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Part.Ⅸ


さて、神崎がそんな事を考えている最中のアリサと霊だが…。

霊は、少し驚いてアリサを凝視した。


「え?あなた…私の事見えるの?」


アリサは神崎から少し離れると、黙って頷いた。


「それで、貴女は智恵さんですか?」

と、小さな声でアリサは言った。


「えぇ。」

「神崎さん。当たりです。車に向かいましょう」

「えっ?な、何?!」


神崎は、自分の羞恥の事は忘れて、とりあえず車に向かった。


「ちょっ、何これ?!勝手にっ…」


神崎が少し重たくなった身体を動かすと、自然と智恵も引っ張られるように着いて行く羽目になったのだった。

そして、ものの数分で車に到着すると、二人は車の中に入った。


「はぁ~…やっと当たりかよ…」

「あの…一体、何ですか?この人から…離れないしっ…うーん!!」


智恵は、神崎から離そうともがいていた。


「落ち着いて下さい。私達は、貴女の娘さんからの依頼で、貴女を探していたんです」

「…え?娘…?」

「はい。桜庭美優ちゃんという子です。」

「………美優…」

「覚えていますか?」


アリサは真剣な眼差しで、智恵の事を見た。

智恵の表情は、優しい表情になって頷いた。


「えぇ…だって…あの子は私の唯一の宝物だもの」


その言葉に、アリサはホッとした。

それは何故かと言うと、中には、生前の記憶が無い霊もいるからだ。

記憶が無い霊は、色んな場所を彷徨い歩く。まるで、記憶を求めるかのように…。

それが、所謂、地縛霊と言うやつの部類に入る。


「あの…あの子は今元気ですか?私…気づいたらここに来てて…」

アリサは、ニコリと微笑んだ。

「えぇ。とても、元気ですよ。美優ちゃんのお父さんも」

「晃さんも……よかった」


智恵は、そう言うとホッとした顔になった。


「そろそろ出発していいか?」


霊が見えない神崎は、アリサの表情とアリサの言葉を聞いて、折り合いが付いたと思い言葉を発した。

アリサは、頷いた。


「はい。私も、美優ちゃんのお父さんに連絡します」


そう言うと、アリサはシートベルトをするとマカロンのストラップが付いた携帯を取り出し電話をかけた。


「え?私…会えるのですか?娘と晃さんに」

「はい。」

「……そうですか」


アリサの言葉を聞いて、智恵は少し悲しげに…だけど、どこか嬉しいともとれる表情をして、車から流れる景色を見ていたのだった。


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