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Part.Ⅻ
∬
絵を描き終えた智恵は、晃と美優にキスをした。
「晃さん、大変だろうけど美優の事お願いね?」
「あぁ…」
「愛しているわ」
「俺もだよ、智恵」
そして、二人は抱き合った。
智恵は、アリサの方を向くと一礼した。
「この度は、本当に有り難うございました。」
「いえ、私は依頼を受けただけです」
「それでも、お礼が言いたいんです。有り難うございます」
アリサは、ニコリと微笑んだ。
すると、智恵の体が、まるで花弁が散るかのように消え始めた。
「これで、もう、思い残すことはないわ。私は本当に幸せ者ね。晃さんに出会えて…美優を産んで…こうして、また会えた。」
「智恵っ」
「晃さん、本当に有り難う」
「…有り難う」
智恵は、その言葉にを最期に完全に消えた。
そう、成仏したのだ。
晃は、拳を強く握ると瞳からポツリと涙が落ちた。
「…智恵…有り難う」




