タイトル未定2025/04/24 14:30
フロンティアは開発当初から宇宙の航路を創りながら居住惑星を見つける巨大な開拓移民船団だ。
船内が飽和状態になる事はなく、開発が出来そうな惑星を作っては減り、船内都市で増えてはの繰り返しと聞いている。
ひとつ言えるのは、隊員にならなくては残れない。
船の住民は船団の正隊員になると10隊に割り振られる。
念願叶い、私は第4隊に配置された。
私の特技は空間把握だ。
船が通れる方向を特殊な電波の返りで感知し航行可能の方向が見える。
その規模を全範囲感覚で感じれるのだ。
「へぇ~、オモシロイ感知のしかただネェ」
「っこ、これは第3隊アイ隊長」
音もなく背後に現れたのは、艦隊に居ないはずの、第3隊の隊長だった。
「アイ!また勝手に侵入したな!」
真っ赤なルージュが麗しい、我らの隊長が、赤いハイヒールを鳴らして船首に現れた。
「いくら美しい私に会いたいからと・・・」
「カンチガイ〜。ダンチョーに用だよ」
我らが隊長は美しい。
濃い紫の長い髪、整った顔立ち、響きのいい声で、綺麗な首筋に鎖骨、厚みのないが優美な身体、スリット入ったスカートから伸びる脚線美に映えるハイヒールで、性別は不詳。
性別は不詳である。
「あ、そーだ。第2エリアにね、美しい人いるよ」
空間スクリーンに割り込み映したのは、とてもいい声で話す、中年男性の姿。
歳を重ねた色気が画面越しでもわかる憂いを帯びてゾクッとする視線。
我が隊の隊長は美しいだが、見慣れた我らでも目を奪われるような。
「第2エリアで小競り合いが起こってるから、調停に行って来よっかなって〜キョーミ?本当に美しいもの見たいし」
「ならば遠慮なく私を見よ」
「視界に入らないでもらえる」
「何を騒いでいる」
上階から騒ぎを聞きつけてフロンティア団長が顔を出した。
褐色の肌に緑がかった金髪と左右で色の違う琥珀と緑の瞳が神秘的だ。
そして、すっと恒星を指さす。
「シールド発動!」
慌てて作動させれば、恒星の衝撃波が直撃する。
シールドは間に合い、微弱な振動のみが伝わる。
「さすがダンチョー兄様」
いつの間にか上階の手すりに座っていたアイに、フロンティア団長が怪訝な顔をする。
「アイなぜここに居る。第3隊の当番は終わっただろう」
「ちょっと第2エリアまで出かけてくるー。ほら、ウチのコたちも今休みデショ?やること無いしぃ」
「・・・あまり周りに迷惑をかけるなよ」
「かけてなーい。じゃあ、行ってくるね、トゥト兄様」
フッとアイの姿が消える。
「団長。相変わらず彼に甘いくはないですか」
「許可を取りに来たのは成長を感じるだろう。前なら勝手に出ていった。弟も成長しているということだ・・・」
「生身でのワープは危険ですよ」
「アイなら平気さ」
「困ったブラコンね」
「黙れナルシスト・・・さて、恒星嵐が激しいか。第4方向停止航路測定、第5、第6」
第4の艦橋上部から、団長は別の艦橋に移動していった。
「航路測定継続。恒星嵐に警戒」
フロンティアは今日も先の道を探して進む。