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Part.Ⅲ


「あのね、公園でね、寂しくて泣いてるとね、おじいちゃんが言ったの。なんで泣いてるの?って」

アリサと神崎は、黙って女の子の話を聞いていた。

「美優、ママがいなくて寂しかったの。ママに会いたいって言ったら、そのおじいちゃんが、これ、くれたの」

そう言って小さなパンダの肩掛け鞄から出したのは、一枚のチラシだった。

アリサは、それを受け取ると

「この店のチラシですね」

と言った。

「その爺さんって言うのは、一体誰か覚えてるか?」

女の子は、首を横に振った。

「常連さんの人でしょうか?宣伝、お願いしますと伝えているので」

「常連って、どっちのだよ」

「霊ですね」

「そっちかよっ!」

神崎は「ったく…」と言いながら、頬杖をついて、アイス珈琲を飲んだ。

そして、神崎は、ふと思った。

「ん?てことは、えーと…美優ちゃんだっけ?君のお母さんは、もうこの世にはいないってことか?」

美優は、泣きそうな顔をして、頷いた。

「あー…ほら、神崎さん泣かせちゃダメじゃないですかぁ。これだから、この人は…」

やれやれ、とアリサは呆れて首を振った。

神崎は難しい顔をして

「その…悪かった」

と言って、美優の頭を優しく撫でた。

「美優ね、ママに会ったことがないからね。会いたいの。皆、ママと手を繋いでる…美優も……」

みゆは、そのままシュンとなった。

「わかりました。美優ちゃん、その依頼承りましょう」

「うけたまわる??」

「お母さんに会わせてくれるってことだ」

そう神崎が言うと、美優は嬉しそうな顔になった。

「ほんと?!」

アリサは、そんなみゆに優しく微笑みかけた。

「有り難う!お姉ちゃん!!」

「ふふふ」



―カランカラン


その時、店の扉が開いた。

「美優っ!!」

「パパ!」

「探したんだぞっ!…心配させて…」

「ごめんなさい…」

「美優ちゃんのお父さんですか?」

「はい。この度は、娘がお世話になりました」

美優の父は、美優を抱き上げると一礼をした。

「いえいえ、構いません」

美優は、父の服をクイクイッと引っ張った。

「パパ、あのね、このお姉ちゃんがママに会わせてくれるの」

「え??」


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