Part.Ⅱ
∬
―カランカラン…
と、鐘の音が鳴った。
「……あの…」
扉の前には、ピンクの花柄のワンピースを着た小さな女の子が、もじもじしながら立っていた。
「ん?子供か?」
「……えっと…」
女の子は、どうしたらいいか解らずキョロキョロしていた。
アリサは、そんな女の子に
「こちらの席へどうぞ」
と、微笑みながら言った。
女の子は、コクリと頷くとカウンターの方に行ったが椅子が女の子には高過ぎて座れなかった。
「ほら」
神崎は、女の子をヒョイっと抱き上げ、自分の隣の席に座らせた。
女の子は、ニコリと笑った。
「ありがとう!おじちゃん!」
「お、おじっ?!?!」
「ぷぷっ」
アリサは、密かに笑った。
笑ったアリサを神崎は一瞬睨んだが、直ぐ女の子の方に向き直し
「おじょうちゃん。俺は、おじちゃんじゃなく、まだ、お兄さんね」
と言った。
「???」
女の子は首を傾げた。
アリサは、そんな女の子の前に大きな苺の乗ったショートケーキを置いた。
女の子は、その瞬間嬉しそうに目を輝かせ
「わぁ!ケーキだ!!」
と言った。
アリサは、口元に人差し指を当てニコリと微笑んだ。
「サービスです♪」
「ありがとう!おねぇちゃん!!」
「……俺はおじさんで、アリサはおねぇちゃんかよ…」
女の子は、嬉しそうにケーキをパクパクと食べた。
そして、アリサをチラリと見た。
アリサは、首を傾げた。
「ここで、ママに会えるって聞いたの」
アリサと神崎はお互い顔を見合わせ首を傾げた。
「「ママ??」」
女の子はコクリと頷いたのだった。




