにはもうあんまり時間がないんだから……




