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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第1章 異世界転生

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第1話 目が覚めたら異世界だった

「うっ……?」


目覚めた俺はうつ伏せで地面に倒れていた。


「確か……都達を庇ってトラックに引かれて……それで……」


朧気な記憶を辿る、思い出せたのは突っ込んできたトラックから友人達を突き飛ばして助けた事。

その後の事は覚えがない。


俺は身体を起こして周りを見渡す。

焼け焦げた大地、陰った空、ここは薄暗い世界だった。


「何処だ此処……?」


明らかに日本では無い何処か。

俺は両手で頬を強く叩く。


「痛ぇ……」


じんじんとした痛みから現状が夢では無いと分かる。


「まさか……」


脳裏を掠めたある考え。


「異世界転生……?」


それならばこの世界にも納得はいく。

となると俺はトラックに引かれて死んだと言うことか……。


次に俺は自身を見下ろす。

姿は赤子ではなくそれなりに成長した後の姿、年齢にして15歳程だろうか。

この肉体が俺本人の物なのか、それとも別の誰かの肉体に憑依したのか分からない、鏡があれば分かるんだけど。

記憶を辿っても思い出せるのは日本の記憶でこの世界の事は一切不明な点から憑依では無いと思いたい。

それゆえ名前についても何も分からない状況。

ファンタジー世界では真名を知られると不味い事もあるみたいだし此処ではジョン・ドゥとでも名乗ろうか。

服装は……継接ぎだらけの黒い外套、中は黒いズボンと白いTシャツだな。

真面目にこれ憑依なのか転生なのか分からんな。


しかもトラックに引かれてから神に会ったということも無いからよく聞く転生特典とかも何も無い状況だと思われる。

いわゆる最強とか無双とかとは無縁になりそうだ。

なんだろ、新たな第二の人生生きていけるか不安になってきた。


と言うか異世界転生と言うより亡くなってるならあの世と考えた方が的確じゃないか……?

漫画とか小説の読み過ぎかな。


「ここに居ても始まらないし取り敢えず動くか」


行く宛も無いがじっとしてても意味が無いからな。

仮に此処があの世だとして、天国には程遠い景色、もしかして地獄だろうか?だとしたら俺は一体どんな罪を犯したと言うのだろうか……。

そうして道なりに歩く事数十分。

道のど真ん中で倒れている白髪に白い服を着た老人を見つけた。


「大丈夫ですか!」


「……」


直ぐに傍まで駆け寄り声を掛けるも反応はない、が胸が上下しているから死んではない。老人を抱え安全な場所へと運ぶ。

安全かどうかは実際は分からんがずっと道で倒れているよりは良いだろう。

道から外れ、林の入口にて老人を寝かせる。

土に汚れているが怪我は無さそうである。


それから数分、老人は目を覚ました。


「お……おぉ、お主が助けてくれたのか?」


「助けたと言うか、倒れていたのを見つけて取り敢えず移動させただけで何もしてないですよ」


俺はそう言いながら爺さんが倒れていた道を指差す。


「あぁ、そうだ儂は悪魔どもに敗れて……」


「悪魔?」


どうやらこの世界には悪魔が居るようだ。

首を傾げる俺を見た爺さんは何処か納得が言ったようで俺を見て


「なるほどお主転生者であったか」


そう言った。

どうやら此処は異世界で間違いない様だ。


「一目見ただけで分かるんですか?」


「分かるとも、こんななりだが儂は神だからな」


「……」


この人神様だったのか。

え?なんで神様が悪魔に負けたん?


