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異世界で楽しく生きるつもりが、 人生かけて日本に帰ろうとした同郷から託されて、帰るしかない件。  作者: 帰途灯
第二章 港町リュメール

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第29話 意外な縁

 帰る途中にジェスが話しかけてきた。


「それにしてもアオイってあそこまで凄い魔法使いだったんだな」


 言われてみれば無我夢中でやっていたが。


「凄いですよね、詠唱もせずに……でもなんで」

「もうぶっつけ本番だよ、次はやれって言われてもできる気がしない」


 ノアが考え事をしている。

 彼女がバッグから手に入れた魔力結晶を取り出す。


「多分ですが、あそこの魔力結晶のおかげですかね? 体内以外の魔力も魔法の発動に乗っていたんだと思います」


 魔力結晶を眺めながら言う。


「へぇーじゃあもう一度は無理ってことか」


 ちょっとがっかりしてしまう。

 隠された才能とかではないのか……。


「助かったんだから、よかったじゃねぇか。よーし街に帰ったら打ち上げしようぜ!」


 ジェスがそんな提案をしてくる。


「いいな、冒険の終わりは打ち上げだよな」


 俺はそれに同意した。


「それは私もですか?」

「そうだな、俺もお礼がしたい」


 マジでノアさんリスペクトっす。

 あの氷魔法がなかったら死んでたな。


 洞窟を出て草原で話をしながら帰った。


 ギルドに帰り依頼料の大銀貨4枚をもらう。

 そして俺の取り分は大銀貨2枚。



「これで依頼達成ですね、本当にありがとうございます」


「じゃあ、打ち上げだな」


 セイレーンの杯に来た。料理を頼む。


「それで、アオイはお金はたまったのか?」


 ジェスが聞いてくる。


「いや、まだ大銀貨8枚くらいだ、あと少しだけどな。宿泊費も馬鹿にならないから大変だよ」


「お金ためてどうするんですか?」


 ノアが果実水を飲みながら、聞いてくる。

 まぁ答えても問題ないだろう。


「魔導連邦の方に行ってみたいんだよね。定期便の値段がそれぐらいする」

「へぇーそんなするんですね」


 ノアが料理を食べながら相槌をうってくる。


「まぁでもあと少しなんだろ、頑張ろうぜ」

「まぁな、何かいい依頼でもあればいいんだけどな」

「そうだな」


 ジェスとため息を付きながら、顔を見合わせる。

 まぁそうそうないよな。


「ちなみに何で魔導連邦に行きたいんですか?」


「魔法が学びたいとかだっけか?」


 うーむ、正確には違うんだが、なんていうべきか。


「ジェスには半分ぐらいしか言ってなかったが、俺って異邦人じゃん……」


 その瞬間ノアが立ち上がった。


「あなた、異邦人なんですか?」


 立ち上がったノアがこちらを見て聞いてくる。


「え、あうん。そういえば言ってなかったか」


「いや、でも、こんなところで……」


 ノアが一人でぶつぶつ言っている。

 少し怖い。


「続きを話すと、俺、元の世界に帰りたいんだよね。で魔導連邦なら何かわかるからなって」


 ポテトをかじりながら、話す。

 この2週間ぐらい聞き込みをしたがあまり情報は得られなかった。

 一応、依頼書とかで情報提供を求めたけど空振りで終わった。


「そういうことだったのか。まぁ魔導連邦ならここよりは情報が多そうだな。で、お前いつまで立っているんだ?」


「……」


 ノアが渋々座った。正直聞きたいことがありそうな顔をしている。


「で、ノアは何か聞きたいことがあるんじゃないのか?」


 どう見ても気になっているような感じだ。


「いえ、今すぐに聞きたいことがあるというわけでは……」


 いや、あるやろ。確実にあるよ。

 いや待てよ逆に情報を何か持っているのか。


「じゃあこっちから質問なんだけど、異邦人が帰る方法知ってたりする?」

「いえ、それは知りません」


 まぁそんな簡単な話は無いよな。


「そうですね、私は異邦人というより異邦人がいた世界の方に興味があるだけです。

 異なる文化、異なる技術、そういったものに対して興味があるだけですよ」


「なるほどね、あーそういえば教科書ならあるな」


 まぁ宿にあるだけでここには無いんだが。


「それ見せてもらうことは!?」


「いやまぁいいけど……」


「買い取ってもらえばいいんじゃねぇの?」


 ジェスがそういった。

 確かに、天才かよ。


「それは、いいんですか?」

「値段によるけど」


「今は手持ちがないですが、故郷に戻れば……」


 これは欲しいけどってことか。


「ちなみに故郷って?」


「魔導連邦のアルケアですね」


「へぇー……ってええええ」


 気が付かなかった。

 言われてみれば大きな杖を持っていて魔力結晶を知っていたこともある。


「いや、全然気が付かなかったわ」


「魔導連邦に行きたいんですよね?それなら安い値段で行くことができると思います」


 それはどんな手段だ?

 気になるがそんな抜け道があるのだろうか。


「私はアルケア中央魔導学院の生徒なんですが特典と言いますが定期便には格安で乗ることができるんですね。でその関係者も安く乗ることができます」


「そんな方法が」


 考えていない方法が出た。

 関係者割引いい響きだ。


「いいことずくめじゃねぇか」


 ジェスもそう思うよな。


「いいじゃん、それで?なにか問題があるの?」


 ノアに聞いてみる。

 なんだか浮かない顔をしている。


「この場合の関係者というのが……いろいろとありますが、この場合選べるのは弟子ですね……」


 あーつまり弟子になれば安く魔導連邦に行けると。


「いいんじゃないの?別に弟子になるぐらいなら」


 魔法使いの弟子ってなんかかっこいい気もする。


「え!いいんですか?弟子ですよ?」


「いやまぁいいんじゃないの。まぁそんな魔法使えないけど」

「あれ?そこまで弟子に抵抗感ない感じですか……」


 うーむ?この世界で弟子になることがそこまで抵抗感あることなのか?


「いや、普通に俺も安く魔導連邦行けるならうれしいからそんな気にしなくていいよ」


「そういうものですか」


「ついでに聞きたいんだけど?異邦人が来ることを俺は異世界転移って呼んでるんだけどその転移をさせる魔法って知ってたりする?」


「いえ、私は聞いたことないですね、ですがアルケア中央魔導学院には大図書館があるのでそこなら調べられるかもしれません」


 なるほど、じゃあそこで調べてみればいいか。

 まぁ行ってみればいいか。


「よかったじゃねえかアオイ!」


 ジェスがグラスを掲げる。

 それを見てまた乾杯する。


「いや本当にそうだよ、この出会いに感謝だね」


「まぁ喜んでいただけたならよかったです」


 その後も雑談が続いてお開きとなった。

 そして数日後にこの街を発つこととなった。


 この街で世話になった人にあいさつ回りをしておく。

 商人であるパルモさんやセイルさん。

 セイルさんが魔法を使えるようになっていたのは驚きだったな。

 大体の人に挨拶をすることができた。


 やることも終わったからセイレーンの杯に行こうか。



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