「簡単な話だ、人々の信仰心が弱まり儂ら神々の力がかなり弱まっておるんだ」


「普通に読心術使えるんですね」


「神だからな」


神様は誇らしげに胸を張った。


転生して間もない俺に神様がこの世界について説明をしてくれた。


現在この世界は神と悪魔は戦争中らしい。

魔女や聖女に勇者など様々な者達が参戦しているらしいが状況は悪く神々が劣勢との事。


「にしても大変な時期に来てしまったな」


「悪魔と戦争中でそこまで管理が行き届いておらんのだ、すまんな……そんなお主に悪いのだが頼みがある」


「なんです?」


「お主には悪魔に囚われた女神達を助けて欲しいのだ」


「俺が?」


「そう、お主に」


神様からの頼み事、出来ることなら叶えてあげたいが転生特典など何の力も持たない俺には無理だと思うんだが。


「……余り期待しないでくださいよ」


「すまん、恩に着る」


それでもやれるだけやってみようと思い、神様の頼み事を受ける。神様は深く頭を下げられた。


「それと儂に敬語はいらん、主のお祖父ちゃんと思って気楽に接してくれると嬉しいぞ」


「お、おぅ、貴方がそれで良いならそうするよ」


一度話を終え、爺さんの後を付いて行く。

向かう先は爺さんの隠れ家だそうだ。


「時にジョンよ、お主彼女はおるのか?」


「今も生前も居ませんよ」


隠れ家に向かう途中で爺さんがそんな事を聞いてきたから俺は首を横に振る。


「そうか、良ければ何人か紹介するぞ?」


「いや良いよ大丈夫」


そんな話をしながら爺さんの隠れ家へと辿り着いた。

森の中にポツンと建てられた小屋、外に井戸や畑がある。

扉を開けて中に入った爺さんの後を追って俺も家の中へと入る。

家の中は綺麗に整理整頓されていた。

窓際に本棚とロッキングチェアがあり、部屋の真ん中辺りに食事をする為の木製のテーブルと椅子が置かれていた。

俺はしれっと窓ガラスを見て自身の容姿を確認。

うん、月光昇(つきみつしょう)、俺だ。


爺さんは椅子に座ると俺の方に顔を向け「ほれ早う座らんか」と向かい側の椅子を指差した。

爺さんの言葉に従い俺は木製テーブルを挟んで爺さんの向かい側に座る。


「さて、女神達を助けて欲しいと言うたが、まず真っ先に助けて欲しい子がいる」


席に座ったことを確認し爺さんは話だした。

ふわふわと漂ってきた水入りのコップを手に取る、丁度喉が渇いたところだから助かる。

俺は水を飲みつつ爺さんに視線を向け話の続きを促す。


「その子とは裏切りの女神、ルナ」


「裏切り?」


「そう、裏切りだ」


聞き間違えかと思ったがそんな事は無かった。

爺さんはハッキリと【裏切り】と言った。

普通なら助けないと思うんだけどその子を助けて欲しいと言う事は何か訳ありなのだろう。


「うん分かった」


「儂が言うのもなんだがもう少し躊躇せんか」


「えぇ……」


爺さんの頼み事聞いただけなのに……。


「さて、すまんがあの娘については詳しくは教えてやれん。ただ今現在は悪魔に囚えられておる。本来なら神族側が助けるのだがあの娘は儂らを裏切った、故に儂らでは助けてやる事が出来んのだ。ルナもそれを望まん」


まぁ裏切られてる訳だし、仕方ないのかな。

問題はそのルナ様が何処に囚われていて、どうやって助けるかなんだよね。


「ルナが囚われている場所も助け出す方法も考えてある。それを今から話そう」


そうして爺さんから伝えられる助け出す方法。

どうやらルナ様は悪魔達によって地下深くに幽閉されているらしい。その幽閉されている場所は既に分かっているらしく爺さんがそこまで送っていってくれるとの事。


「次に助け出す方法だ」


曰くルナ様は神族を裏切った為助けが来ないと悪魔側も思っているらしく守りは手薄で一日一回決まった時間に来るだけのようだ。

また身体を拘束しているであろう拘束具は爺さんから渡された針を鍵穴に突き刺せばそれだけで解けるとの事。

なんでも手渡された針に爺さんの力を込めたらしい。


「ではゆくぞ」


そうして爺さんと共にルナ様が囚われている近くまで移動した。


転移した先は森の茂みの中。


「ワシが行けるのはここまでじゃ、お主にはルナを救出後ここまで何とかして逃げ出せ、そうすれば再びワシが転移して逃げられる。ルナが囚われているのは目の前の岩肌の山、入り口はあの洞窟じゃ」


「分かった」


侵入口の確認も出来たので茂みの中を移動する。

そう言えば爺さんの名前、聞きそびれたな……。


草陰から空を見上げれば未だに分厚い雲が覆っていた。夜闇と草陰に隠れながら進めばそう簡単にはバレそうにないな。

茂みの中を進む事数分、ゴツゴツの岩肌の山に到着。

ルナ様はここの地下深くに囚われている。


悪魔達は1日1回、決まった時に力を奪いに来るだけで後は基本来ないらしい。

裏切りの女神と言うことで神族側から助けが来ることもないからこそ手薄なんだろう。


周囲を注意深く確認し、敵が居ないことを確認して素早く移動、洞窟の入り口へと到着し中へと入る。

中は一本道で迷う事は無かった。

当たり前だが中は暗い、爺さんから貰った火を付ける道具で松明に火を付けて明かりを確保した。


「うっ……」


火を見て嫌な事を思い出したが我慢だな……。


くだっていく道をゆっくりと進む。

そうして暗い地下、その奥深くの地下牢に到達。


その中で両手を上に拘束され宙吊りで囚われていた一人の蒼白い長い髪の女性。


「貴方は……?」


それがルナ様との出会いだった。

